世界最軽量の薄型ノートであるdynabook SS RXシリーズに新モデルが登場した。東芝が「モバイルの理想形」と表現するこのビジネスモバイルを、前・後編でレビューしたい。この前編では、社内でデスクから会議室、休憩室でのアイディア出しまで、思いのほか移動する機会が多い「社内モバイル」の用途での使用感をレビューする。
ライター:永島和夫 編集:アクティフ
オフィス内でノートPCを使用している場合でも、会議などで意外に持ち歩くことは多いものだ。そのため、移動中のアクシデントに対する耐久性も必要だし、当然軽くて、薄いほうがいい。メインのマシンともなれば、デスクに座ったときに外部モニターを使って仕事の効率を上げる方もあるだろうし、拡張性も必要だ。もちろん、自宅に持ち帰るとなれば、満員電車での耐久性も必要となるなど、かなり要求が高いことが気づく。
今回紹介する東芝の企業向けモバイルノートPC「dynabook SS RX」(以下、SS RX)の第一印象は、とにかく薄いということ。薄さも究極まで贅肉をそぎ落としたというような言葉にぴたりと当てはまるほど、スレンダーな印象を受ける。軽さという点でも仕様によって768〜1,079gと軽く、世界最軽量の持ち歩くことが多いユーザーにはありがたい。
薄型のノートPCというと、どうしても華奢な印象を受けてしまうものだが、このSS RXも、見た目の第一印象はそうだ。厚みがないので、頑丈とか無骨という印象にはつながらない。しかし、ボディの一部に弾力がある部分があるが、肝心の骨格はガッチリしていることが触っているうちにわかってくる。華奢な印象があるが、ボディ全体がたわんだりすることがないのだ。一見、がっちりしている大型のノートPCでさえ、持ち上げた瞬間にボディがたわんだり、きしみ音がでる機種もあるなかで、はるかに薄くて軽いSS RXにそういった印象をほとんど受けなかった。
SS RXのこの骨格の頑丈さは、持ち歩く際の安心感につながる。たとえば、毎朝避けて通れない通勤電車での圧迫は予想以上に激しい。ノートPCのユーザーとしてはヒヤヒヤする瞬間だ。通勤通学のキャリアが長ければ、ペタっと折り目がついてしまった新聞から、お弁当のおにぎりの変形までさまざまな経験があるだろう。SS RXの見た目に反したボディのタフさは数値の面でも証明されており、満員電車のなどで押しつぶされたような場合を想定した押し付けの強度は、面加圧で100kgfをクリアしている。万が一落としてしまった場合でも、75cmの落下試験をしているという。
また、オフィスといえど、水分による被害もある。ノートPCならではだが、筆者の場合はアイディア出しに休憩室、喫茶店でも使うことが多い。経験では、残りのコーヒーが少なくなったカフェの紙コップが実に倒れやすく、実際にヒヤリとした経験がある。ノートPCの耐久テストではよく「水」が使われるが、実際の場面では水ではなく、傍らに置いたコーヒーやコーラということが多いはずだ。以前からこの矛盾が気になっていたが、SS RXは100ccのコーヒーやソーダ水での浸水テストをクリアしている。SS RXの場合、キーボード部分に液体がかかっても、「ウォーターブロック構造」を採用しているので、PC内部への液体の侵入を遅らせることができる。テストでは、3分間、動作中の状態を維持し安全にシャットダウンを行えた。
キーボードに液体がかかったときは、保守サービスを利用して修理する必要はあるが、猶予時間があるおかげで大切なデータを守れるわけだ。
しかも、その数値はメーカー測定値でなく第3者による測定値。これらの数値はドイツの認証機関TUV Rheinland Group(テュフラインランドグループ)で実施したものだという。ここまで数値に裏打ちされた上での薄さなら、安心して使うことができる。
SS RXの厚みは最大でも25.5mm。これは後ろ側の厚い部分を含んだ数値なので、実際の見た目はもっと薄く感じる。筆者の場合、普段資料が多く、ノートPCと資料でカバンがパンパンになってしまうことがある。以前は、ノートPCで場所をとり、資料がカバンに入りきらず、別の紙袋や封筒に入れて持ち歩いていた。その資料を棚に置き忘れて困ってしまったこともある。
SS RXを使っていると、資料もすっきりカバンひとつに収まることが多いことに気がつき、別の紙袋なしでも大丈夫なことが多くなり、薄さはファイルあと1冊を入れるために必要な性能だ、と身に染みた。
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