ソニーは4月27日、2003年度の連結決算を発表した。売上高が前年比0.3%増の7兆4964億円となったものの、営業利益は同46.7%減の989億円、税引前利益は同41.8%減の1441億円、当期純利益は同23.4%減の885億円と大幅な減益になった。
営業利益が減少した主な要因は構造改革費用の増加にある。2003年度に計上された構造改革費用は前年比618億円増の1681億円。内訳は早期退職関連が1334億円、資産除売却等が347億円。2003年度の早期退職者は国内が5000人、海外が4000人で、合計9000人になった。「想定以上の人数が集まり、予定より前倒しで進んでいる」(ソニー執行役常務兼グループCFOの湯原隆男氏)。今回の構造改革により、年間で880億円の効果が出ると同社では見込んでいる。
ソニー執行役常務兼グループCFOの湯原隆男氏 |
分野別の業績を見ると、エレクトロニクスの売上高は前年比0.9%減の4兆8974億円、営業損益は同767億円減となり、353億円の赤字になった。これは同分野における構造改革費用が708億円増加したことや、販売単価の下落が影響した。製品カテゴリー別では、ブラウン管テレビ(CRT)の収益性が悪化したことでテレビ部門が減収減益になった。薄型テレビの売上は好調だったが、部品を外部調達する必要があるためCRTに比べて利益率が低く、減益につながった。一方、デジタルカメラを中心にCCDが好調なこと、PCドライブの販売数量が伸びたことから半導体やコンポーネント分野は増収増益となっている。
ゲーム分野の売上高は前年比18.3%減の7802億円、営業利益は同40.0%減の676億円となった。PlayStation 2(PS2)の販売台数が米国で減少したこと、全世界で販売価格を引き下げたことが減収につながった。ゲームソフトはPS2用が販売数量、売上金額ともに伸びたが、PlayStation用ソフトが落ちこんでいる。
同社の営業利益をゲーム分野と並んで支えているのが金融分野だ。売上高にあたる営業収入は前年比10.5%増の5935億円、営業利益は同142.4%増の552億円となった。これはソニー生命の収益が増えたことが主な要因という。
2004年度の業績見通しについては、2003年の構造改革の効果が現れるとして、大幅な増益を見込んでいる。売上高は2003年度比1%増の7兆5500億円、営業利益は同62%増の1600億円、税引前利益は同11%増の1600億円、当期純利益は同13%増の1000億円になるとしている。この当期純利益の中には、ソニーの持分法適用会社である米InterTrust Technologiesからの持分法利益が約1億ドル含まれている。InterTrustは米Microsoftとの特許訴訟に関して4月に和解し、総額4億4000万ドルにのぼるライセンス契約を結んでいる。
ソニーでは「Transformation 60」という中期経営計画の中で、2006年度の連結営業利益率(金融除く)を10%にする方針を掲げている。しかし2003年度の同営業利益率は3.1%といい、2004年度も3.5%にとどまる見込みだ(いずれも構造改革費用は含まず)。この点について湯原氏は「2006年度の10%という数字は構造改革等の取り組みの延長線上にあり、計画通りに進められている」と話し、目標数値の変更などは行わない考えを示した。2004年度の構造改革費用は1300億円になる予定だ。
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