自動化技術の急速な進歩により、人工知能(AI)が将来的にパーソナルトレーナーやグループフィットネスプログラムに取って代わる可能性はあるか、という疑問が生じている。筆者は、AIがフィットネス業界に及ぼしている影響、その利点と欠点、今後予想されることについて、より深く理解するため、複数のフィットネス専門家に話を聞いた。
筆者は、さまざまなフィットネス機器を試すことを生業としているので、AIに関してもそれなりの経験があり、これまでの変遷を注視してきた。各種プラットフォームが、さまざまなAIの要素を取り入れる様子を目の当たりにしている。例えば、アプリの「JRNY」には、Bowflexの可変式ダンベルを使ってモーショントラッキングできる機能がある。フィットネス機器で有名なPelotonも、「Peloton Guide」(スマートカメラを使ってユーザーの動きを追跡する家庭用筋力トレーニングシステム)のAI機能をアップグレードしている。
フィットネスアプリは、AI技術を活用することで、よりカスタマイズされた体験を生み出し、どこでも簡単にワークアウトをできるようにしたり、パーソナライズされたトレーニングのような体験をユーザーに提供したりしている。アプリやサブスクリプションプラットフォームを利用した方が、ジムに入会したり、対面のトレーナーを雇ったりするよりも安く済む場合もある。
筆者は、フィットネストレーニングについて「ChatGPT」を試してみたこともある。ChatGPTがパーソナライズされたワークアウトをどのように作り上げるか知りたかったからだ。ChatGPTは、全身を鍛えるトレーニング、上半身を鍛えるトレーニング、有酸素運動、身体を休める日に分割された、初心者向けの3日間のワークアウトプログラムをいとも簡単に作成し、筆者を驚かせた。プログラムに関しては、ウォームアップは主に軽い有酸素運動(ジャンピングジャック)がベースとなっており、ワークアウトの開始時と終了時のモビリティーエクササイズやストレッチは含まれていなかった。セット間の休憩時間は、ワークアウト一式から最大の効果を得るために重要だが、これも含まれていなかった。
ChatGPTは概ね、自らの能力の限界を認識しているようだ。筆者が産前トレーニングプログラムを作成してほしいとChatGPTに伝えたところ、「産前トレーニングプログラムを開始する前に医療提供者に相談して、そのプログラムがあなたと赤ちゃんにとって安全であるか確認することが重要です」という答えが返ってきた。
さらに、ChatGPTはウォーミングアップ、筋力強化、有酸素運動、ストレッチなど、産前トレーニングの例も提示した。このようなケースでは、プログラムについて資格を持つパーソナルトレーナーに相談し、それが自分のフィットネスレベルと習慣に適したものかどうか確認した方がいいだろう。
「フィットネスにおけるAIの最大の利点は、ストレスや緊張、睡眠、回復の状態、体が運動できるコンディションにあるかなど、さまざまな外的要因を考慮して、トレーニングプログラムを毎日調整できることだ」、と語るのは、自宅でトレーニングする人向けの情報を提供しているGarage Gym Reviewsでシニアスタッフライターを務めるAmanda Capritto氏だ。
パーソナルトレーニングアプリを提供するFutureの共同創設者で最高経営責任者(CEO)を務めるRishi Mandal氏によると、AIの最も優れたツールの1つはデータ収集だという。「AIは、レップ数のカウントやフォームの確認などの正確なデータ収集、特にバイオメトリクスを用いて、同じワークアウトをしたときに心拍数が低下しているかどうかを追跡する場合などで大いに役立っている」(Mandal氏)。したがって、AIは、ユーザーのフィットネス習慣をモニタリングし、日々のニーズに基づいてそれらの習慣を調整するのに信頼できるツールと言える。
こうした利点があるという点で、AIは、スマートフォンにダウンロードして使用する通常のフィットネスアプリよりも優れている。
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