Oracleが2005年に買収したSiebelのCRM製品を、既存のOracle製品や旧PeopleSoft製品、旧J.D. Edwards製品といかに統合するかについて概略を説明した。キーワード「現状維持」だ。
同社は、既存の製品ラインを当面は維持しながら、Project Fusionを通して統合していくという。
Oracleは現地時間6月13日、ロンドンで顧客やメディア向けの会見を開き、今後も4つのラインのCRMソフトウェアを同じ課金体系の下で提供していくと述べたものの、これ以上の具体的な情報は明かせないと述べた。
しかし同社は、Oracle-SiebelのCRM製品が「次世代Oracle Fusion CRMアプリケーション戦略の中核」になると述べた。
Oracleはさらに、Oracle E-Business SuiteとSiebel 、PeopleSoft Enterprise、J.D. Edwards EnterpriseOneの各CRM製品の統合に着手したことも明らかにした。
Oracleは9カ月前にSiebelを買収したが、5月末に「一連の手続きが完了した」だけに過ぎないという。Oracleは自身が「500万人のアクティブなエンドユーザーと1億5000万人の登録ユーザーを抱えるCRM市場のリーダー」だと主張している。しかし、Gartnerのアナリストによると、この主張は怪しいという。
12日に発表されたGartnerの調査結果によると、2005年のCRM市場でトップの座についたのは、25.6%のマーケットシェアを獲得したSAPだという。第2位がSiebel(17%)で、第3位がOracle(6.4%)となっている。なお、Oracleのシェアには、旧PeopleSoft製品の販売も含まれている。
Oracleの欧州CRM事業部を率いるLoic le Guisquet氏は、Gartnerの調査結果を確認していないと述べたうえで、この結果に意義を唱えている。「彼らは、各社が売上として発表した数字を使って調査しているが、この数字の見極めはとても難しい」(le Guisquet氏)
Gartnerの調査結果によると、CRM業界で人気が上昇している企業は依然としてSalesforce.comで、同社の事業は2005年に77%の成長を遂げているという。そのほかのCRMベンダー各社も、Sielbelの6.4%、Amdocsの22.3%というように事業を拡大させており、事業が縮小しているのはOracle(-11.7%)のみとなっている。
le Guisquet氏は、Oracleが今後の成長を目指し、Salesforceのビジネスモデルをかなり綿密に調査していると述べた。le Guisquet氏は「Siebelの開発したオンデマンド型のモデルを自社製品のベースにする」と語っている。しかし同氏は、Salesforceの単線主義を否定する。「圧倒的なシェアを確保するにははハイブリッド型のモデルが必要だ」(le Guisquet氏)
同氏の述べるハイブリッドモデルとは、ユーザーに対して、オンデマンドモデルのみか、ソフトウェアライセンスモデルのみ、あるいは双方を組み合わせたモデルの3つの選択肢を与えることを意味する。ますます多くの企業が、大きな事業所ほどライセンスモデルを、逆に支店などの規模の小さなオフィスではオンデマンドモデルを採用する傾向にある。
le Guisquet氏は先の会見で、Oracleの考える未来型CRMの新モデルを披露した。「CRMは大きな変革を遂げ、その使い方も大きく変わっている。われわれは、作って売るという世界から、感じて対応するという世界へ移ってきた。そして、これからはカスタマーセントリックな企業へと変化していく」(le Guisquet氏)
同社は、Fusion Projectの下で開発されるCRM製品は2008年以降に登場する見通し。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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