この6カ月は、シリコンバレーで暮らす多くの家族にとって試練のときだった。テクノロジー業界の大手企業が次から次へと人材削減を発表し、全世界で約25万人の従業員が解雇された。しかし、「Silicon Valley Index」の最新のデータによると、シリコンバレーの失業率は依然として歴史的な低さであり、テクノロジー企業は今も成長を続けているという。
レポートを作成したJoint Venture Silicon Valleyの最高経営責任者(CEO)Russell Hancock氏はSan Francisco Chronicleに対し、「現在の状況を危機と解釈することはできない」と語った。テクノロジー業界の人員削減により、シリコンバレーでは約1万1000人の雇用が失われ、同業界の労働力においてシリコンバレーが占める割合が1%減少することとなった。「この状況を的確に言い表す言葉は、『調整』以外に考えられない」
レポートによると、全体として、シリコンバレーにおけるテクノロジー業界の雇用率は、今も地域全体の雇用率のほぼ2倍の速度で成長しているという。そして、その雇用の多くは、Apple、Googleの親会社Alphabet、Facebookの運営会社Metaなど、テクノロジー業界の巨大企業に集中しており、この3社でシリコンバレーの労働者の19%を雇用している。
このデータが示すテクノロジー業界の状況は、多くの経営者や従業員、投資家が語ってきた内容よりも明るい。AlphabetやMetaなどの巨大テクノロジー企業は、人員削減を実施するにあたり、パンデミック下でリモートワーク用のアプリやスマートフォン、コンピューターの需要がいろいろと高まったが、それに起因する好況も終わりつつあると述べている。
Alphabetの最高経営責任者(CEO)Sundar Pichai氏は1月、従業員宛ての電子メールの中で、「この2年間、劇的な成長期が何度かあった」とし、人員削減の理由を説明した。「その成長に対応し、これを推進するために、現在直面しているものとは異なる経済的現実に対して人材を採用した」
しかし、経済学者や業界ウォッチャーは、これらの人員削減によって作り出された重苦しい雰囲気に対して反論を強めている。ほとんどのテクノロジー企業では依然として、パンデミックが発生した3年前よりも多くの従業員を雇用している、と彼らは指摘する。実際に、Silicon Valley Indexの調査でも、2021年中頃から2022年中頃までの間に、シリコンバレーで8万8000人が雇用されたことが明らかになっている。この成長率は、米国のほかの地域を上回っている。また、一連の人員削減にもかかわらず、シリコンバレーでは、2022年末までに、少なくともさらに2万2000人が雇用されている。
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