Twitterに対立的な考えをツイートしてきたMusk氏は、出だしでつまずくことや予測不可能なことは、これからもっと増えるだろう、とツイートしている。同氏は、「これからの数カ月、Twitterは多くの愚かなことをするだろう」とツイートし、より急激な変化を示唆した。「うまくいくものは残し、うまくいかないものは変えていく」
それは、同氏が何としてもつなぎ止めておく必要のある広告主を安心させる発言ではない。Twitterは2年連続で赤字を計上しており、広告売り上げに依存している。広告売り上げは、同社の売上高のほぼすべてを占めている。
できることなら、筆者もソファーにもたれて、ポップコーンを食べながら、この混沌とした状況を見守りたい。この数年、筆者は自分のTwitter離れが進んでおり、同僚が執筆した米CNETの記事をツイートしたり、いくつかのリツイートを送信したりすることを除けば、ほとんど使わなくなっていた。しかし、政治的混乱やコロナ禍、そして、気が滅入るような情報ばかりを長時間閲覧してしまいがちになることが原因で、今では、Twitterのアプリを開こうという気にさえならない。筆者はこの13年間、ほぼTwitter上に居座り、頻繁にツイートしてきた。これほどTwitterから心が離れたのは、初めてのことだ。
筆者と同じように感じている人は、ほかにもいるはずだ。「Mastodon」などの競合サービスに乗り換えようとしている2億3700万人のTwitterユーザーに筆者が加わる可能性もある(ただし、筆者の同僚のStephen Shankland記者はMastodonは複雑すぎると考えている)。有害なコンテンツの監視を担当するチームメンバーのほとんどを解雇したことを除けば、Musk氏はまだ、コンテンツモデレーションに対する自身のスタンスを明確に述べていない。Twitterの幹部を長年務めてきたYoel Roth氏が11月10日、同社を退社したこともマイナス要因だ。Roth氏は、Musk氏による買収後も、広告主とユーザーに安心してもらえるよう働きかけていた。ヘイトスピーチが増えれば、うんざりしたユーザーや不満がたまったユーザー、単に腹を立てたユーザーの多くがTwitterを離れる可能性もある。
同様に、Musk氏が「Twitter Blue」の利用者のツイートを優先し、その月額8ドルのサービスを積極的に推し出すことがあれば、さらに多くのユーザーがTwitterを見限るかもしれない。
調査会社GlobalDataのアナリストであるRachel Foster Jones氏は、「Twitterの認証機能の調整に続いて、サービスの提供状況やポリシーが常に揺らいでいることは、Twitterが無秩序状態に陥落していくような印象を与える」と話す。「なりすましやデマに対する不安は、同プラットフォームの品位を、取り返しがつかないほど傷つけてしまう可能性もある」
TwitterのPRチームにコメントを求めたが、現時点で回答は得られていない。同チームはメンバーの解雇により人員が大幅に削減されている。
テクノロジーやデジタルメディアを20年以上にわたって取り上げてきたジャーナリストとして、筆者は、Twitterを1企業として、また、記事のトピックとして無視することはできない。だが、すべての新しいツイートや報道を常に把握していたら、それがフルタイムの仕事になってしまう。
公開討論の場としての価値を考えると、仮にTwitterが消滅した場合に、何が危険にさらされるのかも筆者は理解している。アラブの春やMeToo運動の発生に貢献したプラットフォームがなくなってしまえば、社会は壊滅的な打撃を受けるだろう。
しかし、現在のところ、Twitterはものすごい勢いで穴に飲み込まれていっており、その穴はますます大きくなっている。そして、誰もその状況から目を離すことができずにいる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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