Intelの次期最高経営責任者(CEO)に指名されたPaul Otellini(54歳)は、大学教授のような顔とメディチ家の基礎を築いたCosimo de Mediciのような顔を合わせ持つ人物だ。
これまで同社に30年間勤務してきたOtelliniは、来年5月に最高経営責任者に就任する予定だ。同氏は、Intelの戦略を世界経済と関連付けて話す傾向があり、しかも難解な表現の長い文章で話すことが多い。また、新興成長市場に住む人々でも入手できるようにコンピュータの価格を下げることや、ロシアや中国、インドなどのエンジニアを利用することを支持してきた。そして長年に渡り、Intel代表としてスイスのダボスで開かれる世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)に出席し、ヨルダン国王や米下院議院前議長Newt Gingrichなどとも面識がある。
一方で、Otelliniは激しい価格戦争の火付け役としても知られている。この価格戦争で、ライバルのAdvanced Micro Devicesは赤字に追い込まれた。
また、彼はIntelのグラフィックを重視する戦略を後押しした1人でもある。同社はスタンドアロンのグラフィックチップを作ろうとして失敗したが、それをチップセットに組み込むことで世界最大の3Dグラフィック半導体メーカーとなり、NvidiaやATI Technologiesを圧倒した。
ここ数年の間に、Intelはマーケティング面と製造面で数々の失敗をしたが、現CEOのCraig BarrettからOtelliniへの交代により、その一部で劣勢を挽回できるかもしれない。Barrettは、携帯電話や通信機器などの分野に市場を拡大する構想を実現できなかった。またBarrettには少し無愛想だという評判もあった。
「Otelliniは極めて聡明で魅力的な人物。彼がCEOになれば、Intelに新風を吹き込むことができるだろう」と、Intelと幅広い取引のある半導体メーカー幹部は言った。「良い人だとずっと思っていた」(同幹部)
Mercury Researchの主席アナリストDean McCarronはOtelliniのことを「適任だ。Intelの仕事のやり方にも精通している」と評価する。
一方で、Microprocessor Report編集長のKevin Krewellは、Intelは外部の意見を取り入れるべきだと言う。
「IBMやAMDは、外部から人を迎え入れて、何を残し何を捨てるかを判断した。(Lou) GerstnerとHector (Ruiz)を招き入れる前のIBMとAMDは、迷走していた」とKrewellは言う。
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