人工知能(AI)トレーナーは筆者にジャンプするよう指示することはできるが、ジャンプの高さには関心がない。
それは、AIを活用する「iPhone」専用のフィットネスアプリ「FitnessAI」を試しているときに気づいたことだ。FitnessAIは身長、体重、性別、自宅やジムで利用可能な器具など、ユーザーが入力したさまざまな情報に基づいて、パーソナライズされたワークアウトルーティンを作成する。しかし、テクノロジーだけを利用して、人間の身体を鍛えることには、限界がある。
筆者はFitnessAIを、ユーザーとパーソナルトレーナーをバーチャルでつなげてくれるアプリの「Future」と比較してみた。Futureでは、自分で設定した目標の達成に向けて努力したり、アプリに数字を入力したりするだけではなく、期待をかけてくれる生身の人間も相手にしていた。仲間意識の強い筆者は、自分はもっと頑張れるということをそのパーソナルトレーナーに示したいという気持ちになった。
このことは、機械を使ったトレーニングと、ほかの人間と一緒にするトレーニングの根本的な違いを示している。FitnessAIによると、同アプリは、ユーザーが新しいルーティンに徐々に慣れていけるように支援することを目指しているという。つまり、新しいワークアウト方法にユーザーをいきなり放り込むようなことはしない。なぜなら、人間としてのユーザーを理解して総合的に捉えることも、特定のニーズやニュアンスを認識することもできないからだ。FitnessAIが数値の計算やデータの収集、パターンの認識を行いながら、よりユーザーに合った方法でさまざまなワークアウトを開始するまでには、数週間かかる場合もある。
2019年にリリースされたFitnessAIは、機械学習アルゴリズムを利用して、各ワークアウトのセットやレップ(回数)、重量を最適化する。アプリのインターフェースは洗練されている。どのワークアウトにも人体の3D解剖モデルが含まれており、それぞれの筋肉群の起伏、各ワークアウトのやり方、ターゲットとなる筋肉を示す。ウェイトの重さを変えた場合は、エクササイズの完了後、FitnessAIに伝えることができる。するとアプリはそのデータを使用して、今後のワークアウトを調整してくれる。
最初のセッションでは、筆者は肩と腹筋を重点的に鍛えた。まずはバーベルショルダープレスを5セット(各セット5レップ)して、その後、ダンベルショルダープレスを行った。疲労のせいで、ショルダープレスのエクササイズを2つ続けてやるのは、あまり効率的な感じがしなかった。ダンベルラテラルレイズを行い、加重デクラインクランチを終えた後、標準的なクランチをいくつかやった。それは過酷なトレーニングとは程遠いものだった。もちろん、ルーティンを完了した後、さらにトレーニングを追加することもできたが、テストが目的だったので、そこでやめておいた。
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