最終更新時刻:2011年2月28日(月) 21時26分

Techventure 2008 CNET NETWORKS Japan

プラットフォーム事業でベンチャーとWin-Winの関係を

2008/02/20 14:10  

久保真氏

 2006年7月にNECからインターネットサービス事業部門が独立、分社化したNECビッグローブ。分社にあたりNECの文化だけではなく外部の新しい血も必要だと他から株主を迎え入れ、目線を広げることで、新たな企業文化の醸成を図った。

 2007年10月には、新規事業の戦略投資とアライアンス展開の推進を担う新会社「BIGLOBEキャピタル」を設立。さらに11月には投資ファンド「BIGLOBEファンド」を設立し、ネット系ベンチャー企業への積極的なアプローチを展開している。

ベンチャーの力で事業展開に加速度つける

 同社がこれまで培ってきた、インターネットサービスにおける様々なノウハウをベースにパートナー企業とのアライアンスを強化し、新しいビジネスの創出を図るのが目的だが、同社が考えるベンチャーとの提携について、同社事業開発室シニアエキスパートの久保真氏は「ベンチャー企業とWin-Winの関係をつくっていきたい」と強調する。

 NECビッグローブのビジネスは、会員接続サービスとしてのISP事業、コンテンツや広告を提供するポータル事業に加え、それらのBtoC事業で培ったノウハウを提供するプラットフォーム事業の3つを柱に展開する。個人向けサービスから、法人向けソリューションまで幅広く手掛ける同社では、ベンチャーと手を組み新しいビジネスを創出する際に同社が持つ経験やソリューションを提供し、新たなビジネスを、加速度的にインキュベーションしたいと考えている。

提携ではなく投資の視点

 久保氏は「事業開発的な立場でいうなら、"提携"はある程度お金の流れに沿って実を目指す"for BIGLOBE"の関係。それに対して"投資"はどのように投資先のサポート環境を整えればその会社が伸びていくかという視点にある。」と説明する。

 例えばポータルサイトからトラフィックを送るとか、データセンターを任せてもらうことで安定的にビジネスに集中してもらうとか、事業会社として我々の側も生かせるものがあると思う。ベンチャーにとってプラスになるのであれば、ビッグローブが持つノウハウやアセットを含めた支援を行っていきたい」というのだ。

ベンチャーは機敏さが強み

 一方、同社がベンチャー企業に期待するのは独自性だ。「動画とかCGM系とか効果測定など、細かなものも含めたソリューションの提案が求められることもある。本来は我々自身が事業として開発しなければならないことだが、会社の事業規模に伴い、なかなか手がつけられないケースもある。しかし、そこを機敏に動いて価値をつくっていけるのがベンチャー企業の強み。」

久保真氏
シニアエキスパート 兼 ポータル事業部シニアプロデューサー 久保真氏

 「我々としては、いろいろな企業とパートナーシップを組むことで、我々のできない部分を解消していきたい。ダイナミックに事業を展開するには、ベンチャー企業との接触が必要不可欠だと考えている」と久保氏は語る。

 久保氏にとってアライアンスの理想型は「社内にも新規事業にチャレンジできる制度があるが、重要なのはまずやってみるという文化をつくること。個人的に期待するのは、ベンチャーを招いてそのアイディアを創発し、社内でそれを提案すること」だという。

【問い合わせ先】
BIGLOBEキャピタル株式会社
URL: http://www.biglobe-capital.com/
E-mail: info@biglobe-capital.com
ベンチャー支援企業の取り組み
起業直後のベンチャーが事業に集中できる環境作りを
ソネットエンタテインメント株式会社
好調な業績を背景に今年1月17日に東証一部への上場を果たしたソネットエンタテインメント

国内の投資成果を生かし海外への進出も積極的に
株式会社サイバーエージェント
事業ドメインの3本柱として、「ネット広告代理店業」「ネットメディア事業」とともに、「投資育成事業」を掲げているサイバーエージェント

SpikeSourceを核にWeb2.0企業との協業を進める
日本電気株式会社
半導体事業からハードウェア、ソフトウェア開発までコンピュータ関連ビジネスを幅広く手がけているNEC

プラットフォーム事業でベンチャーとWin-Winの関係を
NECビッグローブ株式会社
2006年7月にNECからインターネットサービス事業部門が独立、分社化したNECビッグローブ

企業市民活動の一環としてベンチャーを自治体とともに支援
日本マイクロソフト株式会社
33年前、アメリカシアトルの一ベンチャー企業として出発し、21世紀を代表する世界的企業に成長したマイクロソフト

協賛企業
最新インタビュー
グローバル展開こそネットの醍醐味--アイ・ブロードキャスト上田社長に聞く
株式会社アイ・ブロードキャスト
携帯電話向け画像・動画変換ソフト開発のアイ・ブロードキャスト。同社代表取締役である上田拓右氏に企業概要と今後の展開などについて聞いた。

位置連動型広告は日本から世界へ--シリウステクノロジーズ宮澤社長に聞く
株式会社シリウステクノロジーズ
「位置情報に付随して表示するマッチング広告」を武器に大学在学中に起業したシリウステクノロジーズ代表取締役社長の宮澤弦氏に聞いた。

モバイルサイトを育て、起業家を生み出す―エンターモーション島田社長に聞く
株式会社エンターモーション
モバイルの世界で近年盛り上がりを見せているのが、広告を主体とした一般サイトだ。エンターモーションはそうした一般サイトのビジネスを支えるソリューションを提供するとともに、起業家の育成にも力を入れている。

「世界初」が世界進出への個の力を結集させる--エニグモ須田共同CEOに聞く
株式会社エニグモ
エニグモが提供するサービスはどれも独自性に溢れている。その源泉となるものは何か――。同社共同最高経営責任者を務める須田将啓氏に聞いた。

2chの哲学、異質な動画共有「ニコ動」として世界へ--ニワンゴ杉本社長に聞く
株式会社ニワンゴ
PCのID登録者数が600万人を突破した「ニコニコ動画」の勢いが止まらない。その成功の原点と今後の方向性についてニワンゴ代表取締役社長である杉本誠司氏に聞いた。

目指すは国境なき取引市場の中継地点--オークファン武永社長に聞く
株式会社オークファン
モノとモノの取引は、価格情報が明確であれば容易に取引の場は国境を越える――。商品の総合的な相場検索サービスを展開するオークファン社長の武永氏に、設立の経緯や今後の展開などを聞いた。

世界的なソフトウェア会社を日本から--コミュニティーエンジン中嶋社長に聞く
コミュニティーエンジン株式会社
オンラインゲームなどに活用される通信ミドルウェアの開発などを行うコミュニティーエンジンの中嶋謙互社長に、事業の現状と今後の展望を聞いた。

放送の視聴機革命が、通信融合の未来を変える--PTP有吉社長に聞く
株式会社PTP
地上波全チャンネル、24時間すべての番組を録画する。しかも、圧倒的な使い勝手の良さ――。大容量ハードディスクレコーダー「SPIDER PRO」を展開するPTP代表取締役社長である有吉昌康氏に聞いた。

豊かな交流促す技術の舞台は「携帯」であり「グローバル」--ウタゴエ園田社長に聞く
ウタゴエ株式会社
「うたごえ検索」を看板技術として設立されたウタゴエ。「人々のコミュニケーションを豊かにする」をポリシーとし、「グリッド技術」を用いた映像等の配信事業にも着手。すでに海外進出へも踏み出している同社社長の園田智也氏に聞いた。

画像認識技術で新たな広告市場を切り開く――ジェイマジック宮田社長に聞く
ジェイマジック株式会社
ジェイマジックは、芸能人の誰に似ているかを教える「顔ちぇき!」で一躍有名になった。ただ、元々は画像認識技術を活用したサービスを展開する企業であり、携帯電話やネットと絡めることで、大きなビジネスの展開を狙っている。