パナソニックグループは、米ラスベガスで開催中のCES 2024に出展。同社が描く未来のくらしを展示する一方、調理やビューティ、デジタルAV、車載システムなど、くらしの質の向上につながる最新商品や技術を紹介した。その様子を、写真を通じてお伝えする。
CES 2024のパナソニックグループのブース展示のテーマは、「Create Today. Enrich Tomorrow」である。2023年の展示は、環境にフォーカスした内容だったが、2024年は環境に加えて、商品展示や技術展示、将来のくらしの姿の提案などにも力を入れていた。
例年通り、ラスベガスコンベンションセンターのセントラルホールに、1412平方メートルのブースで出展。経営理念やミッションを紹介するとともに、ブース概要を説明するステージと、パナソニックグループが思い描く将来のくらしの目指す姿とその実現に向けた現在の取り組みを展示するエリア、人それぞれに合わせた「くらしの質」の向上につながる最新の商品を展示エリアで構成している。
ステージでは、CES 2024での展示が、100年以上続く、松下幸之助創業者が打ち出した経営理念に基づいたものであることなどを、約5分間のプレゼンテーションを通じて紹介。その上で、「その豊かさは未来も続くのか」と問いかけ、パナソナックグループが日々変化することを示しながら、より良いくらしと地球環境問題の解決を両立する3つの取り組みを紹介した。
1つ目は、「Sustainable Energy」。気候変動の課題や、化石燃料からの脱却といったテーマに対して、再生可能エネルギーの最大活用を提案する。2つ目は、「Circular Economy」だ。ここでは、大量消費による資源の枯渇を指摘。長く使い続けられる製品設計と仕組みを提案した。そして3つ目は、「Resource Optimization」である。自然や生態系の破壊といった課題解決に向けて、自然資源を最大限活用し、自然や生態系への影響をポジティブに変換するソリューションの重要性を示した。
パナソニックグループが思い描く将来のくらしの目指す姿を展示するエリアでは、中央部に、ジオラマとプロジェクションマッピングを用いて、Sustainable Energyへの取り組みを紹介。再生可能エネルギーを最大活用した自立分散エネルギー社会を目指す姿勢を示した。
また、それを囲むように、くらしの電化、発電場所の拡大、水素製造のグリーン化、工場などでの自給自足、地域電力安定化への貢献という5つの観点から技術や商品を紹介。A2W(Air to Water)やV2H(Vehicle to Home)、EV車載デバイス、ペロブスカイト太陽電池のほか、分散型電源管理システムである「DERMS(Distributed Energy Resource Management Systems)」も、パネルやモニターを通じて紹介した。ペロブスカイトは発電効率が18.1%となったことを新たに発表している。
さらに、Circular Economyの展示では、パナソニックが目指す今後の家電の姿として、資源投入を最小限に抑え、製品を長く使える仕組みやサービスを通じて、環境負荷が少ないサーキュラなくらしを加速する家電を生産する姿勢を強調。商品の体積を大幅に削減したドライヤーや、40%の再生プラスチック材料を使用した洗濯機などについて説明していたほか、初期不良となったテレビや洗濯機の再生過程や、兵庫県加東市のパナソニックエコテクノロジーセンター(PETEC)での廃棄家電の回収、分解、再生プラスチック材の製造工程についても紹介していた。
ここでは、2023年に冷蔵庫を監視してメンテナンスできるサービスを開始。2024年には、AI冷蔵庫カメラを使用し、未使用の野菜を特定して、食品廃棄物の削減に役立つレシピを推奨するアプリを発売することも示した。
そして、Resource Optimizationの展示では、これまでは廃棄されたり、無駄になったりしていた資源を、パナソニックグループの技術を通じて価値化する取り組みを紹介。空気中のCO2を活用し、農作物の収穫量を増やすことができるバイオCO2変換技術や、食品ロス実証への取り組み、自然由来の端材を使用したセルロースファイバー樹脂「kinari」を展示した。実は、展示台のジョイントにもkinariを使用。会場では、kinariで制作したコインを使い、サステナブルな取り組みに対する投票が行わるようにしていた。
なお、この展示エリアでは、パソナニックグループが打ち出す長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」についても紹介していた。Panasonic GREEN IMPACTは、2022年1月のCES 2022の同社プレスカンファレンスで、パナソニックグループCEOの楠見雄規氏から発表された経緯がある。
一方、人それぞれに合わせた「くらしの質」の向上につながる最新商品を展示するエリアでは、Eat Well(調理)、Feel Well(ビューティ)、Move Well(車載)、Connect Well(デジタルAV)などの観点から展示を行った。
とくに、Feel Wellでは、マルチシェープの新アタッチメントや、人気が高いパームシェーバーのデザインや技術の紹介、6枚刃シェーバーのラムダッシュを展示したほか、ナノイードライヤーを8台使用したナノイー効果体験シャワーブースも用意された。
そのほか、IoT対応したオーブンレンジの新製品の展示や、それを活用した米Frescoのアプリと連動した調理のデモストレーション、77型をはじめとしたフラッグシップモデルとなる有機ELテレビ、デジタルカメラの「LUMIX」、テクニクスのターンテーブルやネットワークアンプなどを展示。ShiftallのVRソリューションの体験型展示や、実車による車載向けプレミアムオーディオシステムの展示も行っていた。
なお、パナソニックグループが、CES 2024で新たに発表したフラッグシップモデルとなる有機ELテレビ「Z95A」および「Z93A」は、「Fire TV」を搭載。パーソナライズ化したホーム画面を通じて、コンテンツの発見と楽しみ方を革新できると自信をみせる。また、パナソニックのスマートテレビとしては、初めて「Alexa」による遠距離音声制御を可能にしており、音声によるアプリの起動や音楽の再生、タイトルの検索、スマートホームの制御などを簡単に行えるようにした。同社では、「これまでは、最も正確な画質を映し出すことにこだわってきた。だが、これからの新しい使命は、単に優れた画像と音声を提供するだけでなく、コンテンツ発見のプロセスを簡素化し、さらに楽しいものにすることである。それを実現するために、Amazonと協業した」(パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション(PEAC)社長の豊嶋明氏)と述べている。
また、MULTISHAPEでは、これまでのシェーバーやトリマー、歯ブラシに加えて、新たなアタッチメントとして、フェイシャルケア、フットケア、ヘアバリカン、ディテールトリマー&シェーバーセットを発表。日本ですでに発売しているパームシェーバーは、2024年度には米国でも発売することを発表した。
さらに、マルチオーブンの「HomeCHEF」では、エアフライ機能やコンベクションオーブン機能、炙り機能、インバーター電子レンジ機能を搭載した4-in-1マルチオーブンを発表。新たに米Frescoの自動調理アプリに対応したことで、より手早く簡単に、美味しい調理体験ができるという。「これまでの電子レンジでは達成できなかった精度で調理する能力を提供できる」(Fresco CEOのBen Harris氏)という。
LUMIXでは、新たなレンズとして、同社特許を用いた新たなフォーカスモーターを採用した「LUMIX S 100mm F2.8 MACRO」を発表している。
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