紙の本と電子書籍、どちらが価格的にお得かは、新刊とそうでないものを一緒に考えるとややこしくなるので、これらを分けて見ていこう。まずは新刊。これは電子書籍の方がわずかながら安価な場合が多い。紙の本のような品切れがなく、ほしいと思った時にすぐ買えるメリットも考慮すると、電子書籍のほうが有利といえる。ただし現状では紙と電子が同時に発売されることはまれなので、世に出た新刊を一日でも早くゲットしたい人にはそもそも最初から対象外であることが多い。
新刊以外の既刊本については、Amazonのマーケットプレイスなどの中古本まで競合に入れて比較すると、これは電子書籍には勝ち目はほとんどない。買ってみたところページに折れや汚れがあるかもしれない中古本のデメリットや、買えばすぐ届く電子のメリットを考慮に入れつつ、どの程度の価格差までなら許容できるか、という判断になる。
ただし、これは電子ならではの特徴というよりも、柔軟な価格設定ができない日本の電子書籍市場の構造面に起因するもので、逆に海外では電子書籍は価格の安さこそが最大のメリットとする見解も根強い。日本国内でも、ストアによっては期間限定で値引きセールをしたり、ポイント還元をするなど、紙には見られないお得な制度があるので積極的に利用したい。毎月決まったポイントを購入することでボーナスポイントがもらえ、結果的に割安で買えるストアもある。
とはいえ、会員費や維持費のような形で本の購入費以外に利用料金を払わなければいけないストアはほとんどなく、どこも基本的に本の価格だけで利用できるのは救いだ(月額読み放題などのシステムを設けているところはある)。複数の電子書籍ストアを併用しても維持費がかからずに済むからだ。
以上見てきたように、電子書籍には紙の本と違ったメリットやデメリットがある。現状では、今すぐに紙から電子の書籍へと全面的に切り替える必然性はなく、興味やきっかけがあれば試してみる程度で十分だ。その上でメリットを実感できるようなら増やし、合わなければ紙に戻ればいい。極端な話、家族に見られたくない本に限って電子書籍で買うというのも立派な動機だろう。
ただし、さまざまな電子書籍ストアの登場によって選択肢が増え、対応デバイスも安価に購入できるようになりつつある現在は、電子書籍の世界に足を踏み入れる絶好のタイミングであることもまた事実。次回は電子書籍を読むためのデバイスの特徴と選び方について、詳しく見ていくことにしたい。
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