楽天モバイルは「安すぎる料金設定」を続けられるか--迫る黒字化期限、他社はステルス値上げも

 楽天グループで代表取締役会長兼社長最高執行役員を務める三木谷浩史氏は1月26日、楽天モバイルの「法人プラン」を発表した。楽天市場の出店企業を対象にした「楽天新春カンファレンス 2023」で三木谷氏自らが発表し、内容は月間データ容量が3GBで2178円、5GBで2618円、30GBで3058円といった具合だ。いずれも「Rakuten Link Office」アプリを使うと国内通話はかけ放題となる。


 楽天モバイルは、これまで頑なに「ワンプラン」を貫いてきた。しかし、法人プランでは「3プラン」にしてきた。実際に上限3278円でデータ使い放題となる従来の料金プランに比べるとデータ容量に制限があり、お得度が下がっている感がある。

 しかし、法人回線となればデータ使い放題は必要とは言えず、むしろ、1回線あたりの単価が低い方がまとめて契約しやすいのだろう。実際に、競合他社となるワイモバイルの法人向けプランでは、10分までのかけ放題とセットにして、3GBの場合は2178円、25GBは3388円なので、楽天モバイルとしては他社の法人プランと比べて、充分に競争力のある値付けと判断しているようだ。

 楽天モバイルは同日、家庭内向けWi-Fiルーター「Rakuten Turbo」も発表している。通信料金は最初の3年間は3685円、4年目以降は4840円だ。コンセントに挿すだけで周囲にWi-Fiを飛ばせる同種のデバイスは、特に春商戦で引き合いが強い。引っ越したものの固定インターネットの回線工事に時間がかかったり、導入したものの遅くて使い物にならないなど、新生活が始まる時期に需要が高まるのだ。このタイミングに楽天モバイルも間に合わせた格好だ。

 ただ、ぶっちゃけて言うと、スマートフォン向けのプランを契約しているSIMカードを、SIMフリーのモバイルWi-Fiルーターに挿して運用した方が、月額3278円で使えるので確実に安い。冷静に比較すると「誰が契約するのか」とツッコミたくなるが、楽天モバイルとしてはRakuten Turboは光回線や、他社が手がける家庭向けWi-Fiルーターの通信料金と対抗しているのだろう。

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