CNET Japanの編集記者が気になる話題のトピックなどを、独自の視点で紹介していく連載「編集記者のアンテナ」。今回はエンターテインメント領域を取材している佐藤が担当。4月27日と28日の2日間、宮城県にあるゼビオアリーナ仙台にて開催されたイベント「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 6thLIVE TOUR UNI-ON@IR!!!!」仙台公演における、2日目の28日開催分の模様をお届けする。
これは、バンダイナムコエンターテインメントがモバイルゲームを基点として多方面に展開している「アイドルマスター ミリオンライブ!」をテーマに、登場するアイドル(キャラクター)を演じるキャスト陣によるライブイベント。ミリオンライブ!から新たに登場したアイドルによる「ミリオンスターズ」単独では6度目となった今回は、5月から6月にかけて仙台を皮切りに神戸、福岡をめぐるツアーを展開する。
現在配信しているスマートフォン向けゲーム「アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ」(ミリシタ)では、アイドルに「Princess」「Fairy」「Angel」のタイプが設定されており、今回のライブツアーはタイプ別での開催。ミリオンスターズのキャスト陣が13人ずつに分かれて出演する形となっている。またタイトルの「UNI-ON@IR!!!!」にちなみ、音楽番組を発信するというコンセプトのステージとなっている。仙台公演では「Angel STATION」と題し、Angelタイプのアイドルたち「エンジェルスターズ」のキャスト陣が出演した。
出演者はMachicoさん(伊吹翼役)、稲川英里さん(大神環役)、平山笑美さん(北上麗花役)、田村奈央さん(木下ひなた役)、香里有佐さん(桜守歌織役)、近藤唯さん(篠宮可憐役)、角元明日香さん(島原エレナ役)、末柄里恵さん(豊川風花役)、小笠原早紀さん(野々原茜役)、麻倉もも(箱崎星梨花役)、高橋未奈美さん(馬場このみ役)、桐谷蝶々さん(宮尾美也役)、夏川椎菜さん(望月杏奈役)。会場には大勢の“プロデューサーさん”(アイドルマスターシリーズのファン)が詰めかけたほか、この模様はライブビューイングで国内はもとより、海外アジア地域でも上映された。
ミリシタでは各タイプのなかで個別にユニットが結成。ライブでは、そのユニットにスポットが当たる形で進められた。Angelにおけるユニットは、エレナ(角元さん)と美也(桐谷さん)の2人による「Cleasky」。歌織(香里さん)、風花(末柄さん)、麗花(平山さん)、このみ(高橋さん)の4人による「4 Luxury」。可憐 (近藤さん)、茜(小笠原さん)翼(Machicoさん)の3人による「りるきゃん~3 little candy~」。ひなた(田村さん)、星梨花(麻倉さん)、環(稲川さん)、杏奈(夏川さん)の4人による「ピコピコプラネッツ」となっている。
ライブは13人による「Angelic Parade♪」からスタート。今回キャスト陣は統一した衣装ではなく、ミリシタの中で用いられている、ユニットごとの個別衣装で登場。小物も含めて限りなく再現されたものだったうえ、髪型もキャストによっては近しいものになっていたため、ゲームから飛び出したようにも感じられる光景が広がっていた。
そして前半はユニットごとのパフォーマンスが展開。それぞれのユニットオリジナル2曲に加え、765プロ楽曲のカバーも織り交ぜた形で進行した。
トップバッターのピコピコプラネッツが見せたのは、子ども番組のような楽しさと司会のお姉さんの姿。ゲーム内では、ピコピコプラネッツが子ども番組で、宇宙人の「ミリオン星人」として司会をするというシーンがあり、それをイメージさせるものとなっていた。
ユニット衣装「プラネット・ストレンジャー」はゲーム内で光るギミックが搭載されているのだが、「ピコピコIIKO! インベーダー」のイントロで4人が登場する際、暗がりから衣装がカラフルに光るという、再現以上の凝った演出が行われた。歌のなかでも、麻倉さんの掛け声「幼年期のみんなー!」に「はーい!」と、場内の“お友達”が元気のいいお返事をする場面も見受けられた。また「Get lol! Get lol! SONG」では、モニターにカエルが表示されるなか、輪唱も交えて楽しむように歌い上げていた。
カバー曲では、高槻やよいの「スマイル体操」をピコピコ体操バージョンとして披露。子ども番組のイメージに合っていることもさることながら、関連CD「THE IDOLM@STER MILLION THE@TER GENERATION」(MTG)シリーズにおいて、劇中劇となるドラマパートで、ピコピコプラネッツとやよいの交流が描かれていることもあり、それも背景にあるのではと思える選曲となっていた。
MCでは、スマイル体操に先立って、稲川さんが環として振り付けをレクチャーしていたのだが、うまく説明できずくじけそうになったところで3人がフォローするという、チームワークの良さを感じさせるところもあった。またステージでは“茜ちゃん人形”の着ぐるみも登場。終始にぎやかなステージとなっていた。
続いてのCleaskyが見せたのは、青春の1ページを感じさせる学園ドラマを歌で表現する姿。2人ともヘッドセットマイクを活用し、お芝居をするかのように楽曲を披露した。「虹色letters」では、2人がステージの左右に分かれ、桐谷さんは本を手に思いをはせ、角元さんは教室の机で手紙を書くという、MTGシリーズにおけるドラマパートを連想させるようなステージを展開した。
カバー曲では、天海春香の「笑って!」を披露。それぞれが感情をこめて歌うなか、桐谷さんが傘を手に歌うシーンもあれば、角元さんが最後に手紙を渡すというようなシーンも見受けられた。MCのなかでは、角元さんがこの曲を歌うことの大事さと責任を語る一幕もあり、それに対して大きな拍手も送られていた。そして「想い出はクリアスカイ」では、どこか潮風を感じされるようなポップな曲調で、こちらは軽快に歌い上げていた。
りるきゃんが見せたのは、キュンキュンするような今どきの女の子たちの姿。登場時にはファッションショーにイメージされるような、1人ずつBGMにあわせて歩いて登場。シャッター音にあわせてポーズを決め、そのたびに歓声が沸き上がっていた。
「ハルマチ女子」「彼氏になってよ。」と、乙女心を表現した楽曲をかわいらしく披露。カバー曲では“恋バナ”をテーマにしている「Do-Dai」を軽快に歌い上げていた。MCでは、プロデューサーさんをキュンとさせるようなセリフを言うコーナーも実施され、プロデューサーさんに向けて「好きだっちゃ」とセリフを1人ずつ披露。あくまで演じるアイドルとしてのセリフではあるが、言い終わったあとは一様に恥ずかしがり、一方で残る2人は「かわいい」を連発し、場内の“キュンキュンゲージ”は振り切れそうなぐらいに盛り上がっていた。
最後に登場した4 Luxuryが見せたのは、大人の魅力にあふれた女性の姿。“大人組”のユニットによる、歌で魅了するステージが展開された。意外性も持ったものとなり、ここまでミリシタで実装された曲が1曲目だったところを、4 Luxuryの1曲目は、実装されていない「RED ZONE」となり、大人の魅力とセクシーさを醸し出しながら熱唱。カバー曲では三浦あずさのバラード曲「9:02pm」を披露してうえ、ほかにはなかったカバーの2曲目となる音無小鳥の「ID:[OL]」も、セレブレイション!バージョンとして披露。間奏のセリフや掛け合いも、MTGシリーズのドラマパートを彷彿とさせるものとなっていた。
そして最後は、楽曲発表やミリシタ実装時に話題となった「花ざかりWeekend〇」(※「〇」は花のマーク)。奇しくも28日は平成最後の週末であり、往年のディスコ風ナンバーにのせて“平成最後の花ざかりWeekend”に、場内が酔いしれていた。
後半は、これまでミリオンライブ!を彩ってきたソロ曲やユニット曲を次々に披露。ここまでのユニットの枠を超えた組み合わせで、耳なじみがあるなかでも新鮮さのある形で披露された。
ソロ曲については27日と分かれて披露される形となったようだが、こと28日においては、さらなる成長を感じさせるような、圧巻ともいえるステージが展開。末柄さんが表現豊かに、透き通るような声で「bitter sweet」を歌い上げたのをはじめ、角元さんによる「ファンタジスタ・カーニバル」では、小柄ながらも大きな振りと軽快なステップ、そして元気な歌声という全力パフォーマンスで魅了した。
さらに平山さんによる「FIND YOUR WIND!」では、力強さと伸びやさを併せ持つような歌声で、会場中はもとより、プロデューサーさんの心までも響かせるように熱唱。夏川さんの「Happy Darling」は展開初期から歌われている曲でもあり、会場とのコールも成熟したものを感じさせ、ソロ曲でも屈指の盛り上がりに。Machicoさんによる「ロケットスター☆」も、ステージを端から端まで走るぐらいに、翼を感じさせるようなハイテンションで歌い上げ、ここでも大きく盛り上がっていた。
終盤のアンコールでは、ミリシタ1周年記念衣装で5thライブでも披露したヌーベルトリコロールを13人そろってまとい、「UNION!!」を披露。最後は「Brand New Theater!」で締めくくった。
振り返ると、前半はミリシタの世界観を表現、後半はミリオンライブ!の展開で培ったものを発揮するステージと思えるものとなっていた。そして、トークではユニットの絆の強さを感じさせるような話題もあり、ソロでは放てないユニットだからこその輝き、そしてそれが集まったからこそ表現できるタイプとしての色が詰まったステージと感じさせるものとなっていた。
また、ミリシタではもともと765プロライブ劇場(シアター)を舞台に、765プロの13人も加えての「765 ミリオンオールスターズ」が劇場を盛り上げていくという内容でもあり、765プロのカバー曲が用いられたのは、先輩の曲を歌い継ぐ、そして一体となって盛り上げていくような感覚もあり、どこか感慨深いところもあった。
ユニットでも個性派ぞろいだったエンジェルスターズのAngel STATIONから、神戸公演「Princess STATION」にバトンがわたり、さらに福岡公演の「Fairy STATION」も含めてどのような輝きを放つのか楽しみにしたいと思えるステージとなっていた。
また余談となるが、見どころが多かったライブのなかでも、筆者がお気に入りのアイドルは木下ひなたということを踏まえて印象的だったシーンもあった。そのなかのひとつが、田村さんが披露したひなたのソロ曲「りんごのマーチ」だ。ライブでは日本武道館の4thライブ以来となるもので、四季の移り変わりを描いたもので、どこか頬が緩むような感覚になるような曲となっており、りんごを食べるような振り付けを交えつつ披露した。曲中ではひなたのセリフとして「プロデューサー、あたし、いまとーっても楽しいんだわ」と伝える一幕も。そしてこの言葉を証明するかのように、終始歌うのを楽しむかのような表情でいたのが心の残ったところだ。
と同時に、この日の田村さんはこれまでとは明らかに違うと感じられるほど、大きく通る声で歌っていたことも印象的で、りんごのマーチであれば、よりひなたの楽しく明るい気持ちさが伝わるような歌になっていた。また“新しい私”というフレーズも出てくるのだが、意図したものかどうかはわからないものの、そこを強調していたこともあり、“新しいひなた”と思えるような感覚だった。
そしてその声は、ユニットのなかでも埋もれないぐらいに響かせるものとなっていた。またダンスにしても動きが大きく、跳ねるようなステップもしており、全般的に動きが軽いと感じさせるものだった。それをより印象付けたものであり、もうひとつ印象的だったところは、香里さんと末柄さんとともに披露した「サンリズム・オーケストラ♪」だ。
後半のソロ・ユニットパートのラストで、田村さんはセンターの立ち位置、そして役どころではお姉さん、キャストとしては歌と表現力は実力派の2人に交じっても、しっかりとひなたとしての存在感を出しているところは感慨深いところもでもあり、なにより楽曲終盤のソロパートで田村さんが歌ったフレーズにもあったような“5センチ大きく踊った姿”がそこにはあり、見ているこちらとしても“違った景色が見られた”と思えるところで、グッとくる場面でもあった。
ミリシタのメインコミュ第36話には、ひなたがセンターを務める公演に向けて奮戦する姿が描かれているなか、ライブステージはこういう光景だったのでは……と思うには飛躍した想像かもしれないが、この日の田村さんには、どこかセンター公演などの経験や場数を踏んでアイドルとして本格的に目覚めたような、覚醒したともいえる一歩先にあるひなたの姿のようにも見えた次第だ。
ミリシタに関する今後の展開についても発表。期間限定イベント「プラチナスターシアター~プリムラ~」の開催を予告。このイベントでは楽曲「プリムラ」が解放され、ライブでプレイできるようになるという。開催日時は5月2日15時から5月10日20時59分までを予定。
このほか、ライブ開催を記念したログインボーナスや、イベントアイテム交換所にユニット衣装を一気に追加予定としている。
(C)窪岡俊之 (C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
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