まず、指摘されるのが、これまで楽天モバイルが建設してきた基地局の構造だ。
楽天モバイルは参入当初から全国に基地局を設置し、いまでは5万カ所以上と、計画を大幅に前倒して建設を進めてきた。コンプライアンスを二の次にしてきたのか、下請け業者からの水増し請求も見逃し、100億円規模も騙された事件が起こったのも記憶に新しい。
これまで作ってきた基地局は、1.7GHz、さらには5Gの周波数帯用アンテナを設置できるような設計になっていると思うが、それにプラスしてプラチナバンドである700MHzのアンテナを設置できるような構造にはなっていないと思われる。
基地局の場所はすでに確保できていたとしても、アンテナを追加で設置できる構造に見直す作業、さらにはアンテナを設置して問題ないようにするための追加工事が必要なところも出てくるだろう。
実際、楽天モバイルの基地局工事現場を取材したことがあるが、お世辞にも他社と比べて頑丈そうには見えなかった。とにかく時間が優先で、突貫工事で作った感が強いのだ。
そもそも楽天モバイルは「完全仮想化ネットワーク」により、これまで大規模な設備が必要だった基地局に比べて、設備も少なく、コンパクトで安価に作れるのが売りだった。そのため、屋上にアンテナを設置することに許可を出すビルオーナーも多かった。
しかし、屋上に新たに重たい設備が載ることで、耐震性に影響ができるのでは無いかと気にするビルオーナーも多いのだ。
アンテナがさらに重たくなるため、耐震性の追加工事が必要のところもあるだろう。
1.7GHzのアンテナにプラチナバンド用のアンテナを追加するのか、あるいは1.7GHzとプラチナバンドの両方を内蔵したアンテナに交換するのか。いずれにしても、追加の工事がそれなりに発生することは間違いない。
また、これまでは1.7GHzと、さほど飛ばない電波であるため、比較的低層なマンションの屋上などに基地局を設置してきた。しかし、プラチナバンドとなれば、それなりに飛ぶため、その性質を生かそうと思うと、より高い場所に基地局を確保する必要が出る。つまり、従来の基地局の場所ではなく、新たにプラチナバンドに適した場所の確保を迫られることになる。
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