楽天モバイルは同社の悲願である「プラチナバンド」を2023年秋にも手に入れることになりそうだ。
プラチナバンドとは飛びやすく回り込みやすい電波のことで、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社はすでに所有し、サービスを提供している。
しかし、現在、余っている周波数帯はないと言われており、貴重なことから「プラチナバンド」と言われるようになった。
楽天モバイルは2020年4月に携帯電話サービスを開始。参入当初は1.7GHz帯という周波数だけで、イチから全国にエリアを展開したため、山間部や離島、都心部のビルの中などでは「つながりにくい」とされていたのだ。ユーザーの立場からは、プラチナバンドでエリア展開し、日本中で繋がりやすい既存3社から、楽天モバイルへの乗り換えが心理的にしにくい状況が続いていた。
そんな中、総務省では楽天モバイルになんとかプラチナバンドを割り当てようと画策。一時は、既存3キャリアからプラチナバンドの一部を返上させ、楽天モバイルに割り当てるという奇策を進めていたが、工事費用が1000億円近くかかり、しかもその負担が3キャリアに押しつけられる流れになったため、3キャリアが猛反発。
なんとか奇策を食い止めようと、NTTドコモが新たに使えそうなプラチナバンドを発見。総務省の情報通信審議会で技術検討が行われ、「2023年夏にも結論が出て、秋にも割り当てられるのでは」という展開になっているのだ。
今のところ、このプラチナバンドをどのキャリアに割り当てるかは決まっていない。これから公平な審査が行われるはずだが、当然のことながら、楽天モバイルに割り当てられるのが既定路線だ。
そのため、楽天モバイルは「早期に割り当てを望む」と表明しているし、楽天モバイルの矢澤俊介社長も2月のイベントで「2023年末か2024年初頭にはプラチナバンドでサービスを始めたい」とコメントしていた。
楽天モバイルにプラチナバンドが割り当てられれば、「つながりにくいかも」という不安は一気に解消されて、3キャリアから乗り換える人も増えると思われる。楽天モバイルのプランは、データ通信が使い放題で月額3278円と、既存3社が提供する使い放題プランの半額程度の料金設定だ。楽天モバイルは、設備投資がかさみ、苦戦が強いられているが、プラチナバンド獲得により、形勢を逆転できるのではないかと期待されている。
しかし「楽天モバイルにプラチナバンドが割り当てられても、そう簡単にネットワーク品質を改善するのは難しいのではないか」と見る、通信業関係者も多い。
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