5月に「Pixel 7a」をレビューしたとき、筆者は洗練されたデザイン、高画質のカメラ、より高価な「Pixel 7」との共通点の多さを賞賛した。それから3カ月経ってこのスマホを再び使ったところ、それらの印象はさらに強まり、他の長所と短所も改めて実感させられた。
Googleには、「Pixel」スマートフォンに対して、発売後も数年間にわたりソフトウェアをアップデートし続け、新しい機能を提供してきた確かな実績がある。そのおかげで、Pixelデバイスは長く使っていても新しさを感じる。それはPixel 7aにも当てはまるはずだが、これから数カ月後に「Pixel 8」シリーズが発表される可能性が高いため、Pixel 7aを今購入する価値はあるのか、それとも、Pixel 8を待つべきなのか、という重要な問題が浮上している。
Googleの次世代スマホがどのようなものになるのかは分からないが、上述の問題への答えは、Pixel 8の価格と魅力的な新機能があるかどうかによって大きく左右される。Googleは通常、新型Pixelシリーズを10月に発表するが、それに先立って、Pixel 7シリーズを大幅に値下げする可能性もある。そうなった場合、Pixel 7の方が7aよりもお買い得になるかもしれない。
筆者は大抵、Googleが次の大きな製品発表会を開催するまで、購入を保留することをお勧めしている。だが、新しい「Android」スマホが今すぐ必要で、Pixel 7aに目をつけている人は、安心して購入していいだろう。大きすぎず、小さすぎず、最適なサイズに感じられる筐体に、高画質のカメラと便利なソフトウェア機能が搭載されたスマホが手に入る。
Pixel 7aの6.1インチという画面サイズは、携帯性と大きさのバランスが絶妙であるように感じられる。難なくニュース記事を読んだり、ビデオ通話をしたり、ソーシャルメディアをスクロールしたりするのに十分な大きさだが、手に持っていても負担を感じない。
コンパクトなデザインに巨大な画面を詰め込むという点では、サムスンの方がGoogleよりも良い仕事をしている。例えば、「Galaxy S23」はPixel 7aと同じサイズの画面を備えているが、本体を持つと、より小さく感じる。ただし、価格は799.99ドルから(日本では未発売の128GB版で約11万6000円)で、Pixel 7aよりもはるかに高価だ。
筆者はPixel 7aのサイズを気に入っているが、画面は屋外だと薄暗く見える。Pixel 7aを屋外で使用するときは、たとえ曇りの日であっても、快適に見るためには、画面の輝度を上げなければならなかった。449.99ドル(日本では約7万円)の「Galaxy A54 5G」には、Pixel 7aよりも明るい6.4インチのディスプレイが搭載されている。ただし、筆者の同僚のAndrew Lanxon記者は、他のほとんどの点で、Galaxy A54 5GよりもPixelの方を高く評価している。
3カ月経った今でも、筆者はPixel 7aのシャープなデザインを気に入っている。勇気を出して、ケースなしで使用しているが、白色の「Snow」モデルは驚くほどきれいな状態を維持している。Googleは、Pixelのデザインに関して何年も試行錯誤を重ね、自社のスマホに最適な外観をついに見つけたと思う。ミニマリスト的で洗練されている一方で、カメラが存在感を放つ現在のPixelのデザインは「Pixel 6」で導入された。筆者は、同社がこの方向性を貫いてくれることを期待している。
Pixel 7aのバッテリー持続時間は十分だが、特に優れているわけではない。とはいえ、より高価な「Galaxy S23」シリーズとほぼ同等だ。フル充電すると、丸1日を乗り切ることが可能で、夕方になってもある程度の残量があった。筆者の場合、通常の勤務日には、午前8時~8時30分頃にスマートフォンを充電器から外し、午後11時~11時30分の間に就寝するが、消灯する時間になっても、Pixel 7aのバッテリーは46~56%残っていた。
仕事の後に出かける予定があるが、デスクでスマートフォンを充電する時間がなかった、という場合でも、これだけの残量があれば安心できる。ただし、ほとんどのスマートフォンと同じように、夜間に充電することを忘れないでおこう。
Pixel 7aは、米CNETの3時間にわたるバッテリー耐久テストでも、Galaxy S23シリーズのどの機種よりも優れたパフォーマンスを示した。このテストでは、「YouTube」の同じ動画を再生し続けて、1時間ごとにバッテリー残量を測定する。Pixel 7aの3時間後のバッテリー残量が85%だったの対し、Galaxy S23は81%、「Galaxy S23+」は84%、「Galaxy S23 Ultra」は82%だった。
サムスンのフラッグシップシリーズよりもはるかに低価格のスマートフォンであることを考えると、これは見事な結果に思えるかもしれない。ただし、考慮すべき重要な注意点もいくつかある。サムスンのスマホは、Pixel 7aよりもリフレッシュレートと輝度が高いディスプレイを備えている。
また、実際の使い方をシミュレーションする別のバッテリーテストでは、Pixel 7aの結果はGalaxy S23+およびGalaxy S23 Ultraよりも結果は少しだけ悪く、Galaxy S23とほぼ同等だった。ゲームのプレイ、動画のストリーミング、ソーシャルメディアの閲覧、10分間のビデオ通話を行うこの45分間のテスト終了後、Pixel 7aのバッテリー残量が92%だったのに対し、Galaxy S23は91%、S23+は95%、S23 Ultraは94%だった。
総合的に見ると、Pixel 7aのバッテリー持続時間は平均的であり、筆者が5月にレビューしたときの結果ともほぼ一致している。
Pixel 7aの6400万画素のメインカメラを使用すると、シャープでカラフルな写真を撮影できる。より広い視野から写真を撮影できる1300万画素の超広角カメラも搭載されている。
「Pixel 7 Pro」やGalaxy S23 Ultraといったハイエンドスマホに搭載されているカメラと比較すると、見劣りする。だが、これらのモデルはPixel 7aよりもはるかに高価なのだから、当然だ。それでも、Pixel 7aで撮影した写真のディテールとコントラストは素晴らしい。下の写真では、シシトウガラシにかかっている塩の粒も確認できる。
下の写真は、花びらに映る影のおかげで、立体感のある写真に仕上がっている。
だが、薄暗く、人が複数いた屋内環境で撮影すると、シャープさや鮮明さに難がある写真になってしまった。ニューヨークのBarcadeという店で撮影した下の写真を見てほしい。煌々と光を放つネオンサインとゲーム機の画面に映っている「忍者タートルズ」のロゴは非常に鮮明だが、すべての人がぼやけて見える。
Googleは、Pixelスマートフォン向けに新しい機能を継続的にリリースするようになっており、筆者はその傾向をありがたく感じている。同社はこれらのアップデートを「Feature Drop」と呼んでおり、(Googleの他のスマホと同様に)Pixel 7aにも発売から約1カ月後の6月にアップデートが提供された。このアップデートにより、新しい「シネマティック壁紙」や「絵文字壁紙」、「Googleアシスタント」を使用した安全確認機能、緊急連絡先とのリアルタイムの位置情報共有、手のひらを上げることでカウントダウンを開始できるカメラアプリの新しいタイマー機能が使えるようになった。「レコーダー」アプリもアップデートされ、文字起こししたテキストを「Googleドライブ」にエクスポートできる機能や、話者のラベル付きのビデオクリップを作成できる機能などが追加されている。
ありがたいことに、筆者自身が安全機能を使用しなければならない事態に陥ることはなかったが、Googleが安全機能の強化に取り組んでいるのは喜ばしいことだ。前景の被写体を強調する効果を写真に適用する新しいシネマティック壁紙は、いろいろ試せて楽しい。ただし、被写体が過度にトリミングされる場合があることに気づいた。筆者が韓国のソウルで夫と撮影した自撮り写真にシネマティック壁紙を適用したところ、夫の顔だけの近接写真になってしまった。
これらの機能は、Androidのメジャーアップデートやサムスンの「Galaxy」スマホ向け「One UI」のアップグレードほどのインパクトはない。だが、Googleが自社のスマホに対して、時間が経過しても新鮮で古さを感じさせないようにする方法を真剣に考えていることは分かる。同社製「Tensor」プロセッサーがさらに進歩する中で、より多くの新機能が提供されることを筆者は期待している。
2021年にPixel 6シリーズでTensorチップを発表したとき、Googleは、同プロセッサーによって、機械学習を利用する機能が改善されると語った。写真編集などのタスク、言語翻訳やディクテーションなどの音声機能がその一部だ。このような新機能を長期にわたって追加し続けることは、同社がその約束を果たす1つの手段となるだろう。
この答えはいくつかの条件に左右される。まず、Pixel 8の詳細が明らかになるまで待った方がいいかもしれない。この問いに対する答えは、Pixel 8次第ですべて決まる。Googleは通常、新型のPixelスマホを秋に発表する。Pixel 8は、新しいTensorプロセッサーや、Pixel 7aよりも大型の画面を備え、カメラにいくつかのアップグレードが加えられる可能性が高い。
だが、Pixel 7aが証明したように、Googleの「a」シリーズのスマートフォンと無印のフラッグシップスマートフォンの差は縮まりつつある。同社は、Pixel 7aと「Pro」モデルではない標準のPixelで、同じユーザー層をターゲットにしているように思える。つまり、高画質のカメラを備えた手頃な価格のAndroidスマホを求めるユーザーだ。Pixel 8がPixel 7の小規模なアップデートにとどまった場合、より低価格のPixel 7aの方が優れた選択肢になるかもしれない。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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