これらの事例はすべて、シェアレントが子どもたちをさまざまな脅威にさらしていることを浮き彫りにするものだ。Plunkett氏は、オンラインでコンテンツを共有することに関連するリスクを3つの「カテゴリー」に分けて説明している。1つ目のリスクは、おそらく最もわかりやすいものだ。犯罪や危険な行為が関わるもので、子どもに直接的な脅威をもたらす。
2つ目は間接的なリスクだ。具体的には、投稿した子どもの姿が写っているコンテンツを、悪意ある人々に取得、再利用、分析、または転用されるリスクのことだ。その結果として、いじめや将来の就職への影響、何百万もの人々が子どもの医療情報にアクセスできるようになるなど、さまざまな事態が引き起こされる。YouTubeでよくあるのが、人々の関心を引くために、大げさなタイトルと病院に行く子どものサムネイルが付けられた動画で、そうした動画では、病気にかかった子どものインフルエンサーの親が回復までの過程を詳細に記録している。
3つ目のリスクは、おそらく最も話題になりにくいもので、それは子どもの自我への潜在的な悪影響だ。キッズインフルエンサーの場合、自意識や大人に成長していく能力は、「公の場での人格を親が自分のために作り出しているという事実から形成され、場合によってはその能力や自我が妨げられることもある」(Plunkett氏)
この公の場での人格が、視聴者や閲覧する人にどのように見えており、どう解釈されているのかということを、子どもたちは多くの場合、理解していない。そのようなものが存在することを認識さえしていない場合もあるかもしれない。だが、Barkmanさんの事例のように、ある時点で、コンテンツが作られるプライベートな世界と、コンテンツが消費される公の世界が衝突することは避けられない。そのとき、子どもたちは、自分のために作り出された人格と対峙せざるを得なくなる。
「年齢を重ねるにつれて、子どもは自ら、自分とはどういうものなのか、自分の基準で定義したいと思うようになる。親が子どもについてあまりにも多くの情報を公の場で共有している場合、それが難しくなる可能性もある。その子どもはどのような人間で、何が好きなのか、ということについて、多くの人間がすでに何らかの考えを持っているからだ」とSteinberg氏。「当然、それらの考えが間違っている場合がある。プライバシーを重視し、親を通してではなく、自分自身で自分の人生を語りたいと思う子どももいるかもしれない」
自分の実生活が公開されるというこの側面は、ソーシャルメディアで働く子どもたちと、プロのエンターテインメント業界で働く子どもたち(大抵、架空の登場人物を演じたりする)を区別する重要な要素だ。これから数十年かけて、ティーンエイジャーを経て大人になっていく多くのキッズインフルエンサーたちは、精神崩壊や屈辱、極めて個人的な場面など、自分が最も弱っている瞬間を親によってインターネット上で世界中の人々に公開されたという事実と向き合わなければならなくなる。
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