サムスンが先行する折りたたみ式スマートフォンの分野に、新たなライバルがついに登場した。かつて華為技術(ファーウェイ)の一部門だった栄耀(Honor)が手掛ける「HONOR Magic Vs」だ。2022年11月、Magic Vsを中国での発売後に国外の市場でも展開することを発表していたHonorだが、2月末からバルセロナで開催された「Mobile World Congress」(MWC)で、グローバル市場向けに設計されたブックスタイルの折りたたみ式フラッグシップスマートフォンを披露した。
筆者は、発表の数日前に同機をテストする機会を得た。印象的だったのは、滑らかな本体だ。軽量でありながら、2つの画面を平らに折りたためて、すき間もできない。最大のライバルである「Galaxy Z Fold」の場合、最新モデルの「Z Fold4」でも、本体を閉じるとくさび形のすき間ができる。
HONOR Magic Vsの滑らかな本体には、こうした視覚的に分かりやすい特徴以外にも、2023年のフラグシップスマートフォンに期待されるスペックがすべて詰め込まれている。例えば、大容量バッテリー(5000mAh)、急速充電(66W)、強力な「Snapdragon 8+ Gen 1」プロセッサー、3年間のOSアップグレード保証、5年間のセキュリティパッチ保証などだ。スペック面であえて粗探しをするなら、「Galaxy S23」シリーズや「OnePlus 11」と違って、新しい「Snapdragon 8 Gen 2」チップが採用されていないことだろう。
ただし、欠点がまったくないわけではない。「OPPO Find N」やファーウェイの「Mate Xs 2」など、筆者がテストしたほかのブックスタイルの折りたたみ式デバイスに比べると、折り目が目立ち、指先でも認識できる。ワイヤレス充電にも対応しておらず、防水防塵性能に関するIP等級も取得していない。ちなみに、Galaxy Z Fold4はIPX8の防水性能を備えている。
とはいえ、Magic Vsは、基本モデルの価格がGalaxy Z Fold4よりも200ユーロ(約2万7000円)安いうえに、ストレージの容量も大きい。Magic Vsの基本モデルは1599ユーロ(約23万円)で、RAMは12GB、ストレージは512GBだ。一方、Z Fold4の基本モデルは1799ユーロ(日本では24万9700円)で、RAMは12GB、ストレージは256GBとなっている。現在のところ、米国での発売予定はないが、英国では6月に発売する予定だという。
Magic Vsの目玉は、折り曲げ可能なディスプレイだ。Z Fold4と同様、カバースクリーンと内部スクリーンを備えている。外側の画面は対角6.45インチ、内側のディスプレイは7.9インチだ。どちらの画面も輪郭がくっきり表示され、応答性と輝度も高いと感じた。2つの画面を折りたたんでも、すき間はできない。
サムスンと違って、Honorの場合、内部スクリーンではなくカバースクリーンの方に、より高性能のスペックを搭載することにした。例えば、カバースクリーンの方が輝度(内部スクリーンの800ニトに対して1200ニト)もリフレッシュレート(内部スクリーンの90Hzに対して120Hz)も高い。参考までに、Z Fold4の内部スクリーンのリフレッシュレートは120Hzで、Magic Vsの方が低い。
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