Googleが初めて手がけた折りたたみスマートフォンの後継機種、「Pixel 9 Pro Fold」が登場した。後継機種という視点から見ると、本機種は重要なモデルになるかもしれない。新製品発表イベントの「Made by Google」で「Pixel 9」「Pixel 9 Pro」「Pixel 9 Pro XL」とともに発表されたこの新しいブックスタイルの折りたたみスマートフォンは、製品名も含め、ほぼすべての点で刷新されている。
Motorolaの「razr 50」と「razr 50 ultra」、サムスンの「Galaxy Z Flip6」と「Galaxy Z Fold6」のリリースに続いてGoogleがPixel 9 Pro Foldを発表したことで、「折りたたみスマートフォンのシーズン」は着実に続いている。一方、米国外では、栄耀(Honor)が最薄最軽量のブックスタイルの折りたたみスマートフォンの1つである「HONOR Magic V3」を発表したが、その後、小米科技(シャオミ)も同様に折りたたみスマートフォンの「Xiaomi MIX Fold 4」を発表した。
今度はGoogleの番だ。
折りたたみスマートフォンを販売しているすべての企業の中で、Googleは最も険しい道を歩んでいる。Pixel 9 Pro Foldは、サムスンやOnePlus、Honor、シャオミと競争しながら、初代Foldにあった多くの欠点に対処して、これらを改善しなければならない。そして、Pixel 9 Pro Foldを実際に手に取ってみた筆者からすると、そのどちらもやれるのではないかと思う。
新機種の製品名は、「Pixel Fold 2」ではなく、Pixel 9 Pro Foldだ。あまり印象に残る名前ではないが、ある意味で、ミッションステートメント(企業の行動指針)という役割も果たしている。サムスンの「Galaxy Z Flip6」が「Galaxy S24」のクラムシェル型折りたたみスマートフォン版だったのと同じように、GoogleはPixel 9 Pro Foldを、半分に折りたためるPixel 9 Proとして位置づけているようだ。
そして、いくつかの点で、それは事実であるように思える。Pixel 9 Pro Foldには、Googleの新しい「Tensor G4」プロセッサー、16GBのRAM、Pixel 9やPixel 9 Proと同じ新しいAI機能が搭載されている(これについては、後で詳しく説明する)。「Tensor G2」チップと12GBのRAMを搭載していた初代Foldと比較すると、パフォーマンスが大幅に向上しているはずだ。しかし、そのほかの点では、Pixel 9 Pro Foldは「Pro」という製品名に見合うほどのものではない。カメラのスペックはPixel 9 Proよりも一段劣っているようで、バッテリー容量も初代Foldより少ない。
Pixel 9 Pro Foldは2023年のPixel Foldよりも26g軽くなっており、手に取った瞬間にそれが分かる(それでも、Galaxy Z Fold6や「OnePlus Open」よりは重い)。そして、Pixel 9 Pro Foldを開くと、その薄さが分かるはずだ。厚さはわずか5.1mmで、驚くほど薄い。初代Pixel Foldと比べると、全く別のスマートフォンのように感じる。
Pixel 9 Pro Foldは最も薄い折りたたみスマートフォンというわけではないが(それはHONOR Magic V3だろう)、米国で入手できる最も薄いブックスタイルの折りたたみスマートフォンではある。
ディスプレイについては、カバーディスプレイが0.5インチ大きくなり、Pixel 9 Proのディスプレイと同じ6.3インチになった。また、60~120Hzの可変リフレッシュレートに対応しており、ピーク輝度は2700ニトで、初代Pixel Foldの1550ニトから大幅に向上した。これらの改善点に加えて、コントラスト比も向上しているので、明るい日の屋外でも、外部ディスプレイは見やすくなるはずだ。
内部ディスプレイも強化された。サイズはPixel Foldの7.6インチディスプレイよりも大型の8インチで、1~120Hzの可変リフレッシュレートをサポートするLTPOパネルを採用している。内部ディスプレイの輝度も2700ニトで、カバーディスプレイと同様、コントラスト比も200万対1と2倍になっている。これにより、文字を読んだり手書き入力したり、SNSの画面をスクロールしたり、動画を視聴したりといったことが大幅に快適になるはずだ。
カバーガラスと背面ガラスは「Gorilla Glass Victus 2」で、背面は美しいマット仕上げになっている。カラーバリエーションは、「Obsidian」と「Porcelain」が用意されている。
「Pixel」シリーズのスマートフォンはしゃれたカメラテクノロジーで知られており、Pixel 9 Pro Foldのカメラには、いくつかの改善が施されている。背面には、初代Pixel Foldと同じ4800万画素のメインカメラと1080万画素の5倍望遠カメラがある。しかし、超広角カメラは1050万画素となっており、この点については、4800万画素の超広角カメラを備えたPixel 9 Proに劣っている。
前面カメラと内部ディスプレイのカメラもアップグレードされた。これらのカメラについては早くテストしたいと思っている。初代Pixel Foldのカメラは、2023年にテストしたどの折りたたみスマートフォンよりも優れた万能なカメラだったためだ。折りたたみ式ではない通常の「Pixel Pro」モデルと同等の画質にまで向上しているのか、ぜひ確認してみたい。
Pixel 9 Pro Foldは折りたたみスマートフォンなので、「こっちを見て」など、専用のカメラモードもいくつか追加している。Motorolaと同じように、「こっちを見て」は、写真を撮るときにカバーディスプレイに楽しいアニメーションを表示することで、カメラ目線の子供の写真をうまく撮ることができる機能だ。アニメーションは、写真の被写体が笑うと、それに対しても反応する。
Pixel 9 Pro Foldのカメラには、ARを利用した「一緒に写る」という新機能がある。撮影者が自分の写真を合成することで、全員がそろった集合写真を作れるという機能だ。手順としては、まず集合写真を撮ったら、画面のARに従って同じ場所で撮影者の写真をもう1枚撮る。すると、最初に撮影した1枚と合成されて、撮影者も含めた集合写真が出来上がるという仕組みだ。なんとも楽しそうな機能で、かなり役に立つだろう。
今回の記事で、AIに触れずにここまで来られたのは驚きだが、Pixel 9 Pro FoldにはAI機能が満載だ。
「編集マジック」には、AIツールがさらに追加されており、撮影した写真のフレームを拡大して、周辺の景色を生成することも可能になった。また編集マジックは、撮影した写真の切り抜き位置や構図を調整する方法も提案してくれる。さらに、テキストを入力して、写真を編集できる「イマジネーション」という機能も追加された。例えば、写真に写っている草をもっと緑色にしたり、写真に写っているものを別のものに変えたりできる。この機能を試した米CNETのLisa Eadicicco記者は、写真の中の地面を砂浜に変えてほしいというテキストを入力して、実際にそうすることに成功した。
Pixel 9 Pro Foldは、夜間や暗い場所で撮影された動画の画質をAIで改善することができる。ここまで紹介してきたのは、カメラ関連のAIにすぎない。本機種には、「Google Gemini」が至る所に組み込まれている。また素晴らしいことに、本機種を購入すると、「Google One AIプレミアムプラン」を6カ月間無料で利用できる。
Googleは、より実用的なAIをユーザーインターフェースの至る所にちりばめている。例えば、「Pixel Weather」アプリでは、AIによって生成された天気予報の要約を確認できる。また、「Pixel Screenshots」アプリでは、スクリーンショットに含まれる情報を検索できる。
スペックに関して、少し心配なのはバッテリーだ。初代のPixel Foldは4821mAhのバッテリーを搭載しており、1回の充電でほぼ1日使用することができた。Pixel 9 Pro Foldのバッテリー容量はそれよりも少ない4650mAhなので、どれくらい持続するのか気になる。新しいTensor G4チップの効率の高さが、バッテリー容量の減少を相殺してくれるのだろうか。これは、実際にテストすれば明らかになるだろう。
最後に、とっておきの新機能を2つ紹介しよう。今回から「衛星SOS」という機能が搭載され、電波がない状況でも、緊急サービスに連絡できるようになった。また、Googleは7年間のOSアップデートとセキュリティアップデート、Pixel機能アップデートを保証している。つまり、2031年になっても、Pixel 9 Pro Foldは今と同じようにセキュアかつ安全に動作するはずだ。
このように多くの変更が施されているにもかかわらず、価格は米国では据え置きとなっている。Pixel 9 Pro Foldは1799ドル(日本では税込25万7500円)だ。Pixel 9 Pro Foldが半分に折りたためるPixel 9 Proであるなら、折りたたみ式というところだけに約800ドル(同9万7600円)余分に支払うことになる。
Pixel 9 Pro Foldこの記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス