ソフトウェア大手のOracleは、米国時間6月26日に「PeopleSoft Enterprise 9」のリリースを発表する予定だ。これは、かつてのライバル企業を買収した後もその企業の製品のサポートと機能強化を継続する--という公約を遵守する姿勢を示すものだ。
Oracleはこれまで、PeopleSoftとSiebel Systems、さらに規模のより小さな多数のアプリケーション企業を相次いで買収してきたが、こうした一連の買収に続く2006年の3つの主要な取り組みの1つとして、PeopleSoft Enterprise 9は位置づけられる。また、PeopleSoftユーザーの間には、Oracleから同社独自のアプリケーション群への移行を強いられるのではないかとの懸念が広がっていたが、こうしたユーザーを安心させる狙いもある。
Oracleはまた、PeopleSoftの元従業員Doris Wong氏をPeopleSoft Enterprise担当ゼネラルマネージャーに任命し、同氏を中心とするPeopleSoft専任チームの結成も発表した。Wong氏は、PeopleSoftに11年勤務したのち買収を通じてOracleに入社した人物で、現行および将来のPeopleSoft製品の戦略方針と開発の指揮を執ることになる。
「われわれは、PeopleSoftの顧客がPeopleSoft製品への投資を保護できるよう支援するつもりだ」と、Wong氏は述べている。「これは、将来のリリースについてだけ言及しているのでない。ユーザーが『Fusion』に乗り換えたい、あるいはPeopleSoftを使い続けたいと望む場合に、選択肢を用意するという意味もある」(Wong氏)
Oracleの主要な取り組みであるFusionは、同社が買収したPeopleSoft、J.D. Edwards、Siebel Systemsといった多数のソフトウェアベンダーの技術を統合し、新たなソフトウェアアプリケーションスイートを開発するというものだ。
PeopleSoft Enterprise 9には複数のモジュールがあり、モジュールごとに順次リリースされる。最初に登場する「Enterprise Learning Management 9.0」は、認証および法規コンプライアンスのサポート提供に絞ったモジュールだ。
次のモジュールとなる「Enterprise Performance Management」は、今夏か初秋にリリースされる予定だ。さらに、財務管理モジュールと人的資源管理モジュールも、2006年中のリリースが予定されている。
PeopleSoft Enterprise 9はOracleの「Fusion Middleware」との連携が可能で、2007年以降にアプリケーションスイートが段階的に登場し始めると、ユーザーにとっては、Fusionを活用するための手段が増えることになる。Oracleが今回、かつてのライバルのソフトウェアをリリースするのは、従来の製品よりも機能性を高めつつ、ソフトウェアの所有コストを改善する狙いもある。
「PeopleSoftユーザーは、『まだFusionに乗り換える準備ができていないので、次にリリースされる製品にアップグレードしよう』と言える。いつ乗り換えるかは、ユーザーが決められるようにする」とWong氏。
PeopleSoftユーザーの不安を静め、ライバルのソフトウェアアプリケーションへの乗り換えを強制されるという憶測を打ち消す目的で、Oracleは「Applications Unlimited」プログラムを発表した。このプログラムは、単にPeopleSoft製品のサポートを提供するというだけでなく、同製品の開発も継続して推進するというものだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス