Googleは先週、米カリフォルニア州マウンテンビューで開催したイベント「Made by Google」で「Pixel 9」シリーズを発表した。フラグシップの「Android」スマートフォンを探しているなら、「Pixel 9 Pro XL」はまず検討したいモデルの1つだ。
Pixel 9 Pro XLは、Pixel 9シリーズの中では最も大きく、価格は最小構成でも1099ドル(日本では17万7900円)だ。6.8インチのディスプレイ、Google端末としては過去最大のRAM、5060mAhのバッテリー、トリプルカメラを搭載し、スペック面では競合製品、特にサムスンの「Galaxy S24 Ultra」とも十分に張り合える。
Galaxy S24 UltraとPixel 9 Pro XLのどちらを買うべきか迷っている人のために、それぞれの優位点をまとめた。はじめに言っておくと、両者の性能はかなり拮抗している。
GoogleのPixelと、他のAndroid搭載スマートフォン全般の大きな違いはソフトウェア体験だ。Pixelのランチャーはミニマルとは言わないが、サムスンの「One UI」やOnePlusの「OxygenOS」と比べれば確かに控えめで、機能は厳選されている。ホーム画面やロック画面をカスタマイズする方法はいくつかあるが、ディスプレイに表示されるものすべてを細部まで変更できるとは思わないほうがいい。
Pixelのランチャーはシンプルなので、「Geminiライブチャット」や「Pixel Screenshots」といった最新のAndroid機能をすばやく効率的に展開できる。また、OSや各種ソフトウェアのアップデート、セキュリティパッチの提供は最長7年間保証されているので、少なくとも2031年まではPixel 9 Pro XLを適切な状態に保つことが可能だ。
Pixel 9 Pro XLには、Galaxy S24 Ultraに搭載されている100倍ズーム機能はないが、頼りになるトリプルカメラを搭載し、細部までくっきりと、自然な色合いで描写された高コントラストの写真や動画を撮影できる。新たに搭載された4200万画素の前面カメラは視野角が103度で、グループセルフィーや風景を含むポートレートの撮影にはもってこいだ。
Pixel 9 Pro XLは、スマートフォンの中でも最高水準のカメラシステムを搭載する一方、自分の好みに合わせて写真の撮影や編集、再現ができるAIツールを豊富に搭載している。生成AIをめぐる「写真とは何か」という議論はあるものの、現実よりも理想を、労力よりも利便性を求めるユーザーにとっては、Pixel 9 Pro XLは「一緒に写る」や「編集マジック」内の「オートフレーム」「イマジネーション」といったAI機能によって、市場でも特に自由度の高いカメラシステムを提供するものになるだろう。
他にも動画を8Kの解像度にアップスケールする機能や「超解像ズーム」などの動画処理機能も搭載されている。筆者が試した限りでは、「動画ブースト」はメインレンズと5倍光学ズームを切り替えた際のぎこちなさも取り除いてくれる。これには感心した。
Pixel 9 Pro XLはGalaxy S24 Ultraよりも100ドル安いが、さらに重要なのは持ちやすいということだ。スマートフォンを持ち歩き、持ち上げ、操作する頻度の高さを考えると、手に持ったときの感覚は、スマートフォンを評価する際に見過ごされがちだが重要なポイントだ。
Galaxy S24 Ultraの角張ったデザインと比べて、Pixel 9 Pro XLのフラットなエッジは握りやすく、ゆるやかなカーブのおかげで、全体のボリューム感も抑えられている。ケースを装着すれば、両者の違いをさらに実感できるはずだ。
サムスンのスマートフォンが提供するソフトウェア体験は、かつての「TouchWiz」時代と比べればバグも減り、整理された感がある。しかし、サムスン独自のOne UIは依然としてAndroid市場で最も多機能なランチャーの1つだ。ネイティブランチャーでも、壁紙の色合いからウィジェットのスタイル、スワイプ時のアニメーションまで、カスタマイズできる範囲が広い。Galaxy S24 Ultraなど、一部のモデルには内蔵のスタイラス「Sペン」を最大限に活用するためのメモ機能も追加される。
Googleと同様に、サムスンも「Galaxy S」シリーズについては少なくとも7年間のソフトウェアアップデートを約束している。つまり、初期投資はかさむが使い続ければ元は取れる、というわけだ。
筆者は大画面の折りたたみ端末を含めて、この1年間に発売された主要なスマートフォンをほぼすべてテストしてきたが、その中でもGalaxy S24 Ultraのディスプレイは最高クラスだ。6.8インチのAMOLED LTPOパネルは1Hzから120Hzの可変リフレッシュレートに対応し、日中でも十分な明るさを確保できる。もっとも、このあたりのスペックはPixel 9 Pro XLも大差ない。Galaxy S24 Ultraならではと言えるのは、光の反射を大幅に抑えるアンチグレアコーティングだ。
このアンチグレアコーティングのおかげで、直射日光の下で写真を撮るときも、明るい場所でウェブサイトを見るときも、一般的なスマートフォンと比べて画面に映っているものをはるかにはっきり認識できる。
Pixel 9 Pro XL、あるいはPixel 9 Pro XLに搭載されたGoogle純正チップ「Tensor G4」が、Galaxy S24 Ultraに搭載されている「Snapdragon 8 Gen 3」チップよりも、実際にどれだけ優れているか(あるいは劣っているか)は、もっと時間をかけて使ってみなければ分からない。もし今日スマートフォンを買うなら、現時点で確実に言えることは、後者は専門家によるテストやレビューが完了し、安定していてバッテリー効率に優れ、最新のモバイルAIツールも問題なく動作することが確認されているということだ。
一方、GoogleのTensorチップは過去に発熱の問題などが報告されており、輝かしい実績があるとは言えない。個人的には、発売後のベンチマークやテスト結果を注視するつもりだ。
Pixel 9 Pro XLこの記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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