「Mastodon」と同じように、Barcelonaも分散型のソーシャルメディアプラットフォームになる。分散型ソーシャルネットワークは、管理者が複数いるという点で一元管理型ネットワークと異なり、1人がネットワークを運営することはない。
Metaはこれまで、自社のソーシャルメディアアプリに分散型ネットワークを取り入れることを公に支持したことがない。それどころか、同社のサービスは、ユーザーをターゲットにしたマーケティングや広告キャンペーンによる利益を最大化するため、ウォールドガーデンに大きく依存している。
だが、ウォールドガーデンによるビジネスモデルには、反トラスト法に照らして合法性に疑問の生じる面があるため、議員たちから注がれる視線はますます厳しいものになりつつある。とはいえ、Twitterに代わる分散型アプリの開発は、困難であることが明らかだ。
2022年11月、MastodonはTwitterから乗り換えたとみられるユーザーの流入が100万人を突破したと報じられたが、そのユーザーを維持することはできなかった。Mastodonはその人気の絶頂期に、Musk氏にとって大きな脅威となり、同氏は一時的にMastodonへのリンクをTwitterで共有することを禁止したほどだ。
しかし、Twitterはカルト的な人気を誇り、業界内での知名度も高いため、ここ半年ほどの間に数々の重大な問題に直面したにもかかわらず、ユーザーはTwitterから離れていない。おそらく、Mastodonはたちまち対応できなくなったのではないか。あるいは、分散型ゆえに操作性が複雑になることがあり、ユーザーが急速に離れてしまったのかもしれない。
Mastodonの創設者Eugen Rochko氏は2022年末、同プラットフォームの非営利性を維持するために、シリコンバレーからの複数の出資の申し出を断っていたことを明らかにした。一方でMetaは営利企業であり、その立場を生かして分散型プラットフォームの開発に資金やリソースを注ぎ込める。
分散型プラットフォームは、Web2.0のSNSプラットフォームによく見られる広告戦術を採らず、Mastodonも広告を一切配信していない。Metaの分散型プラットフォームがどのように利益を上げる計画なのかは不明だ。
次のウェブインフラ技術であるWeb3.0(Web3)は現在、ブロックチェーン技術を利用して、オンライン上のネットワークに参加するユーザーに報酬を支払うことを推進している段階だ。これは複雑な技術で、まだ広く普及していない。
しかし、問題のある広告手法や、時には略奪的なアルゴリズムをめぐって繰り返し猛烈な批判を浴びてきた企業が分散型プラットフォームに軸足を移すのは、興味深いことかもしれない。はたしてMetaは、同社のビジネス手法の基盤とは異なる特徴を持つ世界で成功できるのだろうか。
Metaは、Web3テクノロジーへの移行に成功する初めてのWeb2大手になる可能性もある。となると、今こそわれわれは分散型SNSプラットフォームの使い方に磨きをかけるべき時かもしれない。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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