2008/02/20 14:10
2006年7月にNECからインターネットサービス事業部門が独立、分社化したNECビッグローブ。分社にあたりNECの文化だけではなく外部の新しい血も必要だと他から株主を迎え入れ、目線を広げることで、新たな企業文化の醸成を図った。
2007年10月には、新規事業の戦略投資とアライアンス展開の推進を担う新会社「BIGLOBEキャピタル」を設立。さらに11月には投資ファンド「BIGLOBEファンド」を設立し、ネット系ベンチャー企業への積極的なアプローチを展開している。
同社がこれまで培ってきた、インターネットサービスにおける様々なノウハウをベースにパートナー企業とのアライアンスを強化し、新しいビジネスの創出を図るのが目的だが、同社が考えるベンチャーとの提携について、同社事業開発室シニアエキスパートの久保真氏は「ベンチャー企業とWin-Winの関係をつくっていきたい」と強調する。
NECビッグローブのビジネスは、会員接続サービスとしてのISP事業、コンテンツや広告を提供するポータル事業に加え、それらのBtoC事業で培ったノウハウを提供するプラットフォーム事業の3つを柱に展開する。個人向けサービスから、法人向けソリューションまで幅広く手掛ける同社では、ベンチャーと手を組み新しいビジネスを創出する際に同社が持つ経験やソリューションを提供し、新たなビジネスを、加速度的にインキュベーションしたいと考えている。
久保氏は「事業開発的な立場でいうなら、"提携"はある程度お金の流れに沿って実を目指す"for BIGLOBE"の関係。それに対して"投資"はどのように投資先のサポート環境を整えればその会社が伸びていくかという視点にある。」と説明する。
例えばポータルサイトからトラフィックを送るとか、データセンターを任せてもらうことで安定的にビジネスに集中してもらうとか、事業会社として我々の側も生かせるものがあると思う。ベンチャーにとってプラスになるのであれば、ビッグローブが持つノウハウやアセットを含めた支援を行っていきたい」というのだ。
一方、同社がベンチャー企業に期待するのは独自性だ。「動画とかCGM系とか効果測定など、細かなものも含めたソリューションの提案が求められることもある。本来は我々自身が事業として開発しなければならないことだが、会社の事業規模に伴い、なかなか手がつけられないケースもある。しかし、そこを機敏に動いて価値をつくっていけるのがベンチャー企業の強み。」
「我々としては、いろいろな企業とパートナーシップを組むことで、我々のできない部分を解消していきたい。ダイナミックに事業を展開するには、ベンチャー企業との接触が必要不可欠だと考えている」と久保氏は語る。
久保氏にとってアライアンスの理想型は「社内にも新規事業にチャレンジできる制度があるが、重要なのはまずやってみるという文化をつくること。個人的に期待するのは、ベンチャーを招いてそのアイディアを創発し、社内でそれを提案すること」だという。