液晶(LCD)ディスプレイは、ノートPCやデスクトップ用のPCモニター、テレビ、携帯電話など無数の機器で使われている。だから、液晶パネルメーカーへ投資すれば必ず儲かるに違いない・・・
世界最大のディスプレイ用パネルメーカーの1つ、韓国のLG.Philips LCDが米国でIPO(新規株式公開)を行なう22日(米国時間)には、この命題の真偽が試されることになるだろう。
液晶パネルの需要は急増しているものの、素人投資家にはわかりにくいトレンドがいくつかあるため、やはりこの株式公開は大きな賭けといえる。人気のハイテク技術は激しい好不況の波に見舞われることが多く、メーカーにとっても拡大と縮小のタイミングを正確に見極めるのは難しい。
実際に、液晶市場は少なくとも投資対象としては、既にブームが一段落しているかのもしれない。「液晶ディスプレイ市場は半年前のほうが好調だった」と調査会社iSuppliのシニアアナリスト、Vinita Jakhanwalは述べている。「あの頃株式公開をしていれば、ずっと成功したはずだ」
LG.Philips LCDの幹部にコメントを求めたが応じられなかった。同社は大型の液晶ディスプレイシートを生産しているが、さまざまな製品に使われる液晶パネルはこのシートから切り出されたものだ。同社は米証券取引委員会(SEC)の規制により、自社の事業についてIPOに影響する可能性のある声明の発表を制限されている。
同社はオランダのRoyal Philips Electronicsと韓国のLG Electronicsの合弁会社だが、同社もそして液晶ディスプレイ市場全体も、消費者の移り気な購入行動や、まだ比較的新しく、何十億ドルもの富をもたらすこの市場で出遅れまいとする多くの競合企業の煽りを受けている。LG.Philips LCDの株式公開価格は、希望価格帯のうち最も低い価格にあたる1株15ドルで、同社は2カ月足らずの間に資金調達の目標金額を20億ドルから10億ドルに半減させた。この思い切った減額は、液晶ディスプレイ市場という急成長分野の不安定性を浮き彫りにするものだ。同市場への参入には何十億ドルもの資金が必要とされるが、その中で生き残れれば大きな見返りが得られる。
iSuppliによると、2003年の全世界における液晶パネル市場の売上は357億ドルで、今年の売上額は昨年をさらに32%上回り、470億ドルに達する見込みだという。
「(液晶パネルの)量産はまだ始まったばかりで非常に不安定だが、年月が経つにつれて安定していくだろう」と調査会社DisplaySearchのバイスプレジデント、Chris Conneryは述べている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス