4月下旬のほぼ500円水準から一貫して半年近くものあいだ下落トレンドを続けてきた沖電気工業の株価がようやく底入れ、反転上昇の兆しをみせはじめている。今3月期の連結営業利益についても、会社側従来予想の290億円が300億円を上回る水準に上方修正される公算が高いうえ、今3月期末には復配の可能性が高まるなど、今期から来期に向けての業績向上に対する期待感が高まっていることが背景にある。
準大手証券の電機担当のアナリストは「沖電気の会社予想の今3月期連結経常利益は、前期比60%増の200億円予想だが、前期の改善幅から見て250億円は堅いのではないか。純利益は同7.5倍の100億円予想だが、125億円程度に上積みされる可能性が濃厚とみている。時価水準の株価360円前後はPER18倍(予想1株利益20.4円)と割安感がある。今期は3〜5円復配も期待できる。また同社は、業績回復期には予想外に利益を伸ばす習性もあり、新札需要に伴いATM(現金自動預け払い機)金融端末、プリンタが回復をリード。さらにIP電話の成長性にも注目。ビジネスホン、データ通信回線に音声を統合させるネットワーク技術VoIPを軸にIP電話は普及が進み、採用企業が相次いでいる。また、半導体も活況で、液晶テレビ用ドライバLSIなどカスタムICの拡大が予想される」としている。
来期以降の業績向上の裏付けとなる材料としては、カラーページプリンタの成長期待がある。同社のカラープリンタはLEDヘッドを採用していることが大きな特色で、レーザー方式と比較してコンパクトで相対的に低コストというメリットがある。これまでこの部門はハード中心で採算は赤字となっていたが、今後は利益率の高い消耗品も含めたトータルでは黒字が定着してくる見通しだ。
もうひとつ、注目したいのが液晶テレビ用ドライバLSIで、高負荷駆動を可能にしたこの製品の評価が非常に高い。実際、テレビ用液晶パネルを製造している韓・日の最大手クラスの企業に採用されている模様。大型画面液晶テレビの市場規模は今後高成長が続くものと予想されるため、高負荷駆動と高階調を可能にするドライバLSIなどを先行投入することにより、大画面テレビ用液晶ドライバLSI分野で高いシェアを維持することで今後はかなり有利な展開が予想される。さらに、通帳印字機など中国向けの金融機関事業で、3年後の2007年度には100億円の売上高を目指していることも注目したい。
株価は4月下旬の500円水準からハイテク株相場全体の軟調に連動するかたちで、半年近くの下降トレンドを強いられてきた。ところが、これも9月29日の338円安値を底にようやく反転上昇の兆しをみせはじめてきた。当面は戻り高値の9月14日の395円が第一目標となりそうだ。また、10月28日に予定される9月中間期の決算発表の内容と下期を含めた2005年3月期の業績見通しに注目したいところだ。(超眼)
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