人工知能(AI)ブームが続く中、Googleは同社製スマートフォンのフラッグシップモデル「Pixel 8」シリーズを発表し、AIを活用し強化された小技や機能を見せつけた。それからまもなくして、今度はサムスンが将来リリースされる同社のスマートフォンに「Galaxy AI」を導入する計画を明らかにし、こうした機能が同ブランドの独自のセールスポイントとして組み込まれる可能性を示唆した。
このような状況を踏まえれば、Appleがうわさされている次期モデルの「iPhone 16」(これはまだ正式名称ではない)で同じ方向に進んだとしても、大きな驚きではないだろう。Appleはすでに、写真の重複検出や画質改善といったAIを活用した機能を「iPhone」に組み込んでいるが、生成AIに関しては、(少なくとも外部から見る限り)ライバルにかなり後れを取っている段階だ。
だが、複数の報道によると、次の大型ソフトウェアアップデートで、Appleはライバルにかなりのところまで追いつく可能性があるという。Mark Gurman氏は自身のニュースレター「Power On」の11月版で、「iOS 18」が「主要な新機能とデザイン」を備えた「かなり画期的」なアップデートをiPhoneにもたらす可能性があると述べた。
現時点では、(予想どおりであれば)iOS 18と呼ばれるであろう次期OSの詳細情報は限られている。だがAppleは通例であれば、毎年6月に開催するソフトウェア開発会議「Worldwide Developers Conference」(WWDC)で、iPhoneや他の製品向けの主要なソフトウェアリリースを発表する。
Appleは2023年の「iOS 17」で、自分の声に似た声をiPhoneで作成できる「パーソナルボイス」や、自動修正機能の強化など、AIベースの機能を数多く発表している。だが、Googleの「Bard」やOpenAIの「ChatGPT」と肩を並べるような生成AI製品を発表するまでには至らなかった。
とはいえ、2024年のiOS 18では、AIベースの機能も含め、重要な変更が行われるとうわさされている。予想される内容を紹介しよう。
Appleの音声アシスタント「Siri」は、2011年の「iOS 5」から搭載されてきたが、iOS 18で一段と賢くなる可能性がある。Gurman氏によると、生成AI技術により、「Siriと『メッセージ』アプリの両方で、質問への対応と自動的な文章完成の機能が向上するはずだ」という。
The Informationの9月の報道によれば、Appleは、生成AIの重要なパーツである大規模言語モデル(LLM)を利用してSiriをより高性能にする計画らしい。この記事に挙げられていた具体例では、Siriが一連の写真をGIFファイルに変換してから、登録済みの連絡先に送信するなど、シンプルな音声コマンドに対応してより複雑なタスクをこなす様子が解説されている。この例が実際のアップデートを反映しているのなら、Siriの能力に関して大幅な前進が期待できる。
Appleはかねてから、クロスプラットフォームでのメッセージング規格「RCS」(リッチコミュニケーションサービス)をiPhoneでサポートする予定だと述べていた。9to5Macの11月の報道によると、Appleの広報担当者は、RCSが「2024年に」iPhoneでサポートされ、「iMessage」と共存するようになると語っている。
RCSのサポートにより、iMessage風の機能が搭載され、iPhoneユーザーとAndroidユーザーの間のメッセージング体験は現状よりも向上するはずだ。これによりメッセージ機能に追加が予想されるアップグレードには、連絡先への高画質の写真や動画の送信、開封確認、入力中インジケーター、そして、最も重要なエンドツーエンド暗号化(E2EE)がある。E2EEは、SMSでのメッセージのやりとりには欠けている機能だ。これを言い換えるなら、Android搭載スマートフォンのユーザーがiPhoneユーザーとテキストメッセージをやりとりする場合、今後はどちらもSMSの代わりにRCSを使ってテキストメッセージを送受信できるようになるということだ。ただし、iMessageが今後も引き続きiPhoneをはじめとするApple製デバイス専用となることは留意しておきたい。つまりRCSが導入されるからと言って、AndroidスマートフォンにiMessageが搭載されることはない、ということだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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