第2回で、「微ブレ」を防止するのが画質面で重要だと書いた。この「微ブレ防止」は「まっすぐ写す」観点からも大切である。
くっきり、すっきり、はっきり。カメラが微ブレせずにきちんと静止した状態で撮影すれば、鮮明に写る。まっすぐ写した成果が、まっすぐ現れるのだ。
そこで微ブレ防止のためなら使えるものは何でも使う。風景を撮影するときだったら、周囲にある木とか建物にカメラを押し付けて静止させる。それがない場合は、第2回で書いたようにネックストラップにテンションをかけて静止させる。できるかぎり両手でカメラをホールドし、息を吐いて安定させる。耳の上のこめかみにカメラを押し付けるなんていうワザもある。
テーブルの料理を写す場合は、腕を空中に構えず、両肘とか手首とか腕全体をテーブルにしっかり接地し、できれば手や小指などもテーブルに付けて微ブレを防止しながらシャッターを押し込む。地面の近くに咲く花を写すときは、しゃがんだ膝に腕を押し付ける。もちろん安定した靴を履くのも大切だ。
シャッターボタンの押し方も重要だ。やさしく、しずかに、やわらかく。押し込んだらそのまま静止。つまり押した直後に指を離さない。そーっと押し込んだまま、撮影が終わるまでしばらくじっとしているのだ。その間、心を込める。
3つの「まっすぐ」のうち第1の「被写体にまっすぐ」というのは、カメラが物理的に相手に対してまっすぐ向いていることを意味した。しかし、より大切なのは撮影者の気持ちである。相手に真摯に向き合う自分の心を正直に写す。それが第3のまっすぐ、すなわち「自分の心にまっすぐ」である。
気持ちをストレートに表す。もしかしたらそれが苦手な人がいるかもしれない。でも写真は写心。ぜひとも自分の心を解き放とう。自分の心を写真に乗せよう。自分の気持ちを率直に表そう。「何を写したいのかよくわかる写真」であるためには、写す人の心が開かれていることが大切なのだ。
心のままに。
写す人の意思をまっすぐ写せるカメラ。それがGRなのである。
執筆者プロフィール
塩澤一洋
写真家。フィルムのGR-1から、初代GR DIGITAL、2、そして3と「GR」を愛用し続ける生粋の「GRist」。月刊MacPeopleに「一語一絵」を連載中。
Twitter:@shiology
ブログ:http://shiology.com/
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
「もったいない」という気持ちを原動力に
地場企業とともに拓く食の未来