グーグルの3Dビデオチャット「Project Starline」を体験--目の前にいるような臨場感 - (page 2)

Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2022年10月20日 10時06分

 Starlineブースに入った瞬間は、気圧される思いがした。体験しながら写真や動画を撮影することは許可されていなかったので説明すると、巨大なスクリーンに向かい合って背もたれ付きのベンチがあり、カウンターのような木製のバー(デスク)が、スクリーンとベンチの間で低い壁のようになっている。スクリーンの周りと、目の前のデスク/バーの下部には、カメラと、深度センサーのように見えるものがずらっと並ぶ。センサーとカメラは12台以上あったと思う(後で説明してくれたLawrence氏によると、各種の深度センサーカメラが連動しており、それは「このプロジェクトの一環として開発したリアルタイム深度カメラの技術」なのだという)。

 やがて、スクリーンを見つめているとNartker氏が向こうの部屋に入ってきて着席した。映像が3Dとして投影され、Nartker氏が同じ部屋の向かい側に座っているように見えた。ライトフィールドディスプレイが、これと似たような3D技術をメガネなしで実現するのは以前にも見たことがあったが、今回は2つの理由で特に興味深かった。リアルタイムのビデオチャットという点と、相手が等身大で目の前に写るという点だ。

 等身大の映像には違和感があったが、やがて不思議と落ち着いてきた。向かい合って座っている間、アイコンタクトは完璧だった。あまりにも目と目が合いすぎるのを奇妙に感じて、目をそらしてしまったほどだ。少しそわそわしながら話をしていたが、気づいてみると前傾姿勢になっていることもあった。だんだんくつろいできて、最後には、コーヒーショップのテーブル越しにおしゃべりをしているような気分になった。

 「世界中どこにいても、この魔法の窓を通して、このようにリッチな形でお互いの存在を感じることができる。私とあなたとの間でもアイコンタクトが成立していた。今のビデオ会議で、これはできない」。Nartker氏は、筆者にこう語った。

gif_2 提供:Google

周囲に溶け込むインターフェース

 筆者の緊張を解いたのは、Starlineのディスプレイとカメラの大きさと配置だった。目線を気にしながら1台のカメラを注視するという心配をしなくて済んだからだ。自分がどう見えているのかも、意識さえしなかった。

 「ほとんど、空間がつながっているような感じだ。その空間が溶け合っている。そして、あなたと私はただそこに座って一緒に時間を過ごしているだけになる」(Nartker氏)

 Starlineのディスプレイの解像度は、現実世界並みに鮮明とまではいかないものの、十分に良好だった。Nartker氏の3D映像もクリアだったが、ときどき端の部分で、あるいは手を前に伸ばしすぎたときなどに、若干のピクセル化が発生したり、画像が崩れたりすることはあった。Starlineはおよそ1立方メートルの空間をスキャンするので、その内部にいればお互いの動きが見える。木製の低い壁がいわば物理的な境界線になっていて、そこにもたれたいと思ってしまう。

 そのカウンターの上に何か置いてみたい気になった。まるで魔法のように、Nartker氏が手を伸ばしてきてそれをつかむのではないかと思えたからだ。もちろん、そんなことはありえない。ホログラフでできた物体をデスクに置くこともできない。

 Nartker氏はこう説明している。「そこに小さい壁のようなものを置いたのは、2つの部屋がつながるような空間があって、ちょうどそこで各種の機器を接続しているからだ。だが、2人ともそのポイントの先まで手を伸ばし、ほとんどハイタッチもできそうに感じられるだろう」

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