サムスンの2億画素イメージセンサー「ISOCELL HP2」--「Galaxy」のカメラ機能向上か

Stephen Shankland (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2023年01月25日 07時30分

 サムスンは、新しい2億画素のイメージセンサーによって、両立が難しい2つの特徴を兼ね備えたカメラを、写真好きなユーザーに提供しようとしている。そのカメラは、極めて高精細な写真を撮影できるだけでなく、多くのスマートフォンにとって困難な照明条件でも高画質な写真を撮ることができる。

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提供:Lisa Eadicicco/CNET

 「ISOCELL HP2」と呼ばれるこのセンサーは大量生産の段階に入っているが、どのスマートフォンに搭載されるかは明らかにされていない。しかし、サムスンのフラッグシップスマートフォン「Galaxy S23 Ultra」のメインカメラに搭載されると予想されている。Galaxy S23 Ultraは現地時間2月1日に開催のサムスンのイベントで発表される可能性が高い。米CNETのシニアエディターのLisa Eadicicco記者によると、1月17日に公開された本イベントの先出し情報では「よりスマートな」カメラがトップの扱いだったという。

 同センサーのテスト用サンプルはまだないが、サムスンのエンジニアリング部門には、画質の改善については実績がある。これは、スマートフォンの競争力には最も影響の大きい要素だろう。

 今から10年以上前、Appleの「iPhone」によって、スマートフォンがあれば、ほとんどの場合カメラは必要ないと、多くの人が考えるようになった。しかし、Googleの画像処理技術のおかげで、「Google Pixel」はいくつかの点でAppleを追い抜くことに成功した。独自のイメージセンサーを製造するサムスンも、自社のスマートフォンに複数のカメラを搭載していることもあり、今では高い競争力を誇っている。

イメージセンサー設計のトレードオフ

 イメージセンサーの設計者が直面するのが、何かの性能を上げるために別の何かを犠牲にするというトレードオフの問題だ。センサーの解像度を上げると、センサーの各ピクセルのサイズが小さくなる。イメージセンサーでは、ピクセルサイズが小さくなると、光を集めにくくなる。つまり、暗所で撮影すると、写真にノイズが発生し、影になっている部分のディテールが失われてしまう。また、空などの明るい部分では白飛びが発生する。

 だが、ISOCELL HP2では、新たな手法でこれらの問題に対処し、光のそれぞれの光子が最大限に活用される、とサムスンは米CNETだけに明かしてくれた。ISOCELL HP2は前世代の「ISOCELL HP1」よりも少し小さめだが、それぞれのピクセルで光をより効率的に集めることができる。このエンジニアリングの方向性によって、写真の高解像度化とカメラバンプの小型化が可能になっている。

 そもそも、サムスンのセンサーは非常に効果的に光を集めることが可能で、ハイダイナミックレンジ(HDR)写真のブーストによって、暗い要素と明るい要素を含むシーンをより適切に処理できる機能を備えている、と同社は述べている。また、最高解像度の2億画素で撮影する場合は、AIテクノロジーを利用して微細なディテールを写し出すそうだ。

 このセンサーが現実世界でのテストでどれほどの性能を発揮するかは、現時点では不明だ。しかし、サムスンがこのテクノロジーに注力しているのは、意外なことではない。カメラの改善は、ユーザーがスマートフォンをアップグレードするときの大きな理由になっている。プロセッサーやバッテリー持続時間、ネットワークテクノロジーのわずかな改善よりも、写真や動画の画質向上の方がユーザーに注目されやすい。

 サムスン電子でセンサービジネス担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるJoonSeo Yim氏は、「最高解像度の2億画素モードは、捉えるディテールが多いコンサートや屋外での撮影時に特に効果を発揮する」と話す。「ほとんどの消費者にとって、頻繁に使用する設定ではないかもしれないが、われわれは、極めて精細な画像に対するニーズがあることを明確に理解している」

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