KDDI、KDDI総合研究所、KDDIスマートドローン、清水建設は9月2日、清水建設が建設中の北海道新幹線、渡島トンネル上二股工区(渡島トンネル)において、Starlinkによるauの通信エリア構築ソリューション「Satellite Mobile Link」を活用した、トンネル建設現場からの3D点群データのリアルタイム伝送実証について、8月6日付けで成功したことを発表した。
この実証で検証した技術を活用することで、施工進捗や壁面のずれ、亀裂などの異常を、遠隔からリアルタイムで確認できるため、建設現場の定期巡回や施工管理にかかる時間を大幅に短縮することが可能になるという。今後も人手がかかる作業のDXを目指し、実用化に向けた取り組みを進めていくという。
3D点群データは、映像と比較し、奥行き情報も含めて立体的な情報を取得できることから、測量用途など建設現場での活用が進んでいる。一方で、現場で測量した3D点群のデータ量は非常に多く、遠隔地と共有するためには3D点群データを保存した記録媒体そのものを事務所に持ち運んだり、膨大な時間をかけてクラウドに伝送したりする必要があるなど、即時共有が困難となっていた。
今回、渡島トンネル坑内外にSatellite Mobile Linkで構築したau通信エリア網を活用し、四足歩行ロボットやドローンに搭載したLiDAR 3Dスキャナーで撮影した3D点群データを、清水建設のイノベーション創出拠点「温故創新の森NOVARE(東京都江東区)」へ伝送する実証を行った。
四足歩行ロボットやドローンなどに搭載可能な小型コンピューター上でも動作する、KDDI総合研究所が開発した3D点群データのリアルタイムエンコーダーでデータを圧縮することで、伝送に必要な帯域を約20分の1にすることが可能。これによって、従来は遠隔での撮影からデータ確認まで数時間かかっていたものが、10秒以内まで大幅に短縮されるという。
将来的には四足歩行ロボットやドローンなどを遠隔操作や半自動化、自律化することにより、遠隔からの施工管理や監視・検査が可能になる。例えば、土木、建築の分野においては、現場から即時に伝送される3D点群データを用いて、設計情報であるBIM(Building Information Modeling、素材などの属性情報を含む3Dデータ)データと即時に比較して出来形管理(施工物が意図する規格基準に合致するよう管理すること)を行うことや、即時性を求められる進捗確認や鉄筋検査、コンクリート打設検査での異常検知などにおいて、品質・進捗管理の効率化や安全性、生産性の向上に寄与する。また、大規模な点群データを扱うデジタルツインへの応用も期待できるとしている。
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