「アイマス」初のオーケストラコンサートで感じた“楽曲の魅力を再認識するステージ” - (page 2)

　DAY2も、基本的な流れはDAY1を踏襲したもの。DAY2の第2幕に登場する「SideM」のユニット「Altessimo」から、都築圭（CV.土岐隼一）と神楽麗（CV.永野由祐）による注意事項やメッセージなどのアナウンスを経て、コンサートが開始。

　第1幕はDAY1と同内容となっており、第1楽章の「READY!!」、「BEYOND THE STARLIGHT」「PRIDE STAR」、第2楽章の「星屑のシンフォニア」、「流れ星キセキ」、「Anniversary」、第3楽章の「サンリズム・オーケストラ♪」、「STARLIGHT CELEBRATE!」、「NEO THEORY FANTASY」、第4楽章の「Twinkle way」、「Glow Map」、「Destiny」が演奏された。

　休憩を挟んだ第2幕も、1曲目は「Resonance+」の演奏から開始。そして、イントロとともに後方の幕が上がると、スクリーンにはAltessimoの2人の姿が。歌ったのは「mermaid fermata」と「The 1st Movement ～未来のための二重奏～」（どちらもSideM）の2曲。それぞれ作曲家、ヴァイオリニストからアイドルになったという背景を持つ音楽家ユニットであり、オーケストラコンサートという場にマッチしていることは、楽曲や歌声からも感じられるもの。「mermaid fermata」は切なげな曲調で歌うなかでは、間奏でセリフとしてメッセージを伝える一幕も。そして「The 1st Movement ～未来のための二重奏～」も含めて、気品を感じさせるステージとなっていた。

　ステージには、歌手であり作詞、作曲家としても活躍している貝田由里子さんが登壇し、作詞を手掛けた「You're stars shine on me」と「こいかぜ」（ともにシンデレラガールズ）を自ら歌唱。抜群の歌唱力と綺麗な高音の歌声を響かせていたのが印象的で、特に「こいかぜ」はDAY1で楓が歌ったこともあり、より情感と力強さを感じさせるような、違った魅力をのぞかせるものに。ほかではなかなかないであろう貴重な機会であるなか、聴いているプロデューサーに鮮烈な印象を残すものとなっていた。

　そして、駒形友梨さん（ミリオンライブ！／高山紗代子役）が登壇し、歌ったのは「vivid color」。ポップに明るく歌うなかでも、紗代子が持つ真っ直ぐな気持ちを表すような力強さと澄んだ歌声を持って披露していた。

　入れ替わって登壇した沼倉愛美さん（765プロオールスターズ／我那覇響役）は、「初恋 ～一章 片想いの桜～」。初恋の切なさを描いたバラードソングで、フルオーケストラの生演奏に、沼倉さんの優しく儚げな歌声、スクリーンに歌詞が映し出される演出も相まって、ストレートに心に響くものとなっていた。

　MCでは2人がそれぞれ歌った感想や、ドレス衣装に慣れないといったエピソードを語りつつ、2人が「瞳の中のシリウス」を歌唱。DAY1でも歌われていた楽曲だが、違う魅力を放ちつつも、美しさを感じるハーモニーと歌声で、世界観に引き込んでいった。

　「DRIVE A LIVE」の演奏、そしてアンコールの「M@STERPIECE」の演奏で盛り上がりを見せたなか、終演時の挨拶では貝田さんや和田さん、Altessimoの2人からも感謝の言葉が語られ、大きな拍手に包まれるなかでコンサートの幕を閉じた。

　オーケストラアレンジで楽曲の新たな魅力を感じるとともに、キャストによる歌唱だけではなく、アイドルが歌唱するというアイマスらしさや、クリエーター自ら演奏や歌唱を行う貴重な機会もあり、単なる演奏を聴くだけではないエンタメ性の楽しさも感じされるコンサートだった。演奏された楽曲はシリーズのなかでもごく一部であり、実際に聴いてみると、あの曲やこの曲が聴きたかったと思うところもあり、それだけアイドルマスターというシリーズが数多くの楽曲によって彩られていること、そして楽曲の持つ魅力を再認識するコンサートとなっていた。

　筆者も会場で聴いていたのだが、オーケストラ演奏という落ち着いた気持ちで聴く環境だったということもあってか、ゲームやライブでのシーンを思い返すというところもしばしばあった。

　個人的には、シャイニーカラーズでのお気に入りのアイドルは桑山千雪で、ユニットはアルストロメリアということを踏まえれば、ユニットメンバーである甘奈がこの場で歌っていることも喜びもあれば、ユニット曲「Anniversary」をフルオーケストラ演奏で聴くことできたことの感激もあり、同曲がライブで披露された3rdライブツアーや「283PRODUCTION UNIT LIVE SETSUNA BEAT」のことを思い返すところもあった。何より、第1幕第2楽章では、「Anniversary」が演奏されたのちに「流れ星キセキ」となり、また「Anniversary」に戻るという演奏のされ方となっていた。これを聴いていると、どこかゲーム内イベントでアルストロメリアにスポットがあたった「流れ星が消えるまでのジャーニー」や、そのときの報酬にもなっていたSSRサポートアイドル「【リトル・スターズ】大崎甜花」のことを思い浮かぶところがあり、一言でいうなら“尊い”という感覚だった。

　またミリオンライブ！のお気に入りアイドルが木下ひなたということを踏まえれば、「サンリズム・オーケストラ♪」が演奏されたのも印象的。演奏されたのは“オーケストラ”だからと推察するのだが、この曲はひなたが「Sunshine Rhythm」として歌唱メンバーになっていることに加え、スマートフォン向けゲーム「アイドルマスター ミリオンライブ！ シアターデイズ」におけるクインテット歌唱版でもメンバーとなっている。さらに同曲をテーマにしたゲーム内イベント「プラチナスターツアー ～サンリズム・オーケストラ♪～」では、ひなたが一歩成長する姿が描かれていることも思い浮かぶところ。何より、6thライブツアー仙台公演で同曲が披露されたシーンは、とても感激したことを今でもよく覚えており、そのことを思い返すところがあった。

　そして、筆者がロケテスト時代からアーケード版「アイドルマスター」に触れていたことを思えば、フルオーケストラ演奏で「蒼い鳥」が歌われたところも心に残るところ。同作での千早のコミュには、千早がライブで歌うためにオーケストラ編成を求め、それにプロデューサーが応えるというシーンがある。ゲームから始まったコンテンツが、長い時間をかけてフルオーケストラコンサートを実現するに至ったということもさることながら、ゲーム内コミュのシーンが、17年以上経ってある意味リアルに実現したというところに、感慨深さを感じたことを余談として付記しておきたい。

　なお、本公演については「ASOBISTAGE」にてアーカイブ配信を期間限定で実施。期間はDAY1とDAY2共通で、11月21日23時59分まで（視聴チケットの販売期間は11月21日12時まで）を予定。価格は各5000円（税込）。

　また、公演で演奏された楽曲を収録したCD「THE IDOLM@STER ORCHESTRA CONCERT　～SYMPHONY OF FIVE STARS!!!!!～ コンサートアルバム」を、2023年2月8日に発売予定。「アソビストア」にて予約を行っている。あわせて、開催記念商品の受注受付や、関連グッズの販売も行われている。

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