クラウド録画サービスを展開するセーフィーは5月17日、建設現場での遠隔業務に必要な機能を搭載したウエアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket2 Plus(セーフィーポケットツープラス)」を順次提供開始すると発表した。
ウエアラブルクラウドカメラSafie Pocketシリーズは、現場に行かず離れたところで立ち会いなどを行う建設業の遠隔臨場で活用されてきた。6月中旬から提供を開始するSafie Pocket2 Plusは、2020年に発売したSafie Pocket2の機能を改善、また新機能を搭載したもの。Safie Pocket2の2倍の映像伝送レートにより、より高画質な映像を確認できるようになったほか、モバイル給電機能にも対応。バッテリー残量を気にすることなく、長時間の撮影も可能になった。
さらに、複数の作業員と同時にコミュニケーションできるスピーカー通話機能、カメラを装着した作業者が激しく動いても映像酔いせず現場を確認できる手ぶれ補正機能、カメラを設置できない危険なエリアなどを最大8倍で撮影できるデジタルズーム機能を備える。
企画本部IoTソリューション部プロダクトグループの杉本秀樹氏は、「Safie Pocket2 Plusは発売したら終わりでなく、現場で使ってもらってからがスタート。ファームウェアやクラウド側のアップデートを通じて、リリース後も進化していきたい」とコメントした。
営業本部第2ビジネスユニット部長の桜田忠弥氏は、「固定カメラのSafie GOに始まり、入退室管理ができるSafie Entrance2など、セーフィーはこれまでさまざまなハードウェアによって現場の映像をクラウドに収めることに注力してきた。今後は働き方改革関連法が適用開始される2024年に向けて、現場の生産性をいかに高めるかが課題になる。現場のリアルなデータと管理者側が持っている仮想データをつなげ、現実世界の情報をもとに仮想世界に双子を形成するデジタルツインの構築も視野に入れていきたい」と、セーフィーが叶えていきたい建設業界のビジョンを語った。
パネルディスカッションでは、桜田氏と、実際にSafie Pocketシリーズを導入している企業として大林組土木本部先端技術室の高橋寛氏、鹿島建設技術研究所の西澤勇祐氏が、建設業の2024年問題と建設現場における働き方の未来について議論した。
「働き方改革関連法の適用が開始される2024年までに建設業が解決しなければならない労働環境の問題に対して、どのような課題を抱えており、どう解決してきたか」という桜田氏からの質問に、高橋氏は「2024年問題については、法適用開始までの5年の猶予期間の間に解決に向けて取り組み、目標を達成した。しかし今後も働き方は進化していく必要があり、建設プロセスのデジタル化を進めていきたい」とコメント。
西澤氏は「建設業の2024年問題については高い危機感を持っている。遠隔臨場の必要性を感じ、Safie Pocketシリーズを現場で導入してきた。今後も作業の半分はロボットに任せる、管理の半分は遠隔で行う、設計検討や進捗管理などすべてのプロセスをデジタル化するなど、DXによって生産性を向上させていきたい」と語った。
またSafie Pocketシリーズの導入について、高橋氏は「最初はカメラの設置に関して、本社から監視されるのではないかなど懸念の声もあった。しかし一度導入を進めると、所長からポジティブな反応があり一気に広まっていった」と振り返る。西澤氏は「現場は朝7時くらいから動き出し、夕方までかかることもある。モバイル給電機能によって、バッテリーが長持ちするようになったのは大きなアップデートだ」と、提供が開始されるSafie Pocket2 Plusへの期待を語った。
6月中旬から開始されるSafie Pocket2 Plusの提供は、一式レンタルでオープン価格。カメラ本体のほか、通話用Bluetoothヘッドセット、取り付け用クリップ、マウント用アダプタ、三脚アダプタ、ACアダプタ×2、充電用クレードル、DCケーブル×2、USB Micro-Bケーブル、LTE通信サービス、クラウド録画サービスが含まれる。
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