「Galaxy S23 Ultra」対「iPhone 14 Pro」--カメラ性能を徹底比較 - (page 2)

低照度撮影：軍配はGalaxy

　しかし日が落ちると、今度はGalaxyの演算処理に魅力を感じるようになった。iPhoneのカメラは暗部がつぶれやすいのに対して、Galaxyのカメラは全体に細部を的確に捉えており、手ぶれで失われた暗部もうまく底上げしてくれる。下の写真では、Galaxyの写真の方がステンシルで描かれた文字をシャープに表現できており、影も明るくなっていることに注目してほしい。

　下の写真では、iPhone 14 Proで撮った写真の方が明度は高いが、Galaxy S23 Ultraの写真と比べると、失われたディテールははるかに多い。通常はiPhoneの方が現実に近い写真を撮影できるが、このケースでは違った。

　夜に明るい街灯にレンズを向けて撮影するのは、GalaxyにとってもiPhoneにとっても難しい挑戦であり、残念な結果に終わった。どちらの写真でも虹色の大きなレンズフレアが発生していることが分かる。

望遠撮影：Galaxyの圧勝

　S23 Ultraの3倍・10倍の望遠カメラはすばらしいの一言だ。遠くのものを正確にフレーム内に収めることができるので、細部や奥行きをうまく利用すれば、驚きと魅力にあふれた写真を撮影できる。

Galaxy S23 Ultraの光学10倍の望遠カメラで撮影した写真
提供：Stephen Shanlkland/CNET

　iPhone 14 Proで撮影し、デジタルズームで10倍に拡大した写真と、Galaxy S23 Ultraの光学10倍ズームを使って撮影した写真を比較するために何十枚も写真を撮ってみたが、当然ながら、Galaxyの圧勝で終わった。

Galaxy S23 Ultraの光学10倍で撮影した写真とiPhone 14 Proの光学3倍で撮影しデジタルズームで拡大した写真
提供：Stephen Shanlkland/CNET

　Appleは常々、自社の製品をクリエイティブツールとしてアピールしていることを考えると、iPhoneがいまだに高倍率の望遠カメラを搭載していないのは情けない。

　サムスンはGoogleやその他の競合企業と同様に、プリズムを使ってスマートフォンの内部で光を90度屈折させる「ペリスコープ」レンズを用いて長い焦点距離を実現している。光軸を横に曲げることで、通常のスマートフォンカメラでは不可能な距離の望遠撮影が可能になった。

　筆者の場合、Galaxyを使った望遠撮影には光学10倍ズームを使うことが多く、デジタルズームの30倍、100倍で撮影する機会はあまりない。30倍は小さいものを見たい時に便利で、鳥の種類を知りたい時などに役立ちそうだ。100倍は、切手サイズの写真を撮るのでもない限り、話の種くらいに考えておいた方がいいだろう。

Galaxy S23 Ultraの2億画素写真のからくり

　Galaxy S23 Ultraの目玉機能のひとつが2億画素モードでの撮影だ。実際には、2億画素センサーはAI技術を使って色データを復元しており、レンズが小さいとシャープネスにも限界があるため、2億画素といっても肉眼でははっきりとした違いは感じられない。例えば2億画素で撮影した写真と、5000万画素で撮影した写真をPhotoshopで2億画素に拡大した写真を比較したところ、筆者の目では大きな違いは感じられなかった。

　2億画素の写真はファイルサイズもとてつもなく大きい。雪がふりつもった杉の木を撮った写真（JPEG）のファイルサイズは、5000万画素が21MB、1200万画素が7.3MBだったのに対し、2億画素では57MBに達した。

　iPhoneは2x2のピクセルビニング技術のみを使って4800万画素の写真を撮影している。これは今日のスマートフォンの技術では、ほぼ上限と言っていい。

セルフィー：iPhoneの勝利

　自撮り写真の比較は僅差の勝負となった。個人的には、色や髪、ヒゲといった細部のリアリティに優れるiPhoneの写真の方が好みだ。下の写真を見ると分かるように、どちらも顔にかかる影の表現には苦労していた。さらにGalaxyの写真では、空がのっぺりとした奇妙な灰色に変わってしまっている。

　演算処理によって背景をぼかすポートレートモードでの自撮りでは、どちらのカメラも風になびく髪をうまく表現できなかった。