日立、DVDレコーダ市場に本格参入--400GバイトHDD内蔵型も

永井美智子(CNET Japan編集部)2004年04月15日 18時39分

 日立製作所は4月15日、DVDレコーダ市場に本格参入すると発表した。400Gバイトの大容量HDDを搭載した機種を含めて5機種を5月下旬から順次販売する。基幹部品を製造する日立グループの各社と連携して低価格化を実現し、シェアを奪取する方針だ。

 ブランド名は「WOOO」。同社のテレビとブランド名を統一し、薄型テレビとDVDレコーダのセット販売を進めていく。

400GB HDD搭載の「MS-DS400」。6月中旬発売予定で、市場想定価格は14万5000円前後

 大容量HDDを搭載したMSシリーズと、機能を絞った低価格帯のDVシリーズを用意した。MSシリーズは400GバイトHDD搭載の「MS-DS400」と250GバイトHDD搭載の「MS-DS250」の2機種。いずれもDVD-RAM/-R/-RW/+RW/+Rの全メディアに対応する。電子番組表(ADAMS-EPG)によって簡単に予約録画ができるほか、ジャンル別や出演者別の検索も可能だ。

 DVシリーズは160GバイトHDD搭載の「DV-DS160」、VHSビデオ一体型の「DV-RV7000」、DVD単体の「DV-RX7000」の3機種」。DVD-RAM/-R/-RWに対応する。DV-DS160は「ミルカモ予約」という予約システムを備え、1週間分の予約などが簡単にできるという。

基幹部品はグループ内で調達

 DVDレコーダはデジタル3種の神器の1つとも呼ばれ、国内家電メーカーの業績向上に一役買っている。日立の推定によれば、国内のDVDレコーダ市場規模は2003年が218万台、2004年には360万台となり、2006年には600万台に達するという。1年前までは松下電器産業、東芝、パイオニアの3社が市場を独占していたが、2003年末にはソニーが「スゴ録」シリーズを投入してシェアを奪った。最近では三菱電機も本格参入を発表したばかりだ。

「MS-DS400」に搭載された日立グローバルストレージテクノロジーズのHDD

 日立グループには、HDD事業を行う日立グローバルストレージテクノロジーズやDVDなどの光ドライブ事業を展開する日立エルジーデータストレージ、半導体事業を行うルネサス テクノロジなどがある。日立ではこれらの企業と協業することで、「他社より早く優れた製品を低価格で投入する」と日立製作所 執行役常務 ユビキタスプラットフォームグループ グループ長&CEOの立花和弘氏は話す。

 しかし逆に言えば、日立は基幹部品を扱う企業がグループ内にあるにもかかわらずDVDレコーダ市場への参入が遅れたことになる。この点について立花氏は、WOOOブランドを着実に浸透させるためだったと説明した。「日立はAVメーカーとしての十分なブランドイメージを持っていない。そのため全く新しい技術で攻めるしかないと考え、まずプラズマテレビを投入してブランド向上を図った。次にDVDビデオカメラに注力し、地上デジタル放送の開始を考えて最後にDVDレコーダに参入した」(立花氏)

「次世代3種の神器」で1兆円事業へ

 日立では、PDPやリアプロジェクションテレビなどの薄型テレビとHDD/DVDアプライアンス、デジタルテレビチューナー内蔵PCなどを合わせて「次世代3種の神器」と呼んでおり、2003年度の事業規模は約6000億円となっている。立花氏は「2007年度にはこれを1兆円にしたい」と意気込んだ。

 WOOOシリーズの販売価格はオープンだが、市場想定価格は「MS-DS400」が14万5000円前後、「MS-DS250」が12万5000円前後、「DV-DS160」が8万5000円前後、「DV-RV7000」が6万5000円前後、「DV-RX7000」が5万5000円前後(いずれも税込)。 5月下旬に「MS-DS250」を市場に投入し、その後6月中旬に「MS-DS400」を、7月中旬に「DV-RV7000」と「DV-RX7000」を、8月上旬に「DV-DS160」を販売する。初年度でシェア10%、2005年度には同20%を目標としており、「2005年度には月額50億円以上の売上を見込んでいる。(薄型テレビに次ぐ)第2の柱に育てたい」(立花氏)とした。

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