楽天グループ、KDDI、ソフトバンクのトップは11月14日夜〜15日朝にかけて、相次いでX(旧Twitter)を更新。自民党内でNTT法を廃止する方針が固まりつつあるとの報道に対して意見を述べた。
NTT法の議論は、防衛費増額のための財源として、国が保有するNTT株を売却する案が自民党内で浮上したことがきっかけとなった。同株の売却にはNTT法の改正が必要となるが、NTTはNTT法自体の廃止を主張しており、「自民党は2025年までにNTT法を廃止する方針を固めたと」の報道も出ている。
一方、KDDIやソフトバンク、楽天モバイルなどの通信各社は「 NTT法の改正には賛成するが、廃止には反対」との立場だ。携帯キャリアを含めた通信事業者は、NTT東西の保有する光ファイバー網の上で通信事業を展開していることから、こうした国から継承した通信インフラを握るNTTには「一定の法的な縛りが必要」だと主張している。
また、仮にNTT法を廃止してNTTが完全自由な民間企業にすれば、公正競争が損なわれ料金値上げにつながると指摘。さらに、外資が日本の通信インフラを抑えるなどの経済安全保障上のリスクも挙げた。一部事業者は「仮にNTT法を廃止するのであれば、国から継承した資産を国に返却すべき」とも主張している。
一方のNTTは、公正競争条件や経済安全保障上のリスクについて、NTT法ではなく電気通信事業法や外為法でカバーできると主張。さらに、国から受け継いだ資産については「民営化時に政府に株式を割り当てた時点で、資産は株主である政府に帰属し、その後3分の2を民間に移転したことに伴い、それに見合った最終的な帰属は民間の株主に帰属している」と反論している。
また、自社の研究成果を、要請があれば懸念国であろうと開示する義務があるなど、NTT法には経済安全保障上のリスクもあると指摘。さらに、幹部に外国人を登用できない規定など、海外とのビジネス上の制約にも触れ、40年近く前に制定されたNTT法は「時代遅れ」だとして廃止を求めている。
自民党内でNTT法を廃止する方針が固まりつつあるとの報道に対して、楽天グループ、KDDI、ソフトバンクの各トップはX(旧Twitter)に次のように投稿。お互いにリポスト(旧リツイート)し合うなど、さながら共同戦線の様相となっている。
「報道どおりだとすると、自民党の『甘利氏』をリーダーとするプロジェクト。『NTT法を廃止』して、国民の血税で作った唯一無二の光ファイバー網を完全自由な民間企業に任せるなど正気の沙汰とは思えない。携帯含め、高騰していた通信費がせっかく下がったのに逆方向に行く最悪の愚策だと思います。国民の通信の将来など全く考えてない。こんなことがまかり通ってはいけない」(三木谷氏)
「三木谷社長だけに、政府との溝を作らせるのはアンフェアなので、私も久しぶりに投稿します。NTTが引き継いだ資産は国税で創り上げたものです、土地だけでも莫大な資産。まして地中に埋まる光ファイバーは、唯一無二であり国税を投下して、30年もかけて創りました」
「本来国が管理運営すべき重要インフラを、運営して頂く委託団体が特殊法人です。ですから特殊法人法があります。有事の際、東電のような惨事でも支えるのは当たり前で、国の重要インフラだからてす。一民間企業の持ち物にしては決していけません」
「20年、50年先の未来に、どんな有事が起こるかわかりません。民間に引渡しするアセットとしては適正では無いことは明白です。国が責任放棄するのはダメです。未来の日本にとって取るべき選択では無いと、届かないのは残念ですが声をあげます」(宮川氏)
「三木谷さん宮川さんもおっしゃっている通り多額の血税で構築した光ファイバー等特別な資産を持つ特別法人たるNTTの義務を規定したNTT法を単純に廃止する事は、公正競争の観点、有事への対応の観点からもあってはならない」
「外資規制等、他の法律等でカバーすると言うのなら、それが出来ない限り廃止はしてはいけない事は明確にしておく必要がある。多くのものがNTT法の廃止に反対しているなか、強硬に押し通すことに疑問が残る」
「今回の議論、そもそも防衛財源の話がいつの間にか話がすり替わりNTT法廃止の話だけが一人歩きしている事に先ず違和感を覚える」(高橋氏)
(更新:11月15日14時44分)NTTが国から受け継いだ資産について、NTT側の主張を追記しました。
(更新:11月15日15時32分)KDDI高橋氏の投稿を追加しました。
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