IDC Japanは6月2日、国内ビジネスモビリティ市場に関して2009年の分析と2010〜2014年の予測を発表した。同社によると2009年に社外でPCを利用しているユーザー(ビジネスモビリティPCユーザー)は414万人で、全PCユーザー(法人)の12%、ポータブルPCユーザー(法人)の23%に達したとしている。
IDCでは「ビジネスモビリティ」をPC、携帯電話、スマートフォンなどを利用し、社外で必要なデータやアプリケーションにアクセスでき、社内と同様に仕事ができることと定義している。また、社外でビジネス用途にPCを利用しているユーザーを狭義の「ビジネスモビリティPCユーザー」と定義している。
ビジネスモビリティを望む潜在ユーザーは多く、2009〜2014年のビジネスモビリティPCユーザーの年間平均成長率は7.8%、2014年には602万に達するとIDCでは予測している。同市場が活性化する促進要因として、国内労働人口の減少、データ通信カードの普及、デスクトップPCからポータブルPCへの移行促進などがある。逆に阻害要因としては、セキュリティの制約、スマートフォンなど競合製品の普及、携帯電話の高速データ通信仕様であるLTE(Long Term Evolution)インフラの整備遅延などが挙げられるとIDCでは見ている。
一方、2009年のスマートフォン市場は、法人、個人を合わせると2008年の約3倍の204万人に増えたが、これはまだ、全携帯電話加入者の約2%に過ぎないという。機種別で比較すると、2009年はiPhone中心の競争の構図となったが、今後はAndroid端末が主流となる可能性が高いとIDCでは予測している。同社ではこの市場が今後、大きく伸びると見ており、2010年には約410万人、2014年には約1500万人に達し、全携帯電話加入者の約12%をスマートフォンユーザーが占めると予測している。ただ、ビジネス市場への普及は限定的であり、オープンプラットフォーム環境の整備や開発環境が大きく改善されない限り、2014年でも全スマートフォン市場の約5%にとどまるという。
IDC JapanのPC、携帯端末&クライアントソリューションシニアマーケットアナリストである木村融人氏は「ビジネスモビリティ市場では、PCに比べスマートフォンの利用率は低い。今後スマートフォンの法人市場が拡大するためには、LTEインフラ整備のための積極的な投資やスマートフォン端末ラインアップの強化、オープンアプリケーション向け開発環境の整備が必須だ」とコメントしている。
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