「Apple Intelligence」日本ではいつから?対応機種は--気になるポイントを解説

Scott Stein Patrick Holland (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2024年10月22日 07時30分

 「iPhone 16」と「iPhone 16 Pro」が発売された今、Appleが「Apple Intelligence」という非常に分かりやすい名称の下で進める生成AI(人工知能)のプロジェクトは、ほぼ正式に現実のものとなった。現時点では、iPhone 16シリーズにApple Intelligenceは搭載されていないが、BloombergのMark Gurman氏の記事によると、米国時間10月28日にApple Intelligenceの一部の機能がリリースされる予定だという。

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提供:Apple/Screenshot by CNET

 Apple Intelligenceは、「iPhone」に限定されるわけではなく、AppleのさまざまなOSに追加される。6月に開催された「Worldwide Developers Conference」(WWDC)の基調講演でApple Intelligenceが注目を集め、iPhone 16のラインアップが発表された9月9日のイベント「It's Glowtime.」で一歩前進して以来、AppleのAIの宣伝が増えてきている。

 It's Glowtime.の基調講演で、Appleのソフトウェアエンジニアリング担当責任者を務めるCraig Federighi氏はApple Intelligenceについて、「iPhone 16の体験の根幹を成すもの」だと述べた。

 Appleは、iPhone 16が店頭に並ぶ数日前に、同社が約束していたAIによる作文ツール、「Siri」の機能強化、写真ライブラリとの連係機能の一部など、パブリックテスト用にApple Intelligenceを開放した。10月中に、サポート対象のチップセットを搭載した一部のiPhone、「iPad」、および「Mac」向けに正式版OSの一部としてリリースされる見通しで、そのときでも、ユーザーが使用を選択するオプトインが必要なベータ機能となる予定だ。

 つまり、Apple Intelligenceは、「iOS 18.1」「iPadOS 18.1」「macOS Sequoia 15.1」のパブリックベータ版で提供されているため、厳密にはベータ版のさらにベータ版というわけだ。

 Appleは約束したAI関連のアップグレードをすべて同時に導入するわけではない。パブリックベータ版のApple Intelligenceには、ドキュメントやメールの作成時にAIによる提案を表示してくれる作文ツール、画像の中の不要な部分を消去できる「クリーンアップ」をはじめとした写真ツールが搭載されているほか、Siriにも、音声がより自然なものになった、より文脈に沿った会話が可能になった、Siriの起動中にディスプレイの縁が光るようになった、画面をダブルタップするとSiriに文字入力できるようになった、などさまざまな変更点が追加されている。

 また、「写真」アプリから直接メモリームービーを作成したり、「メッセージ」アプリや「メール」アプリ、通知、「メモ」アプリで、AIによる要約を確認したりすることもできる。ただし、「ChatGPT」プラグイン、Appleの「ジェン文字」機能と「Image Playground」機能、そのほかのSiriの機能はまだ搭載されていない。

 パブリックベータ版には、Apple Intelligenceの各種機能のテストにオプトインできるオプションが「設定」アプリにあるが、Appleによると、承認に数時間かかることもあるという。2024年中に一般リリース予定のApple Intelligenceのベータ版でも同様のオプトインプロセスが採用されるのかどうかは、現時点で不明である。

 AppleのAI機能の中には純粋に便利そうなものもあるが、利用できる機種が限られているため(iPhoneの場合は「iPhone 15 Pro」以降のモデル、MacとiPadの場合は「M」シリーズチップを搭載したもののみ)、誰もが利用できるわけではない。こうした機能で実際に何ができるのか、今後徐々に分かってくるはずだ。

Apple Intelligenceで何ができる?

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提供:Apple/Tharon Green/CNET

 Apple Intelligenceの宣伝に使用されているフレーズは「AI for the rest of us.」(AIをみんなのために。)だ。これは、Apple IntelligenceをiPhoneやiPad、Macに組み込んで、ユーザーが文章を書いたり、さまざまなタスクを完了したり、自己表現したりするのを支援するということで、ユーザーのAppleデバイスのパーソナルコンテクストを利用してお薦めを提示してくれたり、よりユーザーにぴったりな結果を生成してくれたりする。また、Apple IntelligenceはAIにおけるプライバシーの全く新しい基準を確立するものである、とAppleは宣伝している。

 米CNETのLisa Eadicicco記者は、自身が執筆したApple Intelligenceに関する記事の中で、パーソナルコンテクストに基づいて答えを提供し、タスクを実行するということが、Apple IntelligenceにおけるAppleのアプローチの大きな要素だ、としている。

 記事はこう続く。「Appleはこれを、競合他社がすでに発表したAIの取り組みと自社の取り組みを区別するために使っているようだ。例として、AppleはApple Intelligenceが交通の状況、スケジュール、連絡先などの複数の要素を理解し、イベントに間に合うかどうかの判断を支援すると説明した」

対応するデバイスは?

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提供:James Martin/CNET

 現時点では、Apple Intelligenceはベータ版OSの中で提供されており、iPhone 16シリーズ、iPhone 15 Pro、「iPhone 15 Pro Max」、そして、「M1」以降のチップを搭載したすべてのiPadとMacで利用できる。ただし、Siriとデバイスの言語を英語(米国)に設定する必要がある。

 10月中には、iOS 18、iPadOS 18、macOS Sequoiaの正式版の中で、ベータ機能として提供される予定だ。

 Apple Intelligenceを実行できる既存のデバイスは以下のとおりだ。

  • iPhone 16、「iPhone 16 Plus」、iPhone 16 Pro、「iPhone 16 Pro Max」
  • iPhone 15 Pro、iPhone 15 Pro Max
  • 「iPad Air」(M1以降)
  • 「iPad Pro」(M1以降)
  • 「MacBook Air」(M1以降)
  • 「MacBook Pro」(M1以降)
  • 「Mac mini」(M1以降)
  • 「Mac Studio」(「M1 Max」以降)
  • 「iMac」(M1以降)
  • 「Mac Pro」(「M2 Ultra」)

いつから使える?

 Apple Intelligenceを利用する各種機能の第1弾は、iOS 18.1、iPadOS 18.1、macOS Sequoia 15.1の一部として、10月にベータ版で提供される。Gurman氏は、Apple Intelligenceのリリース日は10月28日になるとみている。Appleによると、「数カ月以内」にそのほかの機能も提供される予定だという。

 現時点でも、iOS 18.1とiPadOS 18.1、macOS Sequoia 15.1のパブリックベータ版を実行している対象のiPhoneとiPad、Macであれば、Apple Intelligenceを利用することができる。ただし、Siriとデバイスの言語を英語(米国)に設定しなければならない。

どこで使える?

 世界のほとんどの地域で、Siriとデバイスの言語が英語(米国)に設定されたサポート対象のiPhoneとiPad、Macで利用できる。日本語への対応は2025年になる予定だ。

ChatGPTを利用しているの?

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提供:Apple/Screenshot by CNET

 Apple IntelligenceがChatGPTを利用しているわけではない。Apple Intelligenceは、オンデバイス(iPhone、iPad、Mac)と、クラウドにある「Appleシリコン」搭載サーバー(「Private Cloud Compute」と呼ばれる)上で実行される。オンデバイスとクラウドのどちらで処理されるかは、プロンプトや質問によって異なる。Apple IntelligenceはChatGPTとは別物であり、OpenAIの有名なサービスで実行されることもない。

 ただし、補足的なサードパーティーAIサービスをサポートしてはいる。そうしたサービスとして最初に発表されたのがChatGPTだ。ChatGPTへのアクセスは、iOS 18とiPadOS 18、macOS SequoiaでSiriと作文ツールに統合され、Appleデバイスの所有者はツールを切り替えなくてもChatGPTにアクセスできるようになる。

どんなツールがある?

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提供:James Martin/CNET

 Apple Intelligenceの機能は、作文、画像、Siriの3つのカテゴリーに分類される。作文ツールは、文章を作成するあらゆる場面で利用できる。ユーザーの書いた文章を校正したり、トーンや言葉遣いを調整して別のバージョンを作成したり、タップ1つで選択したテキストを要約したりすることが可能だ。

 画像ツールでは、新しいImage Playgroundアプリでプロンプトを入力してオリジナルの画像を作成できる。「画像マジックワンド」では、ラフなスケッチを関連する画像に作り変えて、メモを補足することが可能だ。また、自分だけのジェン文字をキーボードから直接生成することもできる。Appleによると、写真ライブラリから人物を選んで、その人に似たジェン文字を作成する機能もあるという。

 写真アプリでは、説明を入力すると、自分だけのメモリームービーを作ることができる。

 SiriもApple Intelligenceによって大きく生まれ変わる。デザインが新しくなり、言語理解能力もより深くなった。口述ではなく文字入力で指示を伝えることも可能だ。Siriとのやりとりもこれまで以上に自然な会話のようになる。さらに、パーソナルコンテクストを認識したり、アプリ内や複数のアプリをまたいでアクションを実行したりすることもできる。デバイスの機能や設定に関する製品知識も備わっている。Siriはかつてない方法でユーザーをサポートできる、とAppleは紹介している。

Apple Intelligenceは有料?

 Apple Intelligenceは現在、無料で提供されている。また、有料化する計画も発表されていない。

Apple Intelligence

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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