藤田(チーフデザイナー) モバイルノートには、大きく2つの方向性があると思うんです。1つは「タフ&ユーザビリティ」、とにかく頑丈で機能重視という志向性ですね。もう1つは「スマート&プレミアム」、知的でエレガントで、所有していること自体に喜びがあるものです。
でも実際には、大多数のビジネスユーザーがその両方を兼ね備えたマシンを求めているはず──自分自身の素直な感覚からも、まずそう考えました。ですから今回『LOOX Rシリーズ』では、片方のベクトルに偏るのではなく、両方をいいバランスで満たすことを最重視しています。この「最適バランス」というのは、デザインだけでなく、プロダクトの開発全体にかかわる最大のテーマだった気がします。
藤田 そうですね。最近エンジニアやプロダクトデザイナーの間でよく使われる用語に「感性品質」というのがある。これは簡単に言うと、何かを見たり使ったりした際に、大多数の人が「ちょうどよい」と感じてくれる最適バランスのことです。いま各分野のメーカーさんが何とかそれを数値化しようと頑張っていますが、実際にはなかなか難しい。
藤田 いろいろ模索した結果、まず今回は「自然素材」からモチーフを見つけようと決めました。「自ずから然り」という言葉からも分かるように、環境にもっとも適合した機能性と、一切の無駄を排除した美しさを兼ね備えているのが自然素材だろうと考えたからです。
水、鉄、鉱物などいろんな素材からアイディアを展開し、今回はゴールとして「竹」を選びました。竹という素材は、柔軟にしなる一方で、そうとうの負荷をかけても簡単には割れない強度も持っている。しかも、手にした際の触感がスベスベしていて、何とも言えない上品さも感じさせてくれます。「機能的でスマート」という今回のコンセプトには打ってつけだろうと。
分かりやすいところでは天板にさりげなく1本、横方向の線を入れました。竹の「節」をイメージしたもので、これによって平板になりがちな外観にアクセントを加え、ちょっとしたプレミアム感を演出したいなと。
藤田 そう感じていただけると嬉しいですね。もちろんデザイナーが発想する際のモチーフとして今回は「竹」を選んだということであって、そのイメージを過度に強調しないようには気をつけました。
フォルムの面でもう1つ挙げますと、実は横から見たときに平行なラインが1本もないんです。竹は成長する際、決して平行には伸びていかない。それと同じように少し先細ったシルエットを採用することで、全体のフォルムに微妙なニュアンスを加えてみました。先端を少し狭めることで全体をより薄く見せる効果も働いています。実際に内側をレイアウトするエンジニアにはそうとう苦労をかけたと思いますが(笑)。
従来の10.6型ワイド液晶搭載モデル(LOOX T70X)とほぼ同じ設置面積に12.1型ワイド液晶を搭載。コンパクトさと使いやすさを兼ね備えた、富士通の新しいビジネスモバイルノートが、この『LOOX Rシリーズ』だ。最新の「インテル Core2 Duo プロセッサー 低電圧版」や、ガラス厚を薄型化したLEDバックライト液晶の採用などにより、約1.27kgの軽量ボディーと約11.7時間という長時間稼働を両立。また200kgfを再現した天面部の全面加圧試験や35kgfの一点加圧試験など厳しい基準をクリアし、真のモバイルギアにふさわしい堅牢性もしっかりと確保されている。また本体天面部には光沢のグロスブラック色を採用。デザイン面でのプレミアム感も大きな魅力だ。
●外形寸法:W274~280×D207×H27.3~37.4mm
●CPU:インテル Core2 Duo プロセッサー低電圧版SL7100(1.20GHz)
●OS:Windows Vista Business
●メモリ:1GB
●HDDドライブ:約120GB
●光学ドライブ:DVDスーパーマルチ(DVD±R 2層書き込み対応)
●通信機能:IEEE802.11a/b/g、Bluetooth
●インターフェース:USB2.0×3、モデム(RJ-11)、LAN(RJ-45)、IEEE1394(S400 4ピン)、外部ディスプレイ端子(アナログRGBミニ D-SUB 15ピン)ほか
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