2008/02/20 14:07
事業ドメインの3本柱として、「ネット広告代理事業」「ネットメディア事業」とともに、「投資育成事業」を掲げているサイバーエージェント。投資実績も好調で、2006年にはmixiやドリコム、2007年には、AQインタラクティブやフルスピードなどの投資先計9社が、順調に上場を果たした。同社の投資戦略について、田島聡一投資育成事業部長は次のように語る。
「ただ資金を提供するだけではなく、広告販売や商品開発など事業面における多様なアライアンスを用意しています。
さらに同社は、2年ほど前から積極的に中国やベトナム等、アジア市場への進出も進めている。中国では上海を拠点にJAIC(日本アジア投資株式会社)と組んで投資を行い、ベトナムでは市場調査や投資案件の発掘をしつつ、今年中に現地に拠点を置く予定だという。
「中国市場では、ネット広告の分野だとアフィリエイト・SEO等のサービスがまだ発達していません。ECやモバイルコンテンツもこれからです。そういった分野で先手を取れれば面白いと思います。また、ベトナム市場は、90年代後半の中国に極めて近い状態だと分析しています。また、8500万人の人口のうち、インターネットビジネスと親和性の高い40歳以下の人口が約70%を占めています。高いGDP成長率を考えると、進出は非常にいいタイミングです」(同社専務取締役の西條晋一氏)
その海外投資部門の責任者が、投資育成事業部シニアマネージャーの北川伸明氏だ。北川氏は、2006年にNTTドコモからサイバーエージェントに転職した。入社と同時に中国担当者に任じられたという。
「責任感とともに任せてもらえる喜びがありましたね。現在は、投資案件の調査や審査を初めとして、海外投資全般を管轄しています。規制の急な変更や株式市場の今後の動向など、海外特有の不確実性もありますが、市場と経営者を見る目があれば日本も海外も変わりません」
北川氏は、転職した理由について、サイバーエージェントでなければできない仕事があったからだと語る。
「前職でも海外のM&Aに関連する投資を担当してきたのですが、投資を本格的に事業として行う環境を経験してみたかったんです。サイバーエージェントでは、キャピタリスト一人一人が自分自身で仕事の方向性を決定して経営者視点で投資を実行することが求められます。そのため、投資スキル、事業スキル等様々な能力が要求されますが、キャピタリストとしてのみならず将来の経営者として成長できる可能性も高く、仕事の場として非常に良い環境にあると感じています」(北川氏)
総合ネットサービス企業として企業規模を拡大し続けている同社は、投資部門でもさらなる拡大を狙い、海外担当の人材を求めている。インターネットに関心が高く、ベンチャー投資の海外市場を自ら切り拓くことに喜びを感じる、それがサイバーエージェントの期待する人材像だ。
ベンチャー時代から同社が培ってきたマンパワーの伝統は、新規投資の分野においても今後も大きな原動力として働くことになりそうだ。