「Galaxy Watch6」シリーズレビュー:回転ベゼルの復活と着実な進化

Lexy Savvides (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2023年08月10日 07時30分

 「Galaxy Watch6」は、古くなったものが再び新しくなれることを証明している。サムスンは「Galaxy Watch6 Classic」で、ファンに人気が高かった回転ベゼルを復活させた。一方、通常のGalaxy Watch6は2022年の「Galaxy Watch5」を着実にアップデートした製品となっている。どちらの「Android」スマートウォッチも目新しい機能はないものの、必要な機能をほぼすべて実行できる。

Galaxy Watch6と6 Classic
提供:James Martin/CNET

 筆者はWatch6とWatch6 Classicを1週間使用して、ワークアウトから睡眠まで、さまざまなことを追跡した。この2機種は、中身は実質的に同じスマートウォッチで、内部の仕様やセンサー、画面サイズの展開も同じものとなっている。筆者がテストしたのは、いずれも小さい方のモデルだ(Watch6は40mm、Galaxy Watch6 Classicは43mm)。

 Watch6とWatch6 Classicの主な違いは、以下のとおりだ。

  • 素材:Galaxy Watch6はアーマーアルミ製フレーム、Galaxy Watch6 Classicはステンレススチール製フレームを採用している。
  • 回転ベゼル:Watch6 Classicのみに搭載。Galaxy Watch6には、指で操作するタッチベゼルが画面の周囲に配置されている。
  • 価格:Galaxy Watch6は40mmモデルが299.99ドル(約4万2000円)から、44mmモデルが329.99ドル(約4万7000円)から。Galaxy Watch6 Classicは43mmモデルが399.99ドル(約5万7000円)、47mmモデルが429.99ドル(約6万1000円)だ。

 Watch6とWatch6 Classicのセンサーはすべて、Galaxy Watch5と同じものであり、心拍数や体組成、皮膚温度などを測定できる。また、Watch6にもWatch6 Classicにも、スマートフォンが近くにない状態でも通信可能なLTEモデルが用意されている。

 それでは、2022年のモデルと比べて、どこが違うのだろうか。改善点は、ソフトウェア、画面、持続時間が少し長くなったバッテリーなど、シンプルなものばかりだ。

輝度が向上し、さらに見やすく

Watch4 Classicと6 Classic
いずれも小さいほうのWatch4 ClassicとWatch6 Classic(右)。
提供:John Kim/CNET

 仕様表を見ただけだと小さなアップグレードのように思えるが、前モデルより大きい1.3インチ、1.5インチというディスプレイは全体的な使用感に大きな違いをもたらす。Galaxy Watch6 Classicと「Galaxy Watch4 Classic」(回転ベゼルが搭載された最後のサムスン製スマートウォッチ)を直接比較すると、ディスプレイの使いやすさには雲泥の差がある。

 画面の輝度もGalaxy Watch5や「Galaxy Watch5 Pro」の2倍で、最大2000ニトに達する。太陽光の下では、これまでよりも大幅に見やすいと感じた。常時表示ディスプレイも明るくなっている。

回転ベゼルで楽しい操作感が復活

 サムスンがユーザーからのフィードバックに耳を傾け、回転ベゼルを復活させてくれたことを非常にうれしく思う。回転ベゼルは、操作感を楽しくしてくれるだけでなく、手袋を着用しているときや手に汗をかいているとき、指が濡れているときにスマートウォッチを操作する実用的な手段でもある。

 また、回転ベゼルはGalaxy Watch4 Classicのものより薄くなっている。特に新しい機能が追加されたわけではないが、廃止されるべきではなかった。通常のWatch6では、画面の周りにタッチベゼルが搭載されており、ベゼルに沿って指を動かすことで、物理ベゼルと同じように操作できる。

Watch 6 Classicのベゼル
Watch 6 Classicのベゼル
提供:James Martin/CNET

 筆者が予想していなかったデザイン面の改善点は、バンドのデザインが新しくなり、ワンタッチで取り外し可能になったことだ。もうスプリングバーをいじる必要はない。バンドの位置が本体のフレームに近くなったのもうれしい。Classicのハイブリッドレザーバンドは、1日中着用していても快適な着け心地だ。

バッテリー持続時間はわずかに改善

 サムスンによるGalaxy Watch6のバッテリー持続時間の公称値はかなり控えめで、常時表示ディスプレイをオンにした状態で最大30時間、オフにした状態で最大40時間となっている。大型モデルのバッテリー容量は425mAhと、小型モデルの300mAhより大容量であるにもかかわらず、バッテリー持続時間の公称値はモデルやサイズの違いに関係なく同じだ。

 筆者が使用した限りでは、バッテリー持続時間は公称値よりも少し短かった。常時表示をオンにした状態で、スマートフォンの通知を何度か受信し、GPSを使いながら30分間ワークアウトをして、睡眠トラッキングを使用すると、Watch6 Classicの43mmモデルの場合、バッテリーは27時間でなくなった。

 Bluetoothヘッドホンで音楽をストリーミング再生して、GPSを使って屋外で長時間ワークアウトを行うといった、もう少し負荷のかかる使い方をすると、24時間ほどでバッテリーが切れた。LTEを使用したら、バッテリー持続時間はさらに短くなるのではないだろうか。付属のUSB Type-C(USB-C)充電器を使用して、残量ゼロの状態から充電したところ、充電が完了するまでに1時間以上を要した。なお、充電には「Galaxy」スマートフォンのリバースワイヤレス充電機能を使用することもできる。

 バッテリー持続時間が一番長いモデルを求めている人は、499.99ドル(日本では7万800円)のGalaxy Watch5 Proを選ぶといいだろう。同様の使い方で、2日半~3日は持つ。

Galaxy Watch 6とスマホ
提供:John Kim/CNET

「Wear OS 4」と「One UI 5 Watch」

 Galaxy Watch6シリーズは、Wear OS 4を搭載した最初のスマートウォッチだ。主要なアップデートとしては、バッテリー持続時間の改善やクラウドバックアップなどがある。「Gmail」や「Googleカレンダー」などのアプリも提供される予定だが、本稿執筆時点ではまだ利用できない。「Googleアシスタント」や「YouTube Music」などのGoogleアプリはすでに利用可能だ。「WhatsApp」もWear OS版のアプリが登場している。

 Watch6シリーズでは、Wear OS 4上にOne UI 5 Watchが搭載されており、以下のようなGalaxy Watch独自の機能が利用できる。

  • 睡眠の分析情報と睡眠コーチング
  • パーソナライズされた心拍ゾーン
  • 転倒を検知したときに装着者の位置情報を送信する緊急SOS
  • 装着者が55歳以上の場合、転倒検知機能の自動有効化

 ちなみに、Galaxy Watch4とWatch5でも、2023年中にOne UI 5アップデートが提供される予定だ。そのほかのインターフェースの細かな修正としては、キーボードの大型化がある。これにより、Watch5と比べて、少しだけ文字を入力しやすくなっている。ディクテーション(声による文字入力)もこれまでと同様に使用できる。しかし、今のところ筆者が最も気に入っているのは、スマートフォンの機種を変更したときにスマートウォッチをリセットする必要がないことだ。

Watch5とスマホ
スマートウォッチをリセットすることなく新しいスマホに簡単にペアリングできるようになった
提供:John Kim/CNET

 「Galaxy Z Flip5」や「Galaxy Z Fold5」を使っているなら、フレックスモードでカメラを使用する場合にスマートウォッチで操作できるが、筆者が使用した感じでは少しタイムラグがあるように思えた。古い「Galaxy」スマートフォンを持っている人も、取り残されたと感じる必要はない。そうしたスマートフォンでも、カメラの操作機能は使用できる。「Galaxy S22 Ultra」でテストしてみたところ、ベゼルを使ってズームなどの操作ができ、タイムラグもなかった。

 ユニバーサルジェスチャーは、あまり知られていないアクセシビリティー機能だが、非常に便利なので、もっと注目されるべきだ。「Apple Watch」の「AssistiveTouch」のような機能で、画面に触れたり、ボタンを押したりできない場合でも、ジェスチャーでGalaxy Watch6を操作できる。

Galaxy Watch6を装着した腕
提供:John Kim/CNET

健康、フィットネス、睡眠機能は前モデルと同等

 Galaxy Watch6には、「トラック・ラン」という新しいワークアウトの種類や、カスタムのワークアウトを作成するオプションなど、新しいフィットネスツールがいくつか追加されている。Galaxy Watch4とWatch5では姿を消していたサイクリングの自動検知機能もひっそりと復活している。過去のモデルと同様、Galaxy Watch6でも、ウォーキングやランニング、ローイングマシン、エリプティカルといったアクティビティを開始すると、約10分後に自動で検出される。

 今回新たに追加されたのは、「パーソナライズされた心拍ゾーン」機能だ。装着者が各自の有酸素運動能力の範囲内で運動できるようサポートすることで、より効果的なトレーニングを可能にする。Apple Watchと「Fitbit」にも搭載されている機能だ。

 睡眠トラッキング機能は、ライバル機種、特に「Pixel Watch」とFitbitの機能と同等の水準になった。睡眠スコアをスマートウォッチで確認できるようになったほか、睡眠スコアを表す動物もかわいい。こうした動物は2022年前半、Galaxy Watch4で初めて登場したものだ。Galaxy Watch6の睡眠に関するヒントが長期的に役に立つかどうか、そして、それがこれまでのスマートウォッチと異なるかどうかは、今後明らかになっていくだろう。

 ほかのウェアラブル製品と同様、Galaxy Watch6も睡眠中に血中酸素濃度を測定できる。筆者はこれまで、睡眠追跡のためにさまざまなスマートウォッチを使用してきたが、夜間の血中酸素濃度がこれほど低く出るのはWatch6だけだ。時には87%まで下がることもあった。血中酸素濃度が低いと、睡眠時無呼吸症候群などの病気を患っている可能性がある。また、スリープモードを有効にすると、心拍数センサーの緑色のLEDが目に見えない赤外線LEDに切り替わるはずだが、筆者が夜中に目を覚ましたとき、緑色のLEDが消えていないことに気付いた。この機能については、サムスンに連絡して説明を求めているところだ。

 Watch6には心電図(ECG)機能が搭載されており、不規則な心拍リズムの通知もサポートされるようになったが、利用するにはGalaxyスマートフォンが必要だ。

 Watch6の心拍数モニターの精度をテストするため、チェストストラップ式心拍数モニターと比較してみたところ、安静時にはどちらの数値も一致した。有酸素運動中、Watch6とストラップ式モニターの心拍数の誤差は、数回以内だった。Galaxy Watch5と同様、GPSは屋外ワークアウトを開始してから数秒以内に信号を捕捉した。ルートの精度も高い。

 最後に、皮膚温度センサーは夜間の睡眠中に皮膚温度を追跡する機能で、今後の月経周期の予測に使用することも可能だ。

Watch6にアップグレードすべきか

 それは人によって異なる。Galaxy Watch4やWatch5を持っている人は、お得な下取り制度を利用できる場合や、大きくなった画面をどうしても使用したい場合を除けば、アップグレードする意味はあまりない。アップグレードしなくても、2023年中にリリース予定のOne UI 5 Watchにアップデートすれば、ソフトウェアの主要な新機能はすべて利用できる。

 「Tizen」を搭載した旧式のGalaxyや「Gear」スマートウォッチを所有している人の場合、Wear OSを利用できるようになるほか、人気の回転ベゼルを搭載したモデルを選べるようになるので、アップグレードしてもいいかもしれない。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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