2023年は多数の新型スマートフォンが登場したが、2024年もこの市場のにぎわいは続くだろう。Apple、サムスン、Googleといった大手スマートフォンメーカーは毎年、決まった時期に新モデルを発表し、より高性能なカメラ、より高速なプロセッサー、より洗練されたデザインを披露する。
しかし、2024年は様相が変わるかもしれない。テクノロジー企業は生成人工知能(AI)、つまりユーザーが入力した命令文に対し、学習データをもとに会話形式で(必ずしも正確ではない)回答を生成するAIを製品に組み込む方法を模索している。2023年が終わりに近づくなか、Googleの「Pixel 8」シリーズや、Qualcomm、MediaTekの新モバイルチップなど、生成AIがスマートフォンにもたらそうとしている変化を予期させる新製品が登場しつつある。
2023年は生成AIが主流に躍り出た年だったが、2024年は生成AIを利用した機能の有用性が問われる年となるだろう。「ChatGPT」の成功によってAIは流行語となり、テクノロジー企業は先を争って自社製品にAIを組み込もうとしている。次の問題は、こうした製品が宣伝文句通りに機能しているかだ。
この記事では、主要メーカーから2024年に登場すると期待される代表的なスマートフォン(折りたたみスマートフォン、格安スマートフォンを除く)を紹介する。
期待される新機能:Appleは毎年9月に新型iPhoneを発表しているが、この流れは2024年も続くと考えてよいだろう。著名なアナリストのMing-Chi Kuo氏によれば、次期「iPhone16」シリーズはすべてのモデルでマイクが強化され、「Siri」のパフォーマンスが向上する見込みだという。これを裏付けるように、AppleはiPhoneのAI機能の強化に取り組んでいるとBloombergの記事は伝えている。MacRumorsは、アナリストのJeff Pu氏の予想として、iPhone 16シリーズにはAppleの新しい純正チップ「A18」(Proモデルには「A18 Pro Bionic」)が搭載されると報じている。また、「iPhone 16 Pro」には「iPhone 15 Pro Max」に搭載されているテトラプリズムレンズを採用した望遠カメラが搭載されるとKuo氏はみている。ズームは3倍ではなく5倍になる可能性が高い。iPhone16シリーズに関するうわさについては、「『iPhone 16』うわさまとめ--画面の大型化、ズームの向上、新チップなど」も参照してほしい。
米CNETの注目ポイント:iPhone16は、iPhone15シリーズから劇的に進化することはなさそうだが、スマートフォンの体験を強化するためにAppleがAIをどう使うのかという点には興味をそそられる。Siriは大きな役割を果たすはずだ。タイマーをすばやく設定したり、明日の天気を確認したりといった単純なタスクにとどまらない、Siriの進化を楽しみにしている。
期待される新機能:サムスンの次期フラッグシップ端末「Galaxy S24」シリーズの目玉はAIとなりそうだ。サムスンは2023年11月に「Galaxy AI」を発表し、「モバイルAI体験」を提供すると述べた。SBS Biz Newsの読みが正しければ、Galaxy S24シリーズは2024年1月に登場するため、この新モデルでGalaxy AIが大きな役割を果たすことは想像に難くない。David Martin氏がX(旧Twitter)上で流したリーク情報によれば、Galaxy S24 Ultraにはこれまでのやや湾曲した画面に代わり、フラットディスプレイが採用される可能性があるという。この他、カメラやプロセッサーも順当な進化を遂げる可能性が高い。AIタスクをクラウドを介さずに処理できるQualcommの新しい「Snapdragon 8 Gen 3」チップが搭載される可能性もある。詳細については「サムスン『Galaxy S24』のうわさまとめ--期待される進化の数々」を参照してほしい。
米CNETの注目ポイント:筆者はGoogleのPixelシリーズに搭載されている気の利いたソフトウェア機能がGalaxyにも搭載される日を待ち望んできた。Galaxy AIがその答えなのかもしれないが、確かなことはサムスンが新型スマートフォンを正式に発表するまで分からない。
期待される新機能:GoogleのPixelシリーズは毎年10月に新モデルが発売されるため、次の製品に関するうわさはまだ少ない。しかしGoogleの製品戦略に従えば、Pixel 8とPixel 8 Proに搭載されたAI機能に似た新機能が登場するはずだ。2023年12月初め、GoogleはPixel 8 Proでも動作する新たなAIモデル「Gemini」を発表し、その活用例として「レコーダー」アプリの会話要約機能を紹介した。この機能を手始めに、今後さらなるAI機能が将来のPixelに搭載される可能性は十分にある。新しい「Tensor」プロセッサーやカメラの改良などの順当なアップグレードも期待できるだろう。Display Supply Chain Consultantsの最高経営責任者(CEO)であるRoss Young氏はXの投稿で、新モデルのディスプレイはPixel 8シリーズよりも大きくなると述べた。
米CNETの注目ポイント:GoogleのPixelシリーズは、米CNETが選ぶ年間ベストスマートフォンの常連だ。Pixel 8シリーズは、GoogleがスマートフォンにおけるAIの活用を積極的に推進しようとしていることを感じさせるものだった。Pixel 8で得た学びやフィードバックは次のPixel 9に生かされるだろう。米CNETのレビュアーであるAndrew Lanxon記者は、Pixel 8 Proのカメラに期待していたほどの感動はなかったと評しているため、Pixel 9 Proではカメラ周りの強化も期待したい。
期待される新機能:OnePlusの最新のフラッグシップモデルはすでに中国国内では発売されており、2024年初頭にグローバル展開が始まる予定だ。「OnePlus 12」は、「OnePlus 11」から大幅に進化しているわけではないが、Qualcommの最新プロセッサーであるSnapdragon 8 Gen 3や、「OnePlus Open」のような高解像度の6400万画素望遠カメラ(前モデルでは3200万画素)を搭載している。ストレージも増え(ベースモデルでは128GBから256GBへ増量)、50Wの高速ワイヤレス充電にも対応する。
米CNETの注目ポイント:OnePlusのスマートフォンは急速充電で高い評価を得てきたが、この強みはOnePlus 12でも健在のようだ。50Wのワイヤレス充電に加えて、100Wの有線充電にも対応する。OnePlus 12は、Qualcommの新型チップを搭載する最初のスマートフォンの1つでもある。このチップはAIを活用したタスクに最適化されており、Qualcommによると、フレーム外のディテールをAIによって生成することで、超広角レンズで撮影したかのような画像を生成できるという。OnePlusがこのチップをどう活用しているのか、実機を触るのが今から楽しみだ。
期待される新機能:OPPOが2023年と同じスケジュールで新製品を投入するなら、「Find X7」は2024年の早い段階で登場する可能性が高い(「Find X6」シリーズは2023年3月発売)。テクノロジー系ブログ「The Tech Outlook」によれば、Find X7と「Find X7 Pro」と思われる2つの製品のモデル番号が中国の認証データベースで発見された。また、Find X7シリーズにはHasselbladのHyperToneカメラシステムが搭載される見込みだ。これはコンピュテーショナルフォトグラフィーを利用して、歪みや画像のノイズを低減する。OPPOはプレスリリースで、将来のフラッグシップ端末にQualcommのSnapdragon 8 Gen 3を搭載するとしていたため、Find X7シリーズにはこの最新チップが搭載される可能性もある。
米CNETの注目ポイント:OPPOは洗練されたデザインと質の高いカメラで知られるスマートフォンメーカーだ。Find X7が期待に応える出来となっているかは間もなく分かるが、Find X6は中国でしか販売されなかったことを考えると、Find X7のグローバル版が発売される可能性は低い。
期待される新機能:小米科技(シャオミ)は10月末に最新のフラッグシップ機として「Xiaomi 14」と「Xiaomi 14 Pro」を発表した。同社によれば、この2モデルはQualcommのSnapdragon 8 Gen 3プロセッサーを搭載する初のスマートフォンになるという。Xiaomi 14のディスプレイのピーク輝度は3000ニトで、カメラセンサーは「Xiaomi 13」よりも180%多くの光を取り込める。Xiaomi 14では90W、Xiaomi 14 Proでは120Wの急速充電も可能だ。どちらのモデルもOSには「HyperOS」を採用する。HyperOSはモバイル機器だけでなく、自動車やスマートホームデバイスにも搭載されるシャオミの新しいOSだ。シャオミは通常、新モデルをまずは中国国内で発売し、その後、グローバル展開してきたが、今回は米国での発売はないとみられている。
米CNETの注目ポイント:シャオミのスマートフォンは、高い性能、巨大なカメラ、急速充電で知られる。2023年第3四半期の世界出荷台数はApple、サムスンに次ぐ3位だ。そのため、同社の新製品や新技術は当然、業界全体に影響を与える。
現時点でのうわさや報道、各社の公式発表によれば、2024年のスマートフォンは新たなAI機能と、急速充電等の定番機能の改良をバランスよく備えたものとなりそうだ。AIがもたらす価値は未知数だが、新たなソフトウェア機能がスマートフォンにどのようなイノベーションをもたらし、どこまで利便性を高めてくれるのかを想像すると、次の1年が楽しみでたまらない。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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