NECビッグローブ(BIGLOBE)は11月9日、都内にて「Webエンゲージメントセミナー ソーシャルメディアプラットフォーム〜企業自らがリードするソーシャルというメディア〜」を開催した。
セミナーの第1部ではロフトワーク代表取締役諏訪光洋氏が「ソーシャルメディアとエンゲージメント戦略」というタイトルで講演した。
まず、諏訪氏は「エンゲージメント」の概念を解説した。そもそもマーケティング用語で顧客の信頼度や愛着度を指す「ロイヤリティ」という言葉に代わって使われるようになったエンゲージメント。「ロイヤリティは君主に対する忠誠心から来ている。しかし、消費者にそのような“忠誠心”を求めることは無理。エンゲージメントは婚約という意味もあるように、対等な関係を現す」と、企業が消費者から信頼を得て、より良い対等な関係を築くことが重要だと述べた。
諏訪氏はエンゲージメント構築に大きな威力を発揮するのが、ソーシャルメディアだと語る。その顕著な成功例としてStarbucks Coffee(スターバックス)を取り上げた。同社はFacebookで1600万件の「いいね」、Twitterで100万人以上のフォロワーを獲得している。
もちろん、スターバックスのような大企業だけがソーシャルメディアを活用しているのではない。小さな店舗でもTwitterやFacebookを活用し、売り上げを伸ばしているところは数多くある。たとえばグレイスが運営する六本木の飲食店「豚組しゃぶ庵」では、Twitterを早くから利用しており、顧客の10%がTwitter経由で来店するという。
ソーシャルメディア時代においては3パターンのメディア、すなわち(1)ウェブ広告などのペイドメディア、(2)口コミ、CGMなどのアーンドメディア、(3)自社サイトなどのオウンドメディアをうまく組み合わせ、活用していくことが重要になる。
スターバックスの例で言えば、オウンドメディアとしては「My Starbuks Idea」というサイトを運営しており、消費者からさまざまな提案を取り入れている。これがまたTwitterやFacebookなどで伝搬し、スターバックスのファンを増やすことにつながる。
一方、トリプルメディアの取り組みに失敗し、ブログ炎上など手痛い目にあう企業も少なくない。諏訪氏は失敗する例として次のようなポイントを挙げる。
アーンドメディアに広告的な手法でアプローチしたり、バズマーケティングの名残を持ち込もうとすると、ユーザーの反発を買って失敗する。失敗しないためには、ペイドメディアからアーンドメディアに波及させようとするのではなく、オウンドメディアからアーンドメディアへ波及させるという発想の転換が必要だ。
諏訪氏は「ソーシャルメディアに取り組んだからエンゲージメントが確立できたという例はない、エンゲージメントができているからソーシャルメディアを通じてユーザーと信頼関係が深められる」と、中長期的な戦略を持ってじっくり取り組むことが大事だと述べた。
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