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2010/01/25 14:43
現場で仕事をする人にとって、設計の道具、つまりCADの操作性が上がることは、ITがもたらす最も目に見える進化といえる。この点は、企業経営面でも見落とせない効果をもたらす。作業効率が向上すれば、経営上のさまざまなコスト削減につながる。ものづくりの現場で仕事をする人たちは、効率よく完璧な仕事を行いたいと思っている。それを支援できるのは、経営の中枢にいる人々なのだ。彼らが現場の環境に気を配り、最も優れた道具を用意すれば、経営の改善に大きな効果をもたらすことは意外に気づかれていない。さまざまな仕事で利用されるソフトウェアは、日進月歩で進化するのだが、「旧バージョンで十分だ」と語るユーザーも少なくはない。しかし、現場で活用される道具が便利になれば、生産性の向上につながり、経営の改善に直結しているのだ。
オートデスクが販売しているAutoCAD は、いまや、2D CADの事実上の業界標準といえるソフトウェアだ。最新版の「AutoCAD LT 2010」は、AutoCAD で作成した図面データを完全に継承できる。「AutoCAD LT 2010」は、3D機能を持つ旗艦製品「AutoCAD 2010」と同じDWGファイルをサポートし、「AutoCAD 2010」で作成したパラメトリック機能付きの図面も利用できる。
多くのユーザーから受とった要望をもとに、機能の強化が随時されている。 「AutoCAD LT 2010」で、新たに備えられた機能も数多いが、なかでも、「オブジェクトの位置あわせコマンド」などは大変便利な機能だ。同じ作業を旧バージョンで実行すると、7ステップほどかかかるものが、1ステップで済んでしまう。
市場調査/コンサルタント会社である Burke社が、「AutoCAD LT 2010 」の生産性の調査実験をしたところ、「AutoCAD LT 2007」と比較して、36%の生産性向上が見込めるとの結果を得たという。
この調査では、実務経験のあるエンジニアや設計者が6種類の作業を行う時間を計測して生産性を評価した。参加者を2つのグループに分け、9人は「AutoCAD LT 2010」を使用し、12人は「AutoCAD LT 2007」を使用して同じ作業を行い、作業にかかる正味の時間を計測した。
興味を引く調査結果がもたらされた。「AutoCAD LT 2010」のユーザーは、「AutoCAD LT 2007」のユーザーに比べ、すべての作業を速く完成することができ、作業時間は約三分の二に短縮された。時間短縮は計量化しにくいが、実に重要なコスト削減策だ。実際のプロジェクトでは、「AutoCAD」の新しい機能を使うことで数百万から数千万円のコスト低減になる例もあるという。
オートデスク製品では、オートデスク サブスクリプションと呼ばれる、保守契約もよく整備されている。「取引先が、旧バージョンを使用しているので、AutoCADの最新版に移行できない」という声も聞く。
オートデスク サブスクリプションでは、最新版に加え、旧バージョンも利用することが可能だ。新規で最新版の「2010バージョン」を購入し、サブスクリプションを契約すると、2009、2008、2007の各バージョン(直前の3世代のバージョン)が使用できる。
また、アップグレードと同時にサブスクリプションを結んだ場合、アップグレード後も元のバージョンを利用できる。(2005を所有していて2010を購入する際、サブスクリプションを契約すると、2010、2009、2008、2007、の他にもともと所有していた2005の各バージョンが使用できる)
“取引先による制約”や“選択の悩み”が解消され、既存の資産も有効に活用できる。これもコスト削減、経営の改善へとつながるのだが、あまり知られていないようだ。
ITの進歩は、目覚しい。クラウド、SOA、BPMなど、経営を革新し、環境の激変に柔軟に対応していくための手段は、次々と現れる。しかし、経営の有力な武器となるのは、これらのようなものばかりではない。ものづくりを支える現場では、プロ集団を助ける、優れた“道具”と、彼らを後方から援助する“経営陣の視線”が車の両輪となって、経営の改善を押し進める。
現場で仕事をする人にとって、優れた道具で効率よく質の高い仕事ができることは、ITがもたらす最も目に見える効果といえるが、企業経営の側面からも見落とせない。作業効率の向上は、経営の改善に直結しているのだ。
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