被写体をどう写すか。一言で言えば、「まっすぐ写す」である。
以前、このCNET JAPANに「心をまっすぐ伝えるカメラ「GR Digital」--お気に入りガジェットバトン第35回」というコラムを書いた。「まっすぐ写す」ために最適なカメラ、それがGRなのである。
まっすぐというのは案外難しい。鉛筆を持ってフリーハンドでまっすぐな線を書くのは難しいし、まっすぐな球、湾曲しない球を投げるのも難しい。私はヨットが好きなのだが、ヨットをまっすぐ進めるのは意外と難しい。
同様に、写真においてもまっすぐ写すのはとても難しいのだ。逆に言うと、曲げて撮るのは簡単。まっすぐ以外はすべて曲がっているのだから、適当に撮ればそれはほぼすべて曲がっている。だからまずはまっすぐ写す訓練をしよう。
写真における「まっすぐ」には3つある。「被写体にまっすぐ」、「地球にまっすぐ」、そして「自分の心にまっすぐ」だ。
「被写体にまっすぐ」写すことを意識するには、四角いものを撮影してみるとよくわかる。額縁に入った絵とかポスターなど、四角いものを撮影してみよう。カメラが少しでも曲がっていると、被写体が台形になったり、四辺の一部が湾曲したりする。きっちり相手に正対したときのみ、四角いものが四角く写るのだ。これは被写体が四角形でなくても同じこと。相手の形をそのまま描写しようと思ったら、相手に対してきっちり正対することが必須だ。曲がって撮っても相手が四角でなければ目立たないが、どこか不自然な感じを与える写真になる。
もちろん、何らかの意図があって曲げて写すのはまったく問題ない。どちらがいいとか悪いとか、価値判断をしているのではなく、どうせ撮るなら思いっきり自分の意図を表現して、気持ちが伝わる写真にしよう、ということだ。まっすぐ撮るも曲がって撮るも自由。でも被写体に対してカメラをまっすぐ構えてまっすぐ写せば、相手のありのままを表現できますよ、という話である。
次に「地球にまっすぐ」。これは風景などを写す場合の基本となる。カメラを地面に対して垂直に構えることで、被写体をもっとも自然に写せるのだ。もちろん、カメラを上下に傾けることで絵に味付けをするのも自由だが、基本はまっすぐ。まっすぐあっての味付けである。
この点、GRには水準器が搭載されているから、左右の傾きは水準器の表示を見ればきっちり水平を出せる。水準器は欠かすことのできない重要な機能だ。しかし、三次元空間において3つある回転軸のうち、左右の傾き方向はこの水準器で水平を出せるが、あと2つ、回転軸がある。このうち、左右の回転方向(自分の体を縦軸にしてカメラを左右に振る方向)のまっすぐは、ほぼ上で述べた「被写体にまっすぐ」に該当する。
問題はカメラの前後方向の傾きだ。仰角と俯角。これをどうまっすぐに保つか。つまり、いかにしてカメラを地面に垂直に構えるか。
重力を使うのだ。重力にカメラを引っ張ってもらえばいい。そのためにはGRのホールディングが重要だ。第2回で述べた「バック・アーム・スタイル」が、重力を使った垂直を出しやすい構え方である。
まずGRを横位置に構える場合。右手薬指の上にGRが自然に乗るように構える。カメラを緩く持ち、きちんとバランスがとれていれば、それが垂直である。雨傘を立てて手に乗せ、バランスをとるのと同じ原理だ。一方、GRを縦位置に構える場合、カメラの左側を下にして、指からぶら下げるようにする。グリップに右手人差し指と中指を引っかけ、シャッターボタンにかけた親指と底面を支える薬指で左右から軽く挟むようにしてGRを重力に任せると、自然とカメラが垂直になる。カメラを手の中で遊ばせて、重力を味方につけるのだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
「もったいない」という気持ちを原動力に
地場企業とともに拓く食の未来