東芝撤退! 次世代DVD戦争は何を残したか

2008年2月18日 02時00分

 ソニー・松下が主導する「Blu-ray Disc(BD)」と東芝が主導する「HD DVD」の次世代DVD規格争いが大詰めを迎えているようです。ロイターは16日、東芝がHD DVD関連事業から撤退する方向で最終調整に入った、と報じています。ここ数カ月の動きを振り返ると、年初にWarner Bros. がHD DVD陣営からの離脱を表明し、またゲーム業界でも、HD DVDをサポートする「Xbox 360」がBDに対応する可能性もある、とMicrosoft幹部が漏らしていました。さらにウォルマートやNetflixといった小売業者もBD支持に回っています。長かった次世代DVD規格争いがBD陣営の勝利という形で終わるとすれば、両陣営の勝敗を分けた決め手は何だったのでしょうか。そして今回の規格争いは市場と消費者に何をもたらしたのでしょうか。パネリストの皆さんのお考えを聞かせてください。


  • 神田敏晶
    神田敏晶さん (ビデオジャーナリスト)
    メーカー主導型の規格争いでも、最終的なジャッジメントの場は、いつの場合もエンドユーザー側にあります。

    メーカーたちは、ユーザーのベネフィットを考えて規格を、時には独占的な利益を考えたあげく、結果として、規格は対立する構造となってしまいました。

    今回の今世代(もはや次世代ではない)DVD規格戦争では、なんと、ユーザーのジャッジメントがなされないまま、ステークホルダーだけで勝手に勝敗が決められたユーザー不在の戦争だったのではないでしょうか?

    かつてのVHS VS ベータの場合、勝因はなんといっても、VHS1本のあたりの長時間録画(当初は2時間)というユーザーのコスト意識でした。また、ビデオパッケージが発売され、レンタルビデオ店が登場した1980年代、映画が丸々2時間ダビングできるという事や、知人のダビングしたテープが借りられるという庶民感覚が、画質や音質やサイズ(VHSのほうがはるかに大きい!)に勝ったのです。また「洗濯屋ケンちゃん」なるキラーコンテンツも電器屋さん経由でVHSでダビングしてもらえるというおおらかな時代でもありました(笑)。

    今回、HD DVD陣営は、既存のDVDよりも同等、もしくは安価に生産ラインに乗せられるというサプライヤー側の最大のベネフィットがありました。それで、ハリウッドも大きく割れました。しかし、BD陣営の両面50GBという大容量がシェアの拡大によって、DVDのビジネスを大きく変化してきたのです。

    おそらく、それはBD-BOX版を発売し、BD1枚でTV全シリーズをハイデフで、映画をまとめてたったの一枚で、永久保存版として売り出せるという事なのです。
    映画シリーズも1,2,3と一枚でコレクションできたり、関連シーンをつないでBGM的視聴や、YouTubeなどに投稿されたCGMもボーナス収録などという提案をBD陣営から映画会社は、受けたのではないでしょうか?

    DVDパッケージでナンバーワンのタイムワーナーのHD DVD陣営への謀反の原因は、HD DVDの量産コストと、DVDーBOX版からBD-BOX版へのアップグレードを考えた場合、はるかにメリットがありとソロバンをはじいたのではないでしょうか?
    あくまでも憶測にすぎませんが…。

    しかしです。ユーザーの大半がBD機器になるまでには、かなりの時間がまだかかります。

    BD陣営が次にすることは、BD機器を売る為にも、BDソフトをDVD並みの価格で販売することなのです。それがユーザーに支持されるための条件です。
    そうしないと、今度は、画質よりもネットの便利さで映画を購入するユーザーに、BD陣営は撤退をよぎなくされてしまいます。

    BD機器が売れてからではなく、BD陣営の勝利宣言と共に、レンタルビデオなどでのBDのレンタル化、BD-BOXによる過去のDVDーBOXセットのデジタルリミックスによるリストアで市場を牽引しなければなりません。

    その成果を見て、ユーザーは、はじめてBD機器の購入というジャッジメントを下すと思います。
    2008-02-18 03:43:11

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