超広角レンズでの撮影に関しては、色合いが自然で、フレーム周辺のシャープネスがかなり優れていることから、Appleの勝利としたが、かなりの接戦だった。ここでも、Galaxy S23 Ultraで撮影した空はあまりにも青く、草はあまりにも緑だったが、太陽にレンズを向けるという難しい構図では、サムスンもAppleも激しいレンズフレアに対処しきれなかった。
超広角レンズを使えばマクロ撮影もできる。スマートフォンでマクロ撮影が可能になったことはうれしいが、どちらのカメラも写真の中心部を外れると画質が大きく劣化するため、期待しすぎないほうがいい。しかし、下のバースデーパイの写真からも分かるように、Galaxyの方が全体にシャープネスを維持できている。
RAW写真は、元の写真の情報を多く保持しているため、色や露出の編集の自由度が高い。最高の写真を撮りたいならRAW撮影を勧める。AppleとサムスンはGoogleにならい、どちらもRAW撮影には「Computational Raw」方式を採用している。これは従来のJPEGやHEIC形式の写真に用いられている画像処理の手法を用いて、複数の写真を1枚の写真に合成する技術だ。
RAW撮影がしたいなら、iPhoneの方がはるかにスムーズだ。iPhoneの設定から「カメラ」アプリを開き、フォーマットでRAWオプションを有効にするだけでいい。メインカメラで4800万画素のRAW写真を撮影したい場合は、このオプションも有効にする。あとは実際に撮るときに、カメラで「RAW」ボタンをタップしてから撮影するだけだ。
これに対して、GalaxyではRAW撮影が後付けの機能のように扱われている。つまり、Galaxy Storeから別途「Expert RAW」アプリをダウンロードしなければならない。このアプリは、撮影しながら露出やシャッタースピードなどの設定をいじりたい人には便利だが、撮影だけして後で「Lightroom」などの編集ソフトを使って整えたいという人にはかえって手間になる。クイック起動オプションもない。
Expert RAWアプリは、設定でJPEGとRAWの両方のフォーマットで写真を保存するようにできるが、JPEGの基本的な処理は通常のカメラアプリよりもはるかに悪い。色は深刻な過飽和を起こし、被写体の周りにははっきりと光の輪が見える。画質にこだわるならRAW一択だ。
もっと厄介なのは、アプリの解像度設定だ。5000万画素モードに設定した場合、使えるのはメインカメラだけ。望遠カメラや超広角カメラを使う場合は1200万画素に設定し直す必要がある。カメラごとに最高画質で撮影できるようにするオプションはない。
優秀な望遠カメラを搭載したGalaxy S23 Ultraは高価だが、クリエイティブな表現がしたいなら、それだけの価値はある。しかし、iPhone 14 Proのカメラの方が写真の仕上がりは自然で、カメラアプリの動作も速く、機能も充実している。これはiPhoneが持つ大きな利点だ。
どちらのスマートフォンも、撮影の道具としては優秀だが、「Android」から「iOS」に乗り換える、またはiOSからAndroidに乗り換えるだけの価値があると言い切れるほどの明確な優位性はない。スマートフォンのカメラを最大限に活用したいならRAW撮影を選択するーーこれが、今のところもっとも容易に下せる決断だ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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