AI技術を搭載し、人の指示で家具を動かす自律移動ロボット「カチャカ」の開発を手掛けるPreferred Robotics(プリファードロボティクス)が、2023年9月に開設した「カチャカラウンジ 丸の内」。東京・丸の内の「丸の内テラス」内にある会員制シェアスペース「OCA TOKYO」(オーカ トウキョウ)内の3階にあるリビング、ダイニング、キッチンを備えた1室で、カチャカを使用した片付けや配膳、仕事用具などの運搬を、実際に体験できるショールームだ。
カチャカは2023年2月に発表され、同年5月に一般発売が開始されている。本体は自立移動ロボットだが、専用のキャスター付き収納「カチャカシェルフ」とドッキングすることで、指定の場所までモノを運ぶことができる、スマートファニチャーのプラットフォームでもある。
12月には、カチャカ専用家具の第2弾製品として「カチャカベース」を発売。カチャカシェルフよりも小型で、市販の収納家具を乗せることができる台車タイプのスマート家具だ。
一方、カチャカ本体は、利用者の声をもとに、以降も継続的な機能追加とアップデートが行われている。同年8月にはAPIが公開され、カチャカを外部サービスと連携して動作させることが可能になった。
2024年春には、大規模言語モデル(LLM)との連携が実装される予定。指定された音声コマンド以外にも、日常的に使用する自然言葉による指示や、言語を理解して直接的な指示以外の実行も可能になるという。
例えば、「リビング、ゴミ」と単語を羅列するだけで、カチャカが指示を認識し、リビングルームにゴミ箱を運んだり、「喉が渇いた」と発言すると、飲み物が乗ったシェルフをソファまで運ぶなど、カチャカが状況に合わせて移動したり、人を相手に臨機応変なコミュニケーションもできるようになる。
さらに、API連携することで、人が発した「おやすみ」という言葉からこれから眠ることを認識し、「SwitchBot」と連携して部屋の電気を消灯するといったことも可能だ。
ショールームでは、カチャカを音声やスマートフォンで操作する基本のデモンストレーションに加えて、こうしたスマートスピーカーやスマートスイッチなどの他デバイスと連携した新しい機能も実際の居住空間の中で体験できる。
利用者からは「実際に使ってみると、想像以上に便利で驚いた」「使っていく中で、自分に合った使い方を発見できた」など、実際に体験して初めてカチャカの活用法が具体的にイメージできるという感想も多く挙がっているという。
Preferred Robotics 代表取締役CEOの礒部達氏によると、カチャカは各家庭で片付けや習慣化、効率化など、それぞれのライフスタイルに合わせたさまざまな用途で利用されているというが、オフィスや病院、作業所、カフェといった業務用途での利用も多く、実機デモや商談にもショールームが活用されているという。
「法人の方から特に多い要望は、ボタンによる操作。例えば歯科医院の場合、ユニットといわれる治療室が複数あるので、各処置室に設置したボタンを押すとカチャカがシェルフを運び、もう一度押すと器具を消毒するエリアまで運んできてくれるような操作が求められる。まずは音声操作による開発を進めていたが、そもそも騒がしい環境にいたり、音声によるコマンドを忘れてしまったりすることもあるので、いずれボタンによる操作が必要になるだろうと想定はしていた。工場での利用も多いので、もっと重いものを運べるようにしてほしいという声もある」
カチャカラウンジは、法人・個人を問わず、利用できる。完全予約制で、予約はウェブサイトで受け付ける。
営業時間は、平日の17~19時、土日祝の11~17時。法人の場合は、商談などで平日日中の利用も可能だ。
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