サムスン電子ジャパンは、最新スマートウォッチ「Galaxy Watch6」を9月に発売した。SIMを搭載するLTEモデルがあり、キャリアではNTTドコモとKDDIが取り扱っている。回転ベゼルが特徴の「Galaxy Watch6 Classic」も量販店のほか、au Online Shopが取り扱いを始めた。それぞれ大小2種類のサイズ、2色のカラー展開で、価格(税込)はWatch6が5万160円~、Watch6 Classicが6万6960円~。
今回、メーカーからWatch6の44mmモデルを借りることができたので、約2週間に渡ってテストした。その結果わかったのは、Androidスマートフォンと連携するスマートウォッチとして、現時点ではこれが最強なのではないかということだ。
Galaxy Watchは、各種通知などスマホとの連携や豊富な文字盤デザインのほか、GPSや心拍、血中酸素濃度、体表温度など数多くのセンサーを搭載し、日々の運動、睡眠、ストレスを管理できる。加えてサードパーティー製のアプリも追加できるなど、スマートウォッチとして高い完成度を持ちながら、これまで製品として大きな注目を集めることは、あまりなかったように思う。
2世代前の「Galaxy Watch4」からは、OSにGoogleと共同開発した「Wear OS Powered by Samsung」を採用。単体でつながるLTEモデルもリリースしてきた。同じOSを搭載する「Pixel Watch」の発売まで、Apple Watch以外では唯一のキャリアが取り扱うスマートウォッチだったのだが、それでも今ひとつ注目されてこなかったのは、「Felica」が使えないという大きな弱点があったからだと筆者は考えている。それゆえ、「モバイルSuica」が使えるPixel Watchの登場以降は、お株を奪われてしまった感もある。
そのGalaxy Watchが、Watch6でついにFelicaに対応した。従来の「VISA」と「MasterCard」のタッチ決済に加えて、モバイルSuica、「iD」や「QUICPay」にも対応。筆者も早速セットアップして、使ってみた。
メーカーによれば、Galaxy Watch6のNFC(Felica)は、時計の12時の方向に搭載されている。モバイルSuicaにチャージして、12時の方向を意識しつつ改札にかざすと、難なく通過することができた。スマホを取り出す手間なく、身につけている時計で電車に乗れるのはやはり手軽で便利だ。モバイルPASMOも、早く対応してほしいと思う。
Galaxy WatchはFelicaに対応したことで、弱点のないスマートウォッチになった。弱点が消えると、本来持っていた強味がより際立つ。そのひとつがバッテリー駆動時間。「Apple Watch Ultra」を除くApple WatchやPixel Watchは、駆動時間が24時間を切っているが、Watch6の駆動時間は、画面オンで30時間、オフで40時間と1日以上ある。
筆者が試した体感だと、常時点灯がオフになっていれば、充電は3日に2度くらいのペースでいける。30分で最大45%という急速充電にも対応しているので、入浴などのタイミングでうまく充電すれば、睡眠の計測も含めて付けっぱなしにできる。大きなウォッチを付けて眠るのには多少の慣れが必要だが、Watch6の44mmモデルに付属するシリコンバンドはフィット感が抜群で、ストレスなく付けっぱなしにすることができた。
高いカスタマイズ性能を備えているほか、「Galaxy Watch5」から追加された体組成が測定できる機能も、今のところ搭載しているスマートウォッチはGalaxy Watchだけだ。ほかにもGalaxy Watchには、多くのセンサーが搭載されていて、スマートウォッチでできることは概ねカバーしている。たとえば外を軽快に歩いていると、ウォーキングだと判断して自動で計測がスタートするし、眠るとそれを察して睡眠を記録してくれる。
Watch6では特に、睡眠に関する機能が充実している。睡眠ステージやスコアで眠りを見える化できるほか、一定期間記録すると睡眠のタイプが「スリープアニマル・シンボル」として表示される。ちなみにショートスリーパーの筆者のアニマル・シンボルは「ペンギン」だった。タイプごとに詳しいアドバイスをチェックすることや、より良い睡眠のためのコーチングプログラムを受けることもできる。Pixel Watchが採用するFitbitでも、有料プランの「Fitbit Premium」で同様の機能を提供するが、Galaxy Watchは追加料金なしで利用可能だ。
Watch6はほかにも、20%大きく見やすくなったSuper AMOLEDディスプレイや、取り外しやすくなったストラップ、プロセッサーも含めて、前モデルから多くの点がアップデートされている。エクササイズでは心拍を計測し、個々の運動能力にあわせて最適な心拍数のゾーンを教えてくれる機能も追加された。また、ウォッチとスマホが離れたら通知したり、ウォッチからスマホの位置を探せる機能も利用できる。
そうした新しい機能のひとつに「ユニバーサルジェスチャー」がある。今「Apple Watch Series 9」の新機能として話題の「ダブルタップ」だが、実はWatch6でもユニバーサルジェスチャーで似たような操作が可能だ。指をあわせる、2回あわせる、手をグーにする、2回グーにするといった動作に機能を割り振り、画面に触れずに操作できる。
Galaxy WatchはiPhoneとは連携しないが、Androidスマートフォンであれば、Galaxy以外の端末でももちろん使える。もちろんGalaxyと組み合わせれば、できることはさらに増える。カメラのリモート制御もそのひとつ。折りたたみスマートフォンの「Galaxy Z Flip5」と組み合われば、スタンドなどがなくても端末を設置して、少し離れた位置からのセルフィーやグループ写真が撮影できる。通常はタイマーを使うところだが、Galaxy Watchがあればリモコン操作が可能だ。
このほか、Watch6、Watch6 Classicはいずれも、5ATMかつIP68準拠の防じん・防水に対応。転倒検知など、いざというときに安心の機能も備えている。従来からあったスマートウォッチとしての高いポテンシャルに、「Google Play」ストアからサードパーティー製のアプリを追加したり、Googleサービスとの連携がしやすい「Wear OS」のメリットを持ち、単体でつながるLTEモデルに、Felicaにも対応したとなれば、Apple Watchの対抗馬としてもはや不足はないはずだ。
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