サムスン、グーグル、クアルコムの技術提携はMR業界に何を起こすのか - (page 2)

Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2023年02月09日 07時30分

 サムスンとGoogleも、まずは同じように複合現実の機能を備えた軽量VRヘッドセットの開発から始めるだろうと筆者は予測している。その際に、他のハードウェアと同じようにQualcommのチップ(あるいは次世代のチップセット)を使うのではないだろうか。その後にARメガネが登場すると考えられる。

 Qualcommはすでに、新世代の低電力ワイヤレスARメガネを計画している。今後3年間に登場する次世代のスマートフォンと連携するという。2022年秋に発表した新しい「Snapdragon AR2 Gen1」チップセットが採用される。サムスンのGoogleとの提携は、今後、連動するスマートフォンとARメガネをどう開発するか、それを探る意味もありそうだ。

 Googleは、補助目的のARメガネに関する研究にすでに携わっており、それ以前のARとVRの経験は10年に及ぶ。サムスンも、自社のGear VRについては長い経験を持ち、Oculusとも協力している。この2社と、そこにQualcommが加われば、文殊の知恵がはたらく可能性は大いにある。

新たなOS(スマートウォッチの例もある)

 Androidを、VRとARに対応する新しいソフトウェア体験に進化させるというのは、大きな課題でもあり可能性でもある。この点でサムスンがGoogleに頼るというのは、何重の意味でうなずける。過去5年間のVRヘッドセットは、専用のアプリストアとともにスタンドアロン型として機能することを目指してきた。Meta Questがその代表だ。だが、「メタバース」という概念の真髄は、デバイスを超えた互換性だ。そして、理論上は、アプリをスムーズにサポートすることでもある。

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GoogleのPixel WatchとSamsungのGalaxy Watch4
提供:Lexy Savvides/CNET

 サムスンは、Googleの「Wear OS」を採用することで、スマートウォッチの戦略を転換した。2021年に発表された提携の一環であり、同社のスマートウォッチをGoogleのAndroid OSに近づけることを意図していた。一方、Googleがハイエンドのヘルス機能およびハードウェア機能を見直し、古くなりつつあるスマートウォッチのラインアップを前進させるうえで、サムスンが貢献したという面もある。それが、後述の内容につながるのではないか。

「Pixel」ハードウェアへの道か

 Googleが、自前のAR/VRハードウェアの開発を再び試みる日がそのうち来るのでは。そんな想像もできる。Clay Bavor氏が率いていた同社のDaydreamチームは、「Google Labs」に軸足を移し、「Project Starline」のようにもっと実験的なプロジェクトに取り組んでいる(そうした研究に基づく補助目的のARメガネもある)。

 Googleの今後のXRハードウェアへと続く道が、サムスンと交わる可能性は大いにある。Pixel Watchより先に発売されたスマートウォッチで見られたのと同じパターンだ。「Wear OS 3」で最初の試みとなったのが「Galaxy Watch4」で、GoogleがFitbitも組み込んだPixel Watchを発売したのはその1年以上後だった。

 ARとVRのヘッドセットとなると、事情はもっと複雑になる。GoogleがPixelデバイスに手を着けるのは、すぐではないだろう。GoogleのLockheimer氏とQualcommのAmon氏が共に示唆したように、さまざまな形態が考えられ、ヘッドセットとは全く違うものも出てくる可能性がある。Googleが打ち出している「アンビエントコンピューティング」には、あらゆる角度からの没入型テクノロジーも含まれており、中には身に着ける形ではないデバイスもあるかもしれない。

この提携が形となって登場する時期はいつ頃か

 今の時点で、それを予測するのは難しい。Googleが、例年5月に開催している開発者会議「Google I/O」で、今回の提携をもっと進めてくる可能性はある。そうなれば、Appleが「WWDC」でVRヘッドセットを発表するとしても、その直前というタイミングになる。今のところ、実際のハードウェアについては、何の手がかりも見えてはいない。Meta Questの流れを汲むスタンドアロン型のVRヘッドセットが、遅かれ早かれ姿を表す可能性もなくはないが、2023年に何かが登場したら、かなり驚きだろう。

 サムスンとGoogleがWear OS 3に関する提携を発表したのは2021年で、このときはスマートウォッチ自体のティーザー写真と、年末までにハードウェアが出るという予告があった。今回の提携ではそういった発表はなく、何らかの動きがあるとしても、2024年以降になるだろう。

 いずれにしても、XRという大きな世界にとって、2023年は激動の年になりそうだ。多くのVRハードウェアの発売が予定されているものの、実際に買えるユーザーがいるかは明らかではない。サムスンとGoogleにとって、最善策は、発売予定の詰まった2023年をやり過ごし、さらに機能が向上した、しかも手頃なハードウェアを2024年にどう送り出すかを考えることかもしれない。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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