Barrettの遺産
会長としては残るが、Barrettの最高業務責任者(1993-1998年)と、その後のCEO(1998-2003年)としての日々は米国時間18日に正式に幕を閉じた。
同氏のIntelでの日々を一言でたとえるには、おそらく「容赦のない」という形容詞が最適だろう。Hummerやヘリコプターを乗り回すBarrettは、ウェブホスティングのようないくつかの市場に鳴り物入りで進出しようとしたが、失敗に終わっている。しかし、Intelが一旦新しい分野で足がかりを得ると、優位な立場を手に入れるために、財務力や技術力を系統立てて徹底的に利用した。
サーバチップ分野はそのよい例だ。サーバ向けに設計された同社初のPentium Proがデビューした1995年当時、同社のシェアは取るに足らないものだったが、現在では出荷されるサーバの80%以上がIntelチップを搭載するようになっている。
ただし、サーバ分野への進出が100%成功したというわけでもない。 Itaniumチップは、GroveとBarrettがともに後押ししていたものだが、財務的には大失敗となってしまっている。また、Intelが64ビットチップの重要性を見過ごし、AMDに市場に食い込む隙を与えてしまった。ただし、1998年に登場したXeonチップは現在世界で最も多く売れているサーバ用チップに成長している。
同様の図式は、デスクトップやノートPCの分野でも見られる。AMDが製造技術や設計の点で非常に大きな改善を実現しても、Intelのシェアが大きく減少したという例はまだない。
Intelは、PC関連の他の分野をも独占しはじめている。同社はCentrinoで、プロセッサとチップセットのバンドルにWi-Fiチップを追加し、これをPCメーカーに販売するようになった。Centrinoは過去2年間で50億ドルの粗利を同社にもたらしているとOtelliniは述べている。
同社は今年、Professional Business Platform(PBP)を打ち出していくことになっている。PBPは通常のデスクトップ用チップとチップセットにネットワーキングチップを追加したものになる。
また、Intelはグラフィックチップ分野への参入にも失敗したが、同社はその後人気の高い自社のチップセットにグラフィックチップを統合し、同分野で世界最大のベンダーとなった。
一方、Barrett時代のマイナス面としては、予期せぬ成功がなかった点が挙げられる。家電販売の取り組みは2度も失敗に終わっており、また2000年には携帯電話向けプロセッサの販売を発表したが、この取り組みはやっと最近になって成果を上げはじめたばかりだ。
1999年のはじめから2003年末までの間に、Intelは35社以上の企業買収を行い、これに費やした合計金額は110億ドルを超えている。だが、これらの買収で獲得した技術から大ヒット製品が生まれたという例はほとんどなく、後に見捨てられた技術も多くある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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