shio直伝!! GR×Mac 究極の写真術--第3回:撮影編── 心を写そう!!

CNET Japan Ad Special 執筆/写真:塩澤 一洋2011年03月18日 13時00分
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(1) JPEGか、RAWか

こんにちは!! shioこと塩澤一洋です。

東日本巨大地震と津波で被災された大変多くの方々に、衷心よりお見舞いとお悔やみを申し上げます。また過酷な状況の中、救助や復旧に尽力されている方々に厚く御礼申し上げます。そのような状況を刻々と伝えてくれる写真の中には心を打つものがたくさんあります。それらをひとつひとつ見るたびに、哀悼の意を覚え、涙し、あるいは救助された人の喜びを分かち合うなど、さまざまな感情を抱いております。被災地から遠く離れて生活する私にできることは節電や寄付などほんの少ししかありませんが、「写真を撮る」ことについてはここに書くことで何らかのお役に立てるかもしれません。写真で伝える「気持ち」がひとつでも多く形になるように願って、この連載を続けさせていただきます。

連載3回目は撮影編。GRならではの撮影ノウハウについて、Aperture3の利用を念頭において話を進めていきます。

第1回:設定編(2011年3月4日公開済み)
第2回:準備編(2011年3月11日公開済み)
第3回:撮影編(2011年3月18日公開。今号)
第4回:公開編(2011年3月25日公開済み)

「チュムリアップ・スォー(こんにちは)」。近づいてくる学生たちに声をかけながら、腰の高さに携えたGRのシャッターを切る。カメラは垂直。もちろんモニターなど見ていない。相手の目を見てにっこり (^_^) プノンペン、カンボジア・GR DIGITAL 3(画像クリックで拡大表示)

GRで撮影する際、ひとつの決断を迫られる。
JPEGか。RAWか。

2005年10月に初代GR DIGITALを手にして以来2009年まで、常にJPEGを基本に撮り続けて来た。その背景には、GRの画質に対する絶大な信頼がある。初代GRを手にして数日後、パリのオペラ座を撮影した私は、その画質に驚愕したのだった。その写真はすでに写真展やWebで公開しているし、写真集「GR SNAPS II」にも掲載されている。まだご覧になっていない方は、ぜひ「GRist」のページ最下部にあるその写真をご覧いただきたい。

これでJPEGである。明暗も輝きも申し分ない。細部の描写も鮮明だ。これを撮影した私は、以後、GRがJPEGで描くクオリティーとリコーがGRに施したナチュラルな絵作りを心から信頼し、JPEGオンリーで使ってきたのである。

しかし、少し訳あって2010年の冒頭からRAWに変えた。当時、同じくリコーから2009年12月に発売された「GXR」で撮影した写真を銀座のギャラリー「RING CUBE」に掲載するご依頼をいただいたのだが、その指定が「RAWで」だったのだ。GXRのポテンシャルを伝えるため、「3×2メートル」の大伸ばしでプリントするという。だからそのファイルもGXRが得た情報をすべて生かしたRAWが望ましいとのことだった。納得。以降そのご依頼に応えるためRAWに変更し、ギャラリーに飾る写真を撮ることができた。その後もそのまま、GXRに限らずGRもすべてRAWで撮り続けることとなったのだ。この連載に掲載している写真もすべてRAWで撮影している。

したがって、絶対にRAWで撮るべきだなどとは現在でも考えていない。JPEGでもGRのポテンシャルを十二分に堪能できる。ファイルサイズが小さいから扱いも楽だ。1枚のSDカードで撮影できる枚数も多い。Aperture3でも普通に扱える。JPEGで何ら問題ないのだ。

一方、RAWで撮影するとファイルサイズが14.53MB。JPEGに比べて3~4倍大きくなる。それだけの情報量を保持ししているのだ。これを活かすとJPEG以上のことができる。それがRAWの魅力だ。その潜在力をあとから引き出すのがAperture3である。

撮ったままでもこのとおり。明るさの調整はしていない。GRは明部から暗部までこんなに描写するすばらしきポテンシャルの持ち主だ。といっても実はこれ、わかりやすい「微ブレ」写真の例でもある。プノンペン、カンボジア・GR DIGITAL 3(画像クリックで拡大表示)

JPEGでもRAWでも(そしてフィルムでも)、撮影時の露出は「青空基準」。つまり、風景を撮影する際、絵の上部に入る空が青く描写される明るさで撮影するのである。そのため、露出補正は常時「-0.3」か「-0.7」。アンダー目に写すのだ。「露出」とは写真を撮影する際の明るさのことだが、それは同時に色味も左右する。露出が高ければ空の青は薄く白くなり、露出が低ければ青が濃く写る。露出はパレットなのである。

写真全体の雰囲気において、空の青さは極めて大切。ほんのちょっとでも写真の片隅に空の青が入っているだけで、その写真が明るく、健康的に感じられる。だからできうる限り、青空を青く写したい。しかし、デジタルでもフィルムでも、白く飛んでしまった部分は救いようがない。明るく(露出を高めに)撮影した場合、実際の空は青くても写真では白く飛んでしまうが、そうなるとAperture3などのソフトをもってしても、元の青を取り戻すのは不可能だ。だから露出は低め、若干暗めに撮るのである。

しかし、空が青く写るように露出を低くすると、手前の近景は暗くなってしまう。それでいいのだ。暗めに写っても写真を見る人の心にはちゃんと伝わる。空の青さが明るさを醸し出すから、暗いイメージにはならない。陰影があって印象的な絵になるのだ。

でもRAWで撮影した場合、Aperture3で、暗い部分を明るくすることができる。白く飛んだ明るい部分は情報が乏しいが、暗い部分には情報がたっぷり残っているからだ。写真をAperture3に取り込んだあと暗部を若干明るく補正すると、きちんとディテイルが現れる。これはJPEGでもRAWでも可能だが、RAWの方がはるかに多くの情報を保持している。暗部が驚くほど豊かに再現されるのだ。これがRAWで撮影する大きなメリットである。RAWのポテンシャルは深い。

オールドマーケットの街角。撮影はいつも「青空基準」。空の色、街の色、GRの色彩は深い。プノンペン、カンボジア・GR DIGITAL 3(画像クリックで拡大表示)

そこで「青空基準」である。暗くなる部分は気にせず、青空が青く写る明るさで撮影するのだ。幸いGRのような背面モニターで画像を確認しながら撮影するデジタルカメラの場合、空が青く写るか否かは、直接モニターで視認できる。一眼レフだと「ISO感度」、「絞り」、「シャッタースピード」という3つの値の相関によって頭の中で「露出」を決め、得られる青の濃さを想像しながら撮影するのだが、GRなどではその必要がない。直接モニターで見た色がそのまま写るからである。

具体的には、空が青く写る方向にGRを向けるだけでいい。ズームボタンに割り当てた露出補正を上下させることはほとんどしない。GRを少し空の方に向けてやれば、自然と露出が下がり、暗めになって、空が青くなる。白すぎず青すぎず、明るすぎず暗すぎず、空の色がちょうどいい塩梅になったその瞬間にシャッターボタンを半押しすれば、その露出が固定される。と同時に、マルチAFに設定してあるAFが、手前の被写体にピントを合わせてくれるからフォーカスも固定される。これでフォーカスと露出両方が決まるのだ。

次に半押ししたまま厳密なフレイミングをして絵が完成したら、そーっとシャッターボタンを押し込む。それが撮影の流れだ。しかしその前に重要なことがある。何を写すか。それを次のページで述べよう。

「青空基準」で撮影し、Aperture3に取り込んだあと、暗部の明るさをほんの少しだけ持ち上げている。コントラストの美しさが引き出される。タケオ、カンボジア・GR DIGITAL(画像クリックで拡大表示)

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